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地質調査DX2026.07.29

圧密試験とは|段階載荷の手順・得られる4つの値・沈下量の計算を図で解説

圧密試験は、粘性土がどれだけ縮むか、どれくらいの時間をかけて縮むかを調べる試験です。段階載荷の手順と所要日数、得られる4つの値(pc・Cc・mv・cv)、それらを沈下量と沈下時間の計算にどう使うかを、一次資料に沿って図で整理します。

小林 由快

監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

圧密試験とは、粘性土の供試体を金属製のリングに収め、段階的に荷重をかけて、時間の経過とともにどれだけ縮んでいくかを調べる室内土質試験です。JIS A 1217「土の段階載荷による圧密試験方法」と JIS A 1227「土の定ひずみ速度載荷による圧密試験方法」の2つの基準があり、地盤工学会が基準化しています。粘性土は荷重を受けると、内部の水がゆっくり抜けながら長い時間をかけて縮みます。この性質を実験室で再現し、沈下の量と速さを予測するための値を得るのがこの試験の役目です。本記事では、試験の手順、得られる4つの値、その値を沈下の計算にどう使うかを整理します。

圧密試験とは:縦方向だけに縮む条件で粘性土を測る

供試体は直径 6 cm・高さ 2 cm の円盤状で、圧密リングと呼ばれる金属製の円筒リングにセットします。リングが側面を拘束するため、供試体は横に膨らむことができず、垂直方向にだけ変形します。これを一次元変形と呼びます。上から荷重を載せ、供試体の変位量(沈下量)を測定するのが試験の基本です。地盤の中でも、広い盛土の中央直下では土は横に逃げにくく、縦方向の圧縮が主になります。試験でこの状態を再現しているわけです。

何のために行うかというと、粘性土の上に盛土や構造物を載せたとき、どれだけ沈むか、沈み終わるまでにどれだけかかるかを見積もるためです。河川砂防技術基準 調査編では、河川堤防の軟弱地盤調査で粘性土に行う土質試験の一つとして圧密試験を挙げ、得られる値を圧縮曲線、圧密降伏応力、圧縮指数、体積圧縮指数、圧密係数としています。乱れの少ない試料の採取が難しい泥炭などの有機質土でも、圧密試験は試験項目に含まれています。沈下の現象そのものは「圧密沈下とは」で扱っているので、本記事は試験の側から説明します。

装置と手順:段階載荷方式と定ひずみ速度載荷方式

左に圧密リングに収めた直径6cm・高さ2cmの粘性土供試体と上からの荷重、右に経過日数を横軸にした載荷圧の階段グラフ。5〜2000 kN/m²の範囲で8段階、各段階24時間ずつ載せて8日、除荷に1日を加えて9日間になることを示す。
段階載荷方式の流れ。小さな荷重から順に載せ、各段階で24時間の沈下量を記録する。除荷を含めて試験日数は9日になる。

荷重の載せ方で2つの方式があります。段階載荷方式(JIS A 1217)では、5〜2000 kN/m² の範囲で8段階の荷重を設定し、小さな荷重から順に載せていきます。各段階では、載荷を始めた時点から供試体の変位量を24時間計測します。したがって試験日数は8段階×24時間で8日間、これに除荷の過程1日を加えて9日間です。荷重を増やすたびに縮みが落ち着くまで待つので、日数がかかる試験になります。

定ひずみ速度載荷方式(JIS A 1227)は、一定のひずみ速度で供試体を強制的に変位させていく方式です。段階を待たずに連続して圧縮するため、試験時間を短くできます。どちらの方式を採用するかは、業務の仕様と試験機関の設備によります。報告書やデータシートを読むときは、どちらの方式で得た値かを確認しておくと、他孔の結果と比べるときに迷いません。

段階載荷では、各段階の沈下量と時間の関係(沈下-時間曲線)と、各段階の荷重と圧密後の間隙比の関係(圧縮曲線)の2種類の記録が残ります。前者から沈下の速さに関する値が、後者から沈下の量に関する値が求まります。次の節で見る4つの値は、この2つの曲線から読み取ったものです。

得られる4つの値:pc・Cc・mv・cv

圧密試験の結果からは、圧密降伏応力 pc、圧縮指数 Cc、圧密変形に関する値 mv(体積圧縮係数)、圧密時間に関する値 cv(圧密係数)が得られます。それぞれの意味と使われ方を表にまとめます。

記号名称何を表すか主な使いみち
pc圧密降伏応力その粘性土が過去に受けてきた圧密応力の目安。これを超える荷重で縮み方が大きく変わる過圧密か正規圧密かの判定
Cc圧縮指数圧縮曲線(e–log p 曲線)の正規圧密領域の傾き。荷重の対数に対する間隙比の減り方沈下量の計算
mv体積圧縮係数単位の応力増加に対する体積(層厚)の縮み率。単位は m²/kN沈下量の計算
cv圧密係数沈下がどれくらいの速さで進むかを表す値沈下時間の計算

