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N値から地盤定数を求める方法|砂質土・粘性土の換算式と注意点(式ごとに比べる計算機つき)

N値から地盤定数を求めるには、砂質土は内部摩擦角φ、粘性土は一軸圧縮強さquを介して粘着力cを換算式で推定し、単位体積重量γtは基準の標準値表から選びます。式は経験式で、同じN値でも採用する式によって推定値が変わります。建築基礎構造設計指針・道路橋示方書・河川砂防技術基準の原典で式と適用条件を確かめ、図で比べました。

換算式を指針ごとに確かめ、層ごとに計算して根拠を残すのは手間のかかる作業です。地質調査AI「CAMEL」なら設計指針を選ぶだけで算出できます。

小林 由快

監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

標準貫入試験で得たN値から地盤定数を求めるには、砂質土は内部摩擦角φを、粘性土は一軸圧縮強さquを介して粘着力cを換算式で推定し、単位体積重量γtは基準の標準値表から選びます。変形係数Eも推定式はありますが、目安にとどまります。どの式も経験式なので、同じN値でも採用する式によって推定値が変わり、報告書では対象構造物の基準が指定する式と版に合わせて根拠を残すことが要になります。

以下では、建築基礎構造設計指針(第3版)、道路橋示方書、河川砂防技術基準の原典にあたって式と適用条件を並べ、同じN値で式ごとの推定値がどれだけ違うかを図で比べます。

N値から地盤定数を求める流れ。砂質土は補正N値を経て内部摩擦角へ、粘性土は一軸圧縮強さを経て粘着力へ、土質を問わず単位体積重量と変形係数を目安として求める。
図1 N値からどの地盤定数を、どの経路で求めるか。緑の枠が最終的に報告書に載る値で、それぞれに別の式・別の限界があります。

N値からどの地盤定数を求められるか

砂質土では主に内部摩擦角φを、粘性土では一軸圧縮強さ qu を介して粘着力cを推定します。単位体積重量γtは土質と締まり具合の区分から標準値を当て、変形係数Eも推定できますが、ばらつきが大きい値です。

求めたい値砂質土粘性土
内部摩擦角 φ主にこれを推定する通常は用いない
粘着力 c一般に c=0 と仮定する一軸圧縮強さ qu を介して推定する
変形係数 E推定できるがばらつきが大きいN値4以下は相関がほぼない
単位体積重量 γt土質と締まり具合の区分から標準値を用いる同左

砂質土では一般に粘着力 c=0 と仮定して、N値から内部摩擦角を推定します。同じN値でも、土質によって読み取るべき地盤定数が異なります。

砂質土:N値から内部摩擦角φを求める式は?

N値からせん断抵抗角(内部摩擦角)を推定する式は複数あり、基準・指針ごとに異なります。下の表は、関東地質調査業協会 技術委員会が全地連の技術フォーラムで発表した資料に整理されている式を軸に、指針に載っている式には原典の式番号を添えたものです。

式出典・通称補正N値
φ = √(12N) + 15 / + 20 / + 25(土粒子の形状と粒度の組み合わせで加える数が変わる)ダナム(Dunham)の式使わない
φ = 0.3N + 27Peckの式使わない
φ = √(20N) + 15大崎の式。建築基礎構造設計指針 第3版 式(2.7.1) に「大崎の提案式」として掲載使わない
φd = √(20N₁) + 20(3.5≦N₁≦20)/ φd = 40(N₁>20)建築基礎構造設計指針 第3版(2019)式(2.7.2)。畑中らが細粒分含有率20%以下の砂質土について凍結サンプリング試料の試験結果から提案した実験式N₁ = N/√(σz′/100) 式(2.7.3)
φ = 4.8 ln N₁ + 21(N>5)道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編参考資料1 式(参1.1)。ln は自然対数N₁ = 170N/(σv′ + 70) 式(参1.2)
φ = 25 + 3.2√(100N/(70+σv′))港湾の施設の技術上の基準式に含む
φ = 1.85[N/(0.01σv′ + 0.7)]^0.6 + 26鉄道構造物等設計基準式に含む

