Safari Tech Logo
地質調査DX2026.08.06

地質調査報告書とは|第1〜5章の構成と見方、共通仕様書が定める作成の流れを図で解説

地質調査報告書には何が書かれ、どこを見れば必要な情報にたどり着けるのか。第1〜5章の構成と読む順番、共通仕様書(案)が定める作成の工程、照査・検定・電子納品の決まりを図で整理します。

地質調査報告書とは、ボーリング調査や標準貫入試験室内土質試験で得られた結果を、設計や施工の判断に使える形にまとめた成果品のことです。どの調査をどれだけ行い、地盤がどう構成されていて、設計に使う数値をどう設定したのかが順を追って記載されています。国土交通省の地質・土質調査業務共通仕様書(案)では、現地調査の結果、ボーリング柱状図、地質または土質断面図、そして業務内容の検討結果を「報告書としてとりまとめ提出する」と定めています(第603条)。この記事では、報告書の構成と読む順番、共通仕様書(案)が定める作成の工程、照査や検定、電子納品との関係を整理します。

誰が何のために読むのか

同じ報告書でも、読む人によって必要な箇所は違います。最初にどこを開くかは、自分がどの立場で読むかで決まります。

  • 設計者:基礎形式の判断に使う支持層の位置と、設計に用いる地盤定数
  • 施工者:掘削のしやすさ、地下水位、施工時に注意が要る層
  • 発注者:調査が仕様どおり行われたか、成果が要件を満たしているか

報告書は設計と施工の両方に引き継がれる資料なので、調査の時点では想定していなかった使われ方をすることもあります。柱状図と土質試験結果一覧表は発注者が指定する地盤情報データベースに登録され(共通仕様書(案)第118条)、その後は他の事業でも参照されます。読み手が後から根拠をたどれるかどうかが、資料としての価値を左右します。

第1〜5章に何が書かれているか

章立ては発注機関や案件によって変わりますが、おおむね次の順で構成されます。調査の事実を先に示し、そこから解釈へ進む流れです。

書かれている内容読むときの着眼点
第1章 調査概要業務の目的、調査位置、工期、調査数量何のための調査か。数量が当初計画どおりか
第2章 調査方法ボーリング、標準貫入試験、室内土質試験の内容と実施数どの試験をどこで行ったか。試験の種類で分かることが変わる
第3章 調査結果地形・地質の概要、各層の性状、N値、地下水位、試験結果層の区分と、それぞれの土質・N値の分布
第4章 考察層序の整理、地盤定数の設定、支持層の判断定数をどの考え方で決めたか。根拠が書かれているか
第5章 まとめ調査結果の総括、設計・施工上の留意点設計に直接効く指摘がどこに書かれているか

章立ては発注機関や業務の特記仕様書によって変わります。実際の構成は個別の仕様に従ってください。

地質調査報告書の本文第1〜5章と、根拠になる資料の対応図。第1章調査概要は調査位置図・平面図に、第3章調査結果はボーリング柱状図・地質断面図・土質試験結果一覧表・データシート・コア写真に、第4章考察は柱状図・断面図・一覧表に線でつながる。資料側には共通仕様書の条番号と、電子納品要領の編を添えている。
本文の各章は、資料編の図面・柱状図・試験データを根拠にして書かれる。数値の根拠は資料側にあるため、本文と資料を行き来して読む。

本文のほかに、柱状図、地質断面図、試験結果の一覧、現場写真などが資料として綴じられます。共通仕様書(案)は機械ボーリングの成果物として、調査位置案内図・調査位置平面図・土質または地質断面図(着色を含む)、電子納品要領に従って整理した柱状図、コア写真を挙げています(第204条)。国土交通省の地質・土質調査成果電子納品要領(令和8年(2026年)2月)も、電子化の対象を報告文、ボーリング柱状図、地質平面図、地質断面図、ボーリングコア写真、土質試験及び地盤調査、現場写真、その他の地質・土質調査成果の8つに分けています。本文にあたる「報告文」は1つで、残り7つが資料です。数値の根拠は資料編にあることが多いため、本文と資料を行き来しながら読むことになります。