全地連『地質と調査』159号 教養読本 土質試験 2-2(1)、河川砂防技術基準 調査編 第15章 第2節の試験項目に基づく。河川砂防 第15章では mv を「体積圧縮指数」、第3章 3.5 では「体積圧縮係数」と表記している。

圧縮曲線は、横軸に荷重(圧密応力)の対数、縦軸に間隙比をとった図で、e–log p 曲線とも呼ばれます。荷重が小さいうちは曲線の傾きが緩く、ある荷重を境に急になります。この折れ目に当たる荷重が圧密降伏応力 pc で、急になった部分の傾きが圧縮指数 Cc です。同じ粘性土でも、pc を超えるかどうかで沈下量が大きく変わるため、設計で載せる荷重が pc のどちら側に来るかは最初に確認する事項です。

試験結果から沈下量と沈下時間を計算する

不撹乱試料の採取、圧密試験、沈下-時間曲線から圧密係数cv、e–log p 曲線から圧密降伏応力pcと圧縮指数Cc・mv、沈下量と沈下時間の計算、という5段階の流れ図。下に沈下量の式と、過圧密か正規圧密かの見分け方を添えている。
圧密試験で得た4つの値が、沈下量(pc・Cc・mv)と沈下時間(cv)の計算に分かれて使われる。

河川砂防技術基準 調査編は、盛土中央下の軟弱層について、層区分した圧密層ごとに一次圧密沈下量を求め、軟弱層全体で合計して全沈下量とする方法を示しています。基本の式は、圧密層の初期間隙比 e₀ と圧密後の間隙比 eᵢ、層厚 H から S = (e₀ − eᵢ)/(1 + e₀)・H です。eᵢ は e–log p 曲線に層中央深度の P₀ + ΔP を当てて読み取ります。現場の e–log p 曲線を推定するのは一般に難しいので、試験で得た曲線から求めた値を用いてよいとされています。

正規圧密土からなる軟弱層で、圧密層ごとに圧縮指数 Cc または体積圧縮係数 mv が求められている場合は、次の2つの式でも沈下量を計算できます。Cc を使う式は S = Cc/(1 + e₀)・log((P₀ + ΔP)/P₀)・H、mv を使う式は S = mv・ΔP・H です。ここで P₀ は盛土前の土かぶり応力、ΔP は盛土荷重による増加応力(いずれも kN/m²)、H は圧密層の層厚、S は一次圧密沈下量です。同基準では S と H を cm で扱っています。Cc の式が正規圧密土を前提にしている点は見落としやすく、過圧密の層にそのまま当てると沈下量を過大に見積もります。

沈下時間は圧密係数 cv で決まります。cv が小さい土ほど、また排水できる砂層までの距離が長いほど、沈下が収まるまでに時間がかかります。地質・土質調査共通仕様書(案)令和8年度版(2026年)の軟弱地盤技術解析では、地中の鉛直増加応力を算定し、即時沈下量、圧密沈下量、各圧密度に対応する沈下時間を算定することが業務内容に含まれています。試験で得た cv は、この「各圧密度に対応する沈下時間」の計算に使われます。

過圧密か正規圧密か:pc と現在の土かぶり圧を比べる

粘性土は、堆積が進むにつれて土かぶり圧が増え、間隙比が減っていきます。土かぶり圧の増加に対する間隙比の減り方が、その粘土の圧縮指数と一致している状態を正規圧密状態と呼びます。一方、現在受けている土かぶり圧 pv が圧密降伏応力 pc より小さい状態(pv < pc)が過圧密状態です。過去に現在より大きな圧密応力を受けた履歴があるため、同じ土かぶり圧の正規圧密粘土より非排水せん断強度は大きく、荷重の増加に対する間隙比の減り方も小さくなります。

設計で意味を持つのは、載せる荷重を加えた後の応力 P₀ + ΔP が pc を超えるかどうかです。超えなければ沈下は小さく、超えると正規圧密領域の急な傾きで縮むため沈下量が一気に増えます。圧密試験の結果を読むときは、pc の値そのものより、対象深度の土かぶり圧と設計荷重がその値のどちら側にあるかを先に確かめます。この判定は「圧密沈下とは」で現象の側からも説明しています。

なぜ粘性土で行い、砂質土では通常行わないのか

河川砂防技術基準 調査編は、地下水の揚水に伴う地盤沈下について、粘性土の圧縮によるものと、砂層や礫層の弾性変形によるものがあり、前者のほうが沈下量は大きいと説明しています。砂質土は水が抜けやすく、荷重をかけたときの沈下は短い時間で収まります。粘性土は水が抜けにくいため、沈下が何年にもわたって続き、構造物が完成した後に傾きや不同沈下として現れることがあります。時間をかけて縮む性質を測る試験が粘性土に必要で、砂質土では通常不要なのはこのためです。