σv′・σz′ は有効上載圧(kN/m²)。ダナム・Peck・港湾・鉄道の式は関東地質調査業協会 技術委員会「N値に関する物性値換算の問題と適応性の限界について」(全地連 技術フォーラム2020)に拠り、同資料は地盤工学会「地盤調査の方法と解説」等を引用元としています。建築基礎構造設計指針と道路橋示方書の式は原典で照合しました。ダナムの式で粒子形状と粒度の組み合わせに +15・+20・+25 のどれを当てるかは資料によって区分の書き方が異なるため、採用する際は拠る基準の原典で確認してください。

補正N値を使う式と、使わない式がある

上の表で分かれ目になるのが補正N値です。ダナム・Peck・大崎の式は相関研究の初期に提案されたもので、有効上載圧を考慮していません。建築基礎構造設計指針も、大崎の式について「当時の実験値にはかなりのばらつきが含まれている」と述べたうえで、有効上載圧で補正したN₁値を使う畑中らの式を併記しています。同じ地盤でも浅い層と深い層ではN値の意味が変わるため、どちらの系統の式かを確かめずに数値だけ引用すると、前提を外します。

補正N値には、浅い位置での扱いに注意点があります。建築基礎構造設計指針は、根入れの小さい直接基礎では有効上載圧が小さい地表面付近でN₁が大きくなり支持力を過大評価するおそれがあるとして、原則として σz′ ≧ 100 kN/m² とするのがよいとしています。道路橋示方書の式でも、有効上載圧が 50 kN/m² を下回る場合は 50 kN/m² として算出することになっています。式だけ持ってきて、こうした下限の扱いを落とすのが典型的な間違いです。

道路橋示方書の式の log は自然対数

道路橋示方書の φ = 4.8 log N₁ + 21 は、資料によって log と書かれていることが多いのですが、原典の参考資料1では自然対数(log_e)です。関東地質調査業協会の令和3年の資料にも「log:自然対数」と明記されています。常用対数で計算すると、N₁ = 20 のとき 4.8 × 1.30 + 21 ≒ 27.2° となり、自然対数で計算した 4.8 × 3.00 + 21 ≒ 35.4° と 8° 以上違います。表計算ソフトの LOG 関数は既定で常用対数なので、実装の際に取り違えやすい箇所です。

構造物の種類によって、使う式が違う

対象とする構造物によって、採用される式は異なります。たとえば農林水産省の土地改良事業設計指針「耐震設計」では、水路構造物には大崎の式、橋台や橋脚には道路橋示方書の式が用いられる場合が多いとされています。ただしここでいう道路橋示方書の式は φ = √(15N) + 15(≦45°、N>5)で、上の表に挙げた φ = 4.8 ln N₁ + 21 とは別の式です。同じ「道路橋示方書の式」という呼び方でも、拠る版によって中身が変わります。まず扱う構造物の基準を確認し、そこで指定されている式と版に合わせるのが出発点です。どの指針に拠るかで値も根拠も変わる点は、設計指針で地盤定数の求め方は変わるで整理しています。

同じN値でも、式によって推定値が変わる

N値0から50に対する内部摩擦角の曲線を換算式ごとに重ねた図。N値20で30.5度から40.5度まで約10度の幅がある。
図2 上の表の式を同じ軸に重ねたもの。有効上載圧を 100 kN/m² と置くと、建築基礎構造設計指針と道路橋示方書のどちらの補正式でも N₁ = N になるため、同じ横軸で比べられます。深さが変わると補正N値を使う2本の曲線は左右に動きます。
  • ダナムの式は、粒子の形状と粒度の組み合わせだけで最大10°の差が出る
  • N値が5未満の範囲では、式による推定値の差が大きい
  • N値20では、式によって 30.5°〜40.5° と約10°の幅がある
  • 建築基礎構造設計指針の式は N₁>20 で 40° に頭打ちになる。他の式にはこの上限がない

