地質調査業の技術者不足は、多くの会社で共通した悩みです。ただ、採用を増やして解決しようとすると行き詰まりやすい構造があります。母数が小さく、育成に時間がかかり、そもそも採用にかける人手が社内にないためです。人を増やす方向と並行して、いま在籍している技術者の時間の使い道を変えるほうが、先に効いてきます。
技術者は何人いるのか
国土交通省に登録された地質調査業者の届出をもとに集計すると、技術者は全国で12,225名です。1社あたりの人数は中央値で5名ほどになります。この数字の内訳や資格の状況は地質調査業の担い手は何人いるのかで詳しく整理しています。
5名という規模を前提にすると、見え方が変わります。1人が抜けることの影響が大きく、その1人が長く在籍したベテランであれば、抜けた穴は人数以上のものになります。
採用で埋めにくい理由
母数がそもそも小さい
地質調査の実務経験がある人材は、業界全体で見ても限られています。同じ人材を各社で取り合う形になりやすく、規模の大きい会社ほど有利になります。
育成に時間がかかる
地質調査の中核は、層をどう判断するか、どの値を採用するかという技術的な判断です。ここは経験を積まないと身につきません。入社してすぐ任せられる仕事ではないため、採用してから戦力になるまでに年単位の時間がかかります。
採用と育成にあてる人手がない
5名の会社で、そのうち誰かが採用活動と育成に時間を割けば、その分の生産が落ちます。忙しいから人を採りたいのに、人を採るには余裕が要るという状況になりやすいところです。この余裕の乏しさは、業界の収益構造とも関係しています。詳しくは地質調査業の収益構造を参照してください。
人が増えない前提で何を変えるか
判断以外の作業を技術者から外す
報告書づくりの工程を分けてみると、技術者にしかできない判断と、そうでない作業が混ざっています。転記、換算、集計、図表の組版といった作業は後者です。ここを技術者が抱えている限り、判断に使える時間は増えません。調査全体の工程は地質調査の流れにまとめています。
判断の根拠を残して属人化を防ぐ
ベテランが抜けたときに困るのは、人数が減ることより、判断の根拠が本人の頭の中にしかないことです。どの層をどう見て、どの値をなぜ採用したのかが記録として残っていれば、引き継ぎの負荷はかなり変わります。
若手が最初からコア業務に触れられるようにする
若手に単純作業から任せる進め方は、育成の観点では遠回りになることがあります。作業を機械側に寄せられれば、若手も早い段階から層序の解釈や定数の妥当性の検討に向き合えます。判断の経験を積む機会が増えるほど、育成にかかる期間も縮まります。
作業を機械側に寄せる
サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図や室内土質試験のPDFを読み取り、N値の抽出から地盤定数の算出、報告書のドラフト作成までを担います。自社での検証では、報告書作成が約50時間から約35時間になりました。算出の根拠も画面に残るため、判断の経緯を記録として残す運用にも使えます。最終的な検証と判断は技術者が行う前提です。報告書作成の具体的な流れは地質調査報告書の作成をAIで効率化するで解説しています。
- Q.地質調査業の技術者は何人いますか?
- A.国土交通省に登録された地質調査業者の届出を集計すると、全国で12,225名です。1社あたりの人数は中央値で5名ほどになります。
- Q.採用で技術者不足は解決しませんか?
- A.採用も必要ですが、それだけでは追いつきにくい構造があります。実務経験者の母数が小さく、育成に年単位の時間がかかり、採用活動にあてる人手も限られるためです。
- Q.人を増やさずにできることはありますか?
- A.技術者が抱えている作業のうち、転記や換算、集計といった判断を伴わない部分を外していくことです。判断に使える時間が増え、若手が早くコア業務に触れられるようにもなります。
Supervised by
監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)
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CAMEL(地質調査サポートエージェント)
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- 柱状図・土質試験PDFの読み取り(精度は概ね90%・技術者の確認が前提)
- N値の換算と、地盤定数(γt・c・φ・E)の算出根拠つき出力
- 報告書 第1〜5章のドラフトと、N値分布図・断面図・柱状図綴りの作図
自社での検証では、報告書作成が約50時間から約35時間になりました。
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