同基準の河川堤防の軟弱地盤調査でも、粘性土の試験項目に圧密試験が入り、乱れの少ない試料が採りにくい泥炭などの有機質土でも圧密試験は行うこととされています。有機質土は含水比が高く圧縮性が大きいため、沈下の検討で外せないからです。

試料と工程で気をつけること

圧密試験は乱れの少ない試料が前提です。河川砂防技術基準 調査編は、軟弱な粘土地盤では原則として固定ピストン式シンウォールサンプラー等で乱れの少ない試料を採取するとし、軟弱粘土では一般に N値が4〜5未満が試料採取の可能な硬さだとしています。採取から試験までの扱いは「不撹乱試料とは」を参照してください。試料が乱れていると圧縮曲線の折れ目がぼやけ、pc が読み取りにくくなります。

  • 段階載荷では除荷を含めて9日間かかる。室内試験の工程に組み込み、報告書のとりまとめ日程から逆算しておく
  • 同じ孔でも深度ごとに pc・Cc・cv は変わる。層区分ごとに試験深度を割り当て、代表値をどう決めたかを報告書に書く
  • 段階載荷か定ひずみ速度載荷か、どの深度の試料か、土かぶり圧をいくらとしたかをデータシートで確認してから設計値に使う

試験結果を報告書にまとめる手順は「室内土質試験の結果整理」に、地盤定数全体の整理は「地盤定数とは」にまとめています。粘性土の性質という点では、「コンシステンシーとは」で扱う液性限界・塑性限界とも関わりがあります。

試験成果の転記と整理を減らす

圧密試験のデータシートには、段階ごとの沈下量、圧縮曲線、pc・Cc・mv・cv の値が並びます。報告書ではこれを深度別の一覧表にまとめ、柱状図の層区分と突き合わせて、層ごとの代表値を決めます。孔数と試料数が増えるほど、転記と表の組み直しに時間を取られる工程です。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、圧密試験を含む土質試験のPDFを読み取り、試験結果を一覧表と図に整理して、報告書のドラフト作成まで支援します。沈下量の計算と対策の判断は技術者が行い、試験成果の転記と整理をAIが引き受けます。CAMELのサービス資料は、このページから1分ほどで請求できます。

Q.圧密試験では何が分かりますか?
A.粘性土が荷重を受けたときに、どれだけ縮むか、どれくらいの速さで縮むかが分かります。具体的には圧密降伏応力 pc、圧縮指数 Cc、体積圧縮係数 mv、圧密係数 cv の4つの値が得られ、前の3つは沈下量、cv は沈下時間の計算に使います。
Q.試験にはどれくらい時間がかかりますか?
A.段階載荷方式では、5〜2000 kN/m² の8段階をそれぞれ24時間計測するため8日、除荷に1日を加えて9日間かかります。定ひずみ速度載荷方式は一定速度で連続して圧縮するため短くできます。調査工程を組むときは、この日数を見込んでおく必要があります。
Q.砂質土でも圧密試験は行いますか?
A.通常は行いません。砂質土は水が抜けやすく沈下が短時間で収まるため、時間をかけて縮む性質を調べる必要が少ないためです。河川砂防技術基準の軟弱地盤調査でも、圧密試験は粘性土と有機質土の試験項目に入っています。
Q.圧密降伏応力 pc はどう使いますか?
A.対象深度の現在の土かぶり圧と比べます。土かぶり圧が pc より小さければ過圧密状態です。設計荷重を加えた後の応力が pc を超えるかどうかで沈下量が大きく変わるため、沈下の計算に入る前に確認します。
Q.沈下量の式はどれを使えばよいですか?
A.河川砂防技術基準 調査編では、間隙比の変化から求める式を基本とし、正規圧密土で Cc または mv が求められている場合はそれぞれの式で計算できるとしています。Cc の式は正規圧密土が前提なので、過圧密の層にそのまま当てないよう注意が必要です。

参考文献

  1. 1.全国地質調査業協会連合会『地質と調査』2022年6月号(通巻159号)教養読本 土質試験 2-2 力学試験(1)圧密試験、(3)三軸圧縮試験(正規圧密・過圧密の説明)
  2. 2.国土交通省『河川砂防技術基準 調査編 技術資料』(2025年8月時点統合版)第3章第3節 3.5 地盤沈下解析(式3-3-4〜3-3-6)、第15章第2節 河川堤防の土質地質調査(試料採取、土質試験の項目)
  3. 3.国土交通省『地質・土質調査共通仕様書(案)』令和8年度版(2026年)第7章 軟弱地盤技術解析 第702条 業務内容
  4. 4.日本産業標準調査会『JIS A 1217:2021 土の段階載荷による圧密試験方法』『JIS A 1227:2021 土の定ひずみ速度載荷による圧密試験方法』(教養読本および河川砂防技術基準の参考文献に基づく)
小林 由快

この記事の監修

小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。

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