その場で比べる

N値を入れると、式ごとの推定値が並びます

N値 20 で、式によって 30.5°〜40.5°(幅 10.0°)の差があります。

ダナム(Dunham)の式・+15φ = √(12N) + 15(土粒子の形状と粒度で加える数が変わる)30.5°
ダナム(Dunham)の式・+25φ = √(12N) + 2540.5°
Peckの式φ = 0.3N + 2733.0°
大崎の式φ = √(20N) + 1535.0°
建築基礎構造設計指針 式(2.7.2)N₁ = 20.040.0°
道路橋示方書 式(参1.1)N₁ = 20.0・ln は自然対数35.4°
港湾の施設の技術上の基準φ = 25 + 3.2√(100N/(70+σv′))36.0°
鉄道構造物等設計基準φ = 1.85[N/(0.01σv′+0.7)]^0.6 + 2634.1°

式と適用範囲は本文の表のとおりです。概略検討の参考値で、設計に使う値は拠る指針の原典と試験結果で決めてください。

1つの値を確かめるならこれで足ります。全部の孔・全部の層について、案件の設計指針を選んで根拠つきで出すなら、地質調査AI「CAMEL」が柱状図PDFからN値を読み取り、地盤定数一覧表までを作ります。

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「N値20だからφは○°」と一意には決まりません。前掲の関東地質調査業協会の資料でも、推定式のみで軟弱地盤上の盛土の安定を検討した場合、同じN値でも採用する式の違いによって対策の要否が変わるケースがあると指摘されています。

粘性土:N値から粘着力cを求めるには?

粘性土では、N値からまず一軸圧縮強さ qu を推定し、c = qu / 2 として粘着力を導くのが一般的です。qu の推定式も複数あり、式によって値が大きく変わります。

式(kN/m²)出典
qu = 50N土質工学ハンドブック(1982)
qu = 25N米国海軍省 DESIGN MANUAL 7
qu = 17NPeck(シカゴ粘土)
qu = 15N米国海軍省 DESIGN MANUAL 7
qu = 12.5NTerzaghi and Peck(地盤調査の方法と解説)
qu = 7.5N米国海軍省 DESIGN MANUAL 7
qu = 40 + 5N大崎(1959)東京地盤図

出典は前掲の関東地質調査業協会の資料。式の選び方によって、一軸圧縮強さの推定値には最大6.7倍の差が生じます(qu=50N と qu=7.5N の比較)。N値が小さい範囲でこれらの式をそのまま採用することは、実務上の大きな問題になり得ると指摘されています。

N値0から30に対する一軸圧縮強さの直線を換算式ごとに重ねた図。N値20で1,000から150まで6.7倍の差があり、Terzaghi and Peckの区分を灰色の段で示している。
図3 qu の換算式を同じ軸に重ねたもの。灰色の段は次の表の Terzaghi and Peck の区分で、多くの式がこの段の中を通る一方、qu = 50N だけが大きく外れます。

指針はさらに慎重です。建築基礎構造設計指針は、粘性土の一軸圧縮強さとN値の関係を表す経験式について、N値が小さいところで信頼性が低いため用いるべきではないとし、粘着力は原位置で採取した乱さない試料の一軸圧縮試験や三軸圧縮試験から求めることを基本としています。N値から qu を推定するのは、あくまで概略検討の補助と考えるのが安全です。

N値とコンシステンシーの対応

コンシステンシーN値qu(kN/m²)
非常に軟らかい2未満0〜24.5
軟らかい2〜424.5〜49.1
普通の4〜849.1〜98.1
硬い8〜1598.1〜196.2
非常に硬い15〜30196.2〜392.4
固結した30超392.4超

Terzaghi and Peck による区分(関東地質調査業協会『我が国における標準貫入試験の利用実態と留意点』2021年(令和3年) 表4-2-2 ほか。原典の年号は資料により1948年と1955年で表記が分かれます)。qu = 12.5N の式は、この「範囲のある対応」を範囲の中央値で定式化したものであり、定式化の段階で誤差を含みます。コンシステンシーの意味は別記事で解説しています。