報告書はどこから読むか

先頭から順に読む必要はありません。実務では、次の4か所を押さえると全体像がつかめます。

支持層がどこにあるか

基礎形式の判断に直結するのが支持層の位置です。どの層を支持層とみなしたのか、その判断の根拠が第4章に書かれています。共通仕様書(案)も、総合解析の項目として「地盤の工学的性質の検討と支持地盤の設定」と「調査結果に基づく基礎形式の検討」を挙げています(第602条)。支持層とみなせるかどうかに一律の数値基準があるわけではなく、構造物の種類や適用する指針によって変わります。

N値と土質がどう対応しているか

N値は標準貫入試験で得られる値ですが、同じ値でも土質が違えば意味が変わります。砂質土か粘性土かをあわせて見ないと、地盤の締まり具合を読み違えます。柱状図では深さ方向の変化が追えるので、層の境界付近の値には特に注意が要ります。

地盤定数がどう設定されているか

地盤定数は、どの設計指針に沿って求めたかで値も根拠も変わります。共通仕様書(案)では「地質調査結果に基づく土質定数の設定」が総合解析の1項目です(第602条)。数値そのものより、どの考え方で決めたのかが書かれているかを確認したほうが確実です。算出の過程が示されていれば、設計側で妥当性を検討できます。

地下水位がどこにあるか

地下水位は施工計画に直接効きます。掘削時の湧水や山留めの検討に関わるため、調査時点の水位と、季節変動の可能性についての記載を確認します。共通仕様書(案)では、孔内水位は毎作業日の作業開始前に観測し、観測日時を明らかにしておくことになっています(第203条)。柱状図に書かれた水位が「いつ」「どの状態で」測ったものかを見分ける手がかりになります。

報告書ができるまで:共通仕様書(案)が定める工程

現地の作業が終わってから報告書が仕上がるまでには、いくつもの工程があります。国土交通省の地質・土質調査業務共通仕様書(案)は、現地調査の後に行う「解析等調査業務」の内容を、計画準備、既存資料の収集・現地調査、資料整理とりまとめ、断面図等の作成、総合解析とりまとめの順で定めています(第602条)。

地質調査報告書ができるまでの流れ図。計画準備、現地調査(ボーリング・標準貫入試験・サンプリング)、室内土質試験、資料整理(計測結果の評価・異常データの確認・柱状図の作成)、断面図等の作成(地層・土性の工学的判定、断面図は着色)、総合解析(土質定数の設定・支持地盤の設定・基礎形式・留意点)、報告書作成、提出(照査・検定・電子納品・地盤情報データベース登録)の8段階。
共通仕様書(案)第602条の工程を、現地調査と室内試験を含めて並べたもの。判断を要する工程(工学的判定・定数の設定)と、転記や作図が中心の工程(柱状図・一覧表・図表)が交互に現れる。
工程共通仕様書(案)に書かれている内容報告書のどこに反映されるか
計画準備業務の目的・主旨を把握し、調査計画の立案と業務計画書の作成(第602条)。業務計画書は契約締結後14日以内に提出し、成果物の内容・部数や使用する主な図書・基準を記載する(第113条)第1章 調査概要
現地調査機械ボーリング(第2章)、サンプリング(第3章)、標準貫入試験などのサウンディング(第4章)、孔内載荷試験などの原位置試験(第5章)第2章 調査方法、資料編の柱状図
資料整理とりまとめ各種計測結果の評価及び考察、異常データのチェック、試料の観察、ボーリング柱状図の作成(第602条)第3章 調査結果、資料編
断面図等の作成地層及び土性の工学的判定、土質または地質断面図等の作成。断面図は着色する(第602条)第3〜4章、資料編の断面図
総合解析とりまとめ地形・地質の検討、土質定数の設定、支持地盤の設定、透水性の検討、基礎形式の一般的な比較検討、設計・施工上の留意点の検討(第602条)第4章 考察、第5章 まとめ
報告書としてとりまとめ現地調査結果、ボーリング柱状図、地質又は土質断面図及び業務内容の検討結果を報告書としてとりまとめ提出(第603条)報告書全体

地質・土質調査業務共通仕様書(案)令和8年3月改定(2026年)第6章 解析等調査業務による。第602条の「基礎形式の検討」は具体的な計算ではなく、基礎形式の適用に関する一般的な比較検討とされています。

