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地質調査DX2026.07.28

地質調査業の収益構造|営業利益率の実態と、利益が残りにくい理由

地質調査業の営業利益率は中央値で6.3%、12.6%が営業赤字です。公表データをもとに、なぜ利益が残りにくいのかを需要構造と作業工程の両面から整理し、どこから手を付けられるかを考えます。

地質調査業の営業利益率は、売上高1億円以上の会社でみると中央値が6.3%、営業赤字の会社が12.6%あります。利益が残りにくい背景としては、単価を自社で決めにくい需要構造と、報告書作成をはじめとする人件費の重さが考えられます。この記事では、国土交通省が公表している登録業者のデータをもとに、地質調査業の収益構造を実数で確認し、どこから手を付けられるかを整理します。個社別の数値を含む一覧は地質調査業データブックにまとめています。

数字で見る地質調査業の全体像

地質調査業者は建設関連業の登録制度の対象で、受注高・技術者数・財務が国土交通省から公表されています。会社単位に名寄せして集計すると、業界の輪郭は次のようになります。

項目数値
登録業者数1,219社
年間受注高(業界計)2,454億円
技術者数12,225名
1社あたり受注高(中央値)0.84億円
営業利益率(中央値)6.3%
営業赤字の会社の割合12.6%

出典:国土交通省ウェブサイト「建設関連業の登録業者に関する情報提供システム/地質調査業者要覧」(2026年7月取得)を加工して作成。営業利益率は売上高1億円以上の1,085社を対象に集計。受注高は地質調査業務としての届出値で、会社全体の売上高ではありません。

1社あたりの受注は1億円に届かない

1社あたりの受注高は、中央値が0.84億円、平均が2.09億円です。平均が中央値の2倍以上になるのは、上位への集中が大きいためです。上位20社の合計で業界の30.3%、上位300社で76.7%を占めます。裏を返すと、残る900社以上が全体の2割強を分け合っている計算になります。

9割が技術者20名未満の会社

技術者数でみると、20名未満の会社が全体の約9割を占めます。技術者50名以上は28社(2.3%)にとどまり、この28社が受注の30.9%を担っています。会社数の分布と受注の分布が逆を向いているのが、この業界の特徴です。規模が小さいほど、間接部門や設備の費用は分散しにくくなる面があります。

なぜ利益が残りにくいのか

単価を自社で決めにくい需要構造

受注の内訳は官公庁が45.0%、民間が54.4%です。公共依存の業界と語られることが多いものの、実際には民間需要が過半を占めます。ただし民間受注のうち相当部分は下請で、業界計では受注の24.5%相当が下請にあたります。官公庁案件は積算基準に沿って価格が決まり、下請案件は元請の予算の範囲に収まります。どちらも、自社の努力だけでは単価を引き上げにくい面があります。

調査そのものより、整理と報告書に時間がかかる

現場で掘って終わりではなく、その後にデータの整理と報告書の作成が続きます。柱状図の転記、N値の換算、土質の判定、地盤定数の算出、断面図や柱状図綴りの作図、第1章から第5章までの文章作成。この工程は資格と経験を持つ技術者でなければ進めにくいため、技術者の少ない会社ほど特定の人に負荷が集中しやすくなります。人件費の負担が大きくなりやすいのは、この部分です。

技術者が足りないと受注を増やしにくく、受注が増えなければ人も採りにくくなります。規模の小さい会社ほど、この影響は受けやすいのではないかと思います。

どこから手を付けるか

まず工程別の時間を把握する

省力化の検討は、感覚ではなく実測から始めるほうが進めやすくなります。1件の案件で、現場・室内試験・データ整理・作図・執筆にそれぞれ何時間かかっているかを数件分だけでも記録すると、手を付ける順番が見えてきます。時間を食っているのは判断そのものではなく、転記と作図であることが少なくありません。全体の進め方は地質調査DXの始め方でも整理しています。

報告書作成の省力化

サファリテックが開発しているCAMELは、柱状図や土質試験のPDFを読み取ってN値を抽出し、土質と層序を判定して地盤定数を算出根拠つきで求め、報告書のドラフトと図表を自動で作成します。自社での検証では、報告書作成が約50時間から約35時間になりました(約30%の削減)。N値の整理から単位体積重量の算出までは、半日から1日かかっていたものが15分から30分程度になっています。

読み取りの精度は概ね90%で、100%ではありません。N値や層序は技術者の確認を前提としており、層数の決定のように判断が要る部分は人が確定します。省力化できるのは転記と作図、そして文章のドラフトまでで、成果品の責任を負う判断は残ります。詳しくは地質調査報告書の作成をAIで効率化をご覧ください。

電子納品まわりの注意

電子納品用のXML(ボーリング交換用データ)の自動出力には、現時点では対応していません。データ化の前処理として使い、納品形式については電子納品の要領に沿って別途整える必要があります。

Q.地質調査業の平均的な利益率はどのくらいですか?
A.国土交通省の公表データを集計すると、売上高1億円以上の1,085社で営業利益率の中央値は6.3%です。12.6%の会社は営業赤字となっています。ただし地質調査以外の事業を持つ会社も含まれるため、会社ごとの幅は大きくなります。
Q.小規模な会社でも報告書作成の効率化は意味がありますか?
A.技術者が少ない会社ほど、報告書作成が特定の人に集中しやすくなります。全体の作業量が小さくても、その人の稼働が空くかどうかが、受注できる件数に響いてくると考えられます。逆に、案件数が少なく作業が平準化されている場合は、効果を感じにくいこともあります。
Q.業界全体の受注高や、自社の位置づけはどこで確認できますか?
A.国土交通省の「建設関連業の登録業者に関する情報提供システム」で公表されています。会社単位に集計した一覧は[地質調査業データブック](/chishitsu-databook)にまとめており、受注高の順位や需要構成、地域別の分布を確認できます。

自社の工程のどこから省力化できるかを整理したい場合は、無料の地質調査DX診断もご利用いただけます。

Supervised by

監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)

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CAMEL(地質調査サポートエージェント)

柱状図や土質試験のPDFを読み取り、N値の抽出から地盤定数の算出、報告書のドラフトと図表の作成までを支援するAIです。

  • 柱状図・土質試験PDFの読み取り(精度は概ね90%・技術者の確認が前提)
  • N値の換算と、地盤定数(γt・c・φ・E)の算出根拠つき出力
  • 報告書 第1〜5章のドラフトと、N値分布図・断面図・柱状図綴りの作図

自社での検証では、報告書作成が約50時間から約35時間になりました。

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