変形係数EはN値からどこまで推定できるか

推定式はありますが、同じN値で約10倍の幅があると報告されているため、概略検討で推定式を使う場面と試験で実測する場面を分けて考えます。

建築基礎構造設計指針 第3版は、地下水位以浅の砂質土の沈下量を求める場合の変形係数として、沖積砂質土(正規圧密)で E = 1.4N、洪積砂質土(過圧密)で E = 2.8N(いずれも MN/m²、式(2.7.6)・(2.7.7))を示し、この関係式が想定するひずみレベルは1%程度としています。孔内水平載荷試験による変形係数をN値から推定する式としては E = 700N(kN/m²)が広く使われてきましたが、同指針は、土質分類や堆積環境によって相関が異なるという報告があるため、土質区分や堆積環境の影響にも配慮が必要だと注意しています。孔内載荷試験に基づく式には E = 670N^0.986(kN/m²、土屋・豊岡 1980)もあります。変形係数を推定ではなく実測で求める方法としては、孔内水平載荷試験(LLT)があります。

N値に対する変形係数の推定式4本を対数目盛で重ね、N値5と10で報告されているばらつきの幅を縦線で示した図。幅は約10倍ある。
図4 変形係数の推定式と、報告されているばらつき。縦軸は対数目盛です。式の間の差よりも、同じN値で報告されている値の幅(約10倍)のほうが大きいことが分かります。

変形係数は、推定のばらつきがとくに大きい値です。N値5で E ≒ 800〜10,000 kN/m²、N値10で E ≒ 1,500〜20,000 kN/m² と、約10倍の幅があると報告されています。加えて、吉中(1967)は粘性土への換算式の適用は不適であると述べており、日本建築学会もN値4以下の粘性土についてはN値との相関が事実上ないとしています。沈下量に直結する値なので、圧密試験や孔内水平載荷試験で実測する場面と、概略検討で推定式を使う場面を分けて考えます。E=700N と E0=2,800N の違いや、試験ごとにEが変わる理由は変形係数をN値から推定するで詳しく解説しています。

単位体積重量γtはどう決めるか(標準値の表)

単位体積重量は、土質試験の結果があればその値を使い、無い場合は基準が示す標準値を用います。国土交通省の河川砂防技術基準 設計編は、土質と締まり具合の2段階で次の表を示しています。道路橋示方書 Ⅰ共通編の解説にも同じ構成・同じ値の表(表-解8.7.2)があり、道路と河川の構造物ではこの表が広く使われています。

地盤土質緩いもの密なもの
自然地盤砂及び砂礫1820
自然地盤砂質土1719
自然地盤粘性土1418
埋戻し土・盛土砂及び砂礫20(区分なし)
埋戻し土・盛土砂質土19(区分なし)
埋戻し土・盛土粘性土18(区分なし)

単位は kN/m³。出典:国土交通省『河川砂防技術基準 設計編 技術資料』第1章第7節 堰(令和4年6月版(2022年))表7-5 土の単位体積重量。地下水位以下にある土は、表の値から9を差し引いた値としてよいとされています。土質試験データがある場合はその値を用いて設計することが望ましい、との注記も同基準にあります。

建築側の建築基礎構造設計指針 第3版は、表2.7.3 で礫・砂・シルト・粘土・関東ローム・高有機質土の6区分に分け、それぞれ「ゆるい(やわらかい)」「密な(かたい)」の2段階を、湿潤・飽和・水中の3つの状態ごとに示しています。区分の切り方も値も土木側の表とは異なるため、建築物の基礎では建築側の表、道路や河川の構造物では土木側の表と、拠る基準に合わせて選びます。どちらの表も締まり具合は2段階しかありません。中間的な締まり具合に対して両者の間の値を採るなら、N値の区分など、その根拠を報告書に明記しておく必要があります。湿潤・飽和・水中の違いと、地下水位より下で引く値の指針ごとの違いは土の単位体積重量の目安で整理しています。