工程を見ると、判断を伴う作業と、転記や作図が中心の作業が交互に並んでいることが分かります。柱状図の作成や試験結果の一覧化は後者で、地層の工学的判定や土質定数の設定は前者です。調査全体の進み方は地質調査の流れにまとめています。1つの調査地点で複数孔を掘った場合は、孔ごとではなく地点として層を決めるため、層序対比の作業が入ります。

照査・第三者検定・地盤情報データベース登録

報告書は書き上げたら終わりではなく、提出までに確認の手続きが決められています。共通仕様書(案)で定義される「照査」は、受注者が発注条件等の確認や解析等の検算といった成果の確認をすることです(第102条)。設計図書に照査技術者の配置が定められている場合、照査技術者は技術士(建設部門の土質及び基礎、応用理学部門の地質など)、国土交通省登録技術者資格、RCCM(地質部門または土質及び基礎部門)の資格保有者かそれと同等の技術者とされ、照査計画を業務計画書に記載したうえで、業務の節目ごとに成果を確認し、照査報告書をとりまとめて主任技術者に提出します(第109条)。

これとは別に、機械ボーリングで得られたボーリング柱状図と土質試験結果一覧表については、検定に関する技術を有する第三者機関による検定を受けたうえで発注者に提出し、発注者が指定する地盤情報データベースに登録することが求められます(第118条)。照査が受注者の内部で行う確認であるのに対し、検定は外部機関による確認です。電子納品要領の令和8年(2026年)2月改定でも、柱状図や土質試験結果一覧表が一般公開され広く活用されている現状から、土質試験責任者の記入欄を追加し、技術士・地質調査技士・土質試験管理者といった有資格者を推奨することが加えられました。

そして発注者側の手続きが「検査」です。受注者が業務完了報告書を提出したのち、検査職員が監督職員と主任技術者の立会のもとで成果物と業務管理状況を検査します(第120条)。不良箇所があれば修補の指示があり、期限内に直します(第121条)。報告書の記載に根拠がたどれることは、この照査・検定・検査を通すうえでも効いてきます。

様式や書き方は何で決まるのか

報告書の体裁に全国共通の唯一の様式があるわけではありません。実務では次の3つが拠りどころになります。

  • 発注機関の特記仕様書:その業務で何をどう記載するかを定めたもの。最優先で確認する。共通仕様書(案)も、特記仕様書・図面・共通仕様書・指示や協議の間に相違がある場合は監督職員に確認して指示を受けると定めている(第101条)
  • 共通仕様書と業界の標準的な手引き:国土交通省の共通仕様書(案)は工程と成果物の範囲を定める。記載事項の考え方については、全国地質調査業協会連合会が報告書作成マニュアルを刊行している。様式が定められていない書類は受注者が様式を定め、発注者が指示した場合はそれに従う(第111条)
  • 電子納品の要領:成果を電子データで納める場合のファイル形式やフォルダ構成の決まり。共通仕様書(案)は、地質・土質調査成果電子納品要領に基づいて作成した電子データで成果物を提出し、要領に記載のない項目は監督職員と協議して決めるとしている(第118条)

電子納品では、報告文そのものと資料では拠りどころが分かれます。地質・土質調査成果電子納品要領が仕様を定めているのは柱状図・地質平面図・地質断面図・コア写真・土質試験及び地盤調査・その他の成果で、報告文は土木設計業務等の電子納品要領に従って「REPORT」フォルダに、現場写真はデジタル写真管理情報基準に従って格納します。柱状図や試験データは「BORING」フォルダの下に、交換用データ・電子柱状図・コア写真・試験データのサブフォルダを分けて納めます。電子データでの納品についてはボーリング調査の電子納品で扱っています。なお、様式の判断で迷った場合は、実際の特記仕様書と発注者の指示が優先します。

時間がかかるのはどの工程か

報告書づくりの工数は、考察に費やされているとは限りません。実際に時間を取られるのは、試験結果の転記、N値の換算、層ごとの集計、図表と数量表の組版といった、判断を伴わない作業です。共通仕様書(案)の工程でいえば、資料整理とりまとめの柱状図作成や、断面図等の作成、総合解析の前段の集計がそれにあたります。技術者がここを抱えている限り、工学的判定や定数の設定に使える時間は増えません。

サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図や室内土質試験のPDFを読み取り、N値の抽出から地盤定数の算出、第1〜5章のドラフト作成までを担います。自社での検証では、報告書の取りまとめが約50時間から約35時間になりました。読み取りの精度は概ね90%で、最終的な検証と判断は技術者が行う前提です。照査で確認するのは技術者の判断であり、その根拠となる集計や図表をAIが先に揃えておく、という分担になります。どこまで自動化できるかは地質調査報告書作成AIとはで、比較検討の観点は報告書作成AIの選び方で詳しく整理しています。CAMELのサービス資料は、このページから1分ほどで請求できます。

Q.地質調査報告書と地盤調査報告書は何が違いますか?
A.明確な定義の違いがあるわけではありません。慣用として、地質調査報告書は土木構造物や建築物のためのボーリング調査の成果を指すことが多く、地盤調査報告書は戸建て住宅のスクリューウエイト貫入試験などの成果を指して使われることがあります。呼び方は発注者や業務によって変わるため、名称ではなく中身で判断してください。
Q.報告書の様式やサンプルはどこで確認できますか?
A.まずその業務の特記仕様書を確認してください。国土交通省の地質・土質調査業務共通仕様書(案)は、報告書に何を含めるか(現地調査結果・柱状図・断面図・検討結果)と工程を定めています。記載事項の考え方については、全国地質調査業協会連合会が報告書作成マニュアルを刊行しています。実例としては、自治体が委託業務の成果を公開している場合があり、章立てや図表の並びの参考になります。
Q.報告書のどこを最初に見ればよいですか?
A.立場によって変わります。設計であれば第4章の考察と支持層の判断、施工であれば地下水位と各層の性状です。数値の根拠を確認したい場合は、本文ではなく資料編の柱状図や試験結果の一覧を見ることになります。
Q.照査と検定は何が違いますか?
A.照査は受注者が自分の成果を確認する手続きで、共通仕様書(案)では発注条件の確認や解析の検算などと定義されています。照査技術者が配置される業務では、節目ごとに照査し、照査報告書を主任技術者に提出します。検定は外部の第三者機関による確認で、機械ボーリングの柱状図と土質試験結果一覧表が対象です。検定を受けたうえで発注者に提出し、発注者が指定する地盤情報データベースに登録します。
Q.報告書の作成にはどのくらい時間がかかりますか?
A.調査規模や孔数によって大きく変わるため一概には言えません。参考として、当社が検証した案件では取りまとめに約50時間かかっていました。このうち転記や集計といった作業の比率が高く、そこを機械側に寄せると全体が短くなります。

参考文献

  1. 1.国土交通省『地質・土質調査業務共通仕様書(案)』(令和8年3月25日一部改定(2026年))第101条 適用、第102条 用語の定義、第109条 照査技術者及び照査の実施、第111条 提出書類、第113条 業務計画書、第118条 成果物の提出、第120条 検査、第121条 修補、第203条 機械ボーリング、第204条 成果物、第602条 業務内容、第603条 成果物
  2. 2.国土交通省『地質・土質調査成果電子納品要領』(令和8年2月(2026年))第1編 一般編 3 地質・土質調査成果の電子化対象、4 フォルダ構成、同 解説 表4-1 地質・土質調査成果とフォルダの構成、主な改定内容 2 土質試験責任者の追加

Supervised by

監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)

Related Product

CAMEL(地質調査AI)

柱状図や土質試験のPDFを読み取り、N値の抽出から地盤定数の算出、報告書のドラフトと図表の作成までを支援するAIです。

  • 柱状図・土質試験PDFの読み取り(精度は概ね90%・技術者の確認が前提)
  • N値の換算と、地盤定数(γt・c・φ・E)の算出根拠つき出力
  • 報告書 第1〜5章のドラフトと、N値分布図・断面図・柱状図綴りの作図

自社での検証では、報告書作成が約50時間から約35時間になりました。

無料CAMEL体験会を相談
地質調査AI CAMEL の詳細

まだ相談する段階ではない方は、約1分の無料診断から。報告書作成のどの工程を圧縮できそうかがわかります。

無料診断へ