なぜ砂質土と粘性土で考え方が変わるのか

粒子のかみ合わせで強さが決まる砂質土と、含水比や過圧密の影響を受ける粘性土とでは、N値が表すものが違うからです。砂では締まり具合と内部摩擦角、粘土では硬さの目安として読みます。

砂質土の場合

砂質土では、N値は主に締まり具合(相対密度)や内部摩擦角と結び付けて考えます。粒子のかみ合わせで強さが決まる土であり、N値が大きいほど締まった地盤とみなせます。

粘性土の場合

粘性土では、N値は粘着力やコンシステンシー(硬さ・軟らかさ)の目安として扱います。含水比や過圧密の影響を受けやすく、N値だけで判断すると実態とずれることがあるため、できれば室内土質試験の結果と併せて確認します。せん断強さを直接調べるなら三軸圧縮試験、沈下の検討が要るなら圧密試験が該当します。同じN値でも土質によって読み取るべき地盤定数が異なるため、まず土質を正しく把握することが出発点になります。

換算式を使うとき、何に注意するか

相関式は経験式で、式・版・適用条件によって推定値が変わる点です。採用する設計指針の式を版まで合わせ、補正や上限・下限の条件を落とさずに使います。

  • 相関式は経験式であり、ばらつきと誤差を必ず含む
  • 相関式は複数あり、採用する式によって推定値が異なる
  • 式には版がある。同じ指針名でも版によって式が入れ替わっている(道路橋示方書の φ の式など)
  • 対数の底、有効上載圧の下限、N₁の上限(40°の頭打ち)など、式の周辺にある条件を落とさない
  • 相関の基データには地域性がある(東京区部のデータに基づく式など、限定的なものがある)
  • 地下水位やロッド長、上載圧などの影響で、実測N値の補正が必要な場合がある
  • 一点の値に引きずられず、層全体の傾向として深度方向のばらつきを扱う
  • N値そのものにも、装置の状態や実施手順による誤差が含まれている

前掲の関東地質調査業協会の資料は、地質技術者が地盤定数を検討する際には、相関式の適用限界と適正なN値の利用範囲を理解したうえで、室内試験や原位置試験の結果を踏まえて設定することが重要だと結論づけています。換算値だけで地盤定数を決めるのは危険です。どの式をどの版で使うか、試験値とどう突き合わせるかは、技術者が判断するところです。

N値の整理と地盤定数の算出は、どこまでAIに任せられるか

どの式を採るか、試験値とどう突き合わせるかは技術者が判断する部分で、AIに任せられるのはその手前の読み取り・集計・計算です。

一方で、柱状図からN値を読み取って転記し、層ごとに集計して、式に当てはめて計算する作業は、時間はかかっても判断を伴いません。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図PDF・電子柱状図(XML)と室内土質試験の成績表を読み取り、N値の換算・層ごとの集計と代表N値から、設計指針を選んで地盤定数(γt・c・φ・E など)を算出します。どの指針のどの式・どの表のどの区分を使ったかという算出根拠まで提示され、ワンクリックで修正できるので、技術者は換算の妥当性の確認に集中できます。N値の整理から単位体積重量の算出までは、従来の半日〜1日が15〜30分程度になります。

地盤定数一覧表・N値集計表はExcelで、報告書 第1〜5章のドラフトはWordで出力されます。詳しくはサービス資料をご覧ください。

Q.N値から内部摩擦角を求める式はどれを使えばよいですか?
A.対象とする構造物の設計基準で指定されている式に、その版まで含めて合わせるのが基本です。たとえば農林水産省の土地改良事業設計指針「耐震設計」では、水路構造物に大崎の式、橋台や橋脚に道路橋示方書の式(φ = √(15N) + 15)が用いられる場合が多いとされています。式を自由に選べる場面は実務ではほとんどありません。
Q.大崎の式は掛け算と足し算のどちらですか?
A.φ = √(20N) + 15 です。N値に20を掛けた値の平方根に15を加えます。ウェブ上では √(20+N) と足し算で記載されている例も見られますが、建築基礎構造設計指針 第3版の式(2.7.1)をはじめとする出典では、掛け算の形で示されています。
Q.道路橋示方書の φ = 4.8 log N₁ + 21 の log は常用対数ですか?
A.自然対数です。原典の道路橋示方書 Ⅳ下部構造編 参考資料1では log_e と書かれており、関東地質調査業協会の資料にも「log:自然対数」と明記されています。常用対数で計算すると N₁ = 20 で 8° 以上小さく出ます。
Q.N値だけで地盤定数は決められますか?
A.決められません。相関式は経験式であり、採用する式によって推定値が変わります。変形係数では約10倍、一軸圧縮強さでは最大6.7倍の差が生じることもあります。建築基礎構造設計指針も、粘性土の粘着力は乱さない試料の一軸・三軸圧縮試験から求めることを基本とし、N値との経験式はN値が小さいところで信頼性が低いため用いるべきではないとしています。
Q.単位体積重量はN値から計算するのですか?
A.計算式ではなく、基準が示す標準値の表から、土質と締まり具合(緩い・密な)の区分で選びます。河川砂防技術基準や道路橋示方書の解説では自然地盤の砂質土で 17〜19 kN/m³、粘性土で 14〜18 kN/m³ といった2段階の表、建築基礎構造設計指針では6つの土質区分と湿潤・飽和・水中の別を持つ表が示されています。土質試験の結果があればそちらを優先します。
Q.補正N値(N₁)とは何ですか?
A.有効上載圧の影響を取り除くために補正したN値です。同じ締まり具合の地盤でも、深い位置ほどN値は大きく出ます。建築基礎構造設計指針や道路橋示方書の比較的新しい式は、この補正N値を用いる前提で作られています。浅い位置では有効上載圧に下限を設ける扱い(指針で σz′ ≧ 100 kN/m²、道路橋示方書で 50 kN/m² 未満は 50 とする)があるので、式と一緒に確認してください。
Q.CAMELは地盤定数の算出まで自動化できますか?
A.柱状図からのN値の読み取りと、設計指針を選んでの地盤定数の算出まで任せられます。どの指針のどの式・表を使ったかという算出根拠を提示するので、計算の過程を確認できます。最終的な妥当性は技術者が確認する前提です。

参考文献

  1. 1.日本建築学会『建築基礎構造設計指針』第3版(2019年11月)2.7節 地盤定数 p.27-33。表2.7.3(土の単位体積重量)、式(2.7.1)〜(2.7.3)(内部摩擦角と換算N値)、式(2.7.6)・(2.7.7)(変形係数)
  2. 2.日本道路協会『道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編』令和7年版(2025年)。4.2 地盤定数の特性値、参考資料1 式(参1.1)・(参1.2)
  3. 3.日本道路協会『道路橋示方書・同解説 Ⅰ共通編』令和7年版(2025年)。8.7 土圧の解説 表-解8.7.2(概略設計で用いる土の単位体積重量の例)
  4. 4.国土交通省『河川砂防技術基準 設計編 技術資料』第1章第7節 堰(令和4年6月版(2022年))表7-5 土の単位体積重量
  5. 5.関東地質調査業協会 技術委員会「N値に関する物性値換算の問題と適応性の限界について」全地連「技術フォーラム2020」
  6. 6.関東地質調査業協会『我が国における標準貫入試験の利用実態と留意点』2021年(令和3年)。p.43(道路橋示方書の式の対数)、p.47 表4-2-2(Terzaghi and Peck の区分)
  7. 7.地盤工学会『地盤調査の方法と解説』(5. の引用元)
  8. 8.農林水産省『土地改良事業設計指針「耐震設計」』
小林 由快

この記事の監修

小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。

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