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地質調査DX2026.08.12

支持杭と摩擦杭の違い|地盤のどこを見て杭形式が決まるか

支持杭は先端支持力、摩擦杭は周面摩擦で支えます。どちらになるかは支持層の深さと連続性次第です。調査結果のどこを見て決まるのかを整理します。

支持杭と摩擦杭の違いは、杭が荷重をどこで受けているかにあります。支持杭は先端を支持層まで届かせ、主に杭先端の支持力で支えます。摩擦杭は支持層まで届かせず、主に杭の周面と地盤の間に働く摩擦で支えます。どちらになるかは設計者の好みではなく、支持層がどの深さにどれだけ続いているかという地盤側の条件でほぼ決まります。

支持杭摩擦杭
主として見込む力杭先端の支持力杭周面の摩擦力
支持層への到達先端を支持層に根入れする支持層までは届かせない
採用される地盤支持層が届く深さにある支持層が深すぎる、または明確でない
設計で注意する点負の摩擦力、支持層の層厚と連続性長期の沈下、周辺地盤の圧密

実際にはどちらの杭にも先端支持力と周面摩擦力の両方が働いています。区分は、設計上どちらを主として見込むかの違いです。

支持杭は先端を支持層に届かせる

支持杭は、支持層まで杭を到達させ、先端で荷重を受けます。周面の摩擦も働いてはいますが、設計上は先端の支持力を主として見込みます。支持層に十分な硬さと厚さがあれば沈下は小さく収まりやすく、重い構造物でも取りやすい形式です。ただし、届く深さに支持層があることが前提になります。支持層が想定より深ければ杭が長くなり、費用にも工程にも跳ね返ります。

見落としやすいのは、支持層の層厚と連続性です。硬い層が薄く挟まっているだけで、その下に軟らかい層が続いていれば、先端で受けた荷重はその下の層まで伝わります。柱状図で硬い値が出た深さを支持層と決める前に、その層が下方向にどれだけ続くのか、隣の孔でも同じ層が確認できるのかを見ておく必要があります。孔をまたいで層をつなぐ考え方は層序対比にまとめました。

摩擦杭は周面の摩擦で支える

摩擦杭は、先端を支持層まで到達させず、杭の周面に働く摩擦で荷重を支えます。支持層が非常に深く、そこまで杭を打つことが現実的でない地盤で採用されます。杭長を抑えられる一方、支える力が杭の接している地盤の性質に左右されるため、周辺の土層をどこまで把握できているかが支持杭以上に効いてきます。

摩擦杭で注意するのは長期の沈下です。周面の摩擦で支えている以上、周りの地盤が時間をかけて沈下すれば、構造物もそれに従います。粘性土層が厚く分布する地盤では、圧密沈下がどの程度、どれくらいの期間で進むのかを圧密試験で確かめておくことになります。

負の摩擦力は摩擦杭ではなく支持杭で問題になる

負の摩擦力(ネガティブフリクション)は、名前から摩擦杭の話に見えますが、問題になるのは主に支持杭のほうです。埋立地や盛土のように圧密沈下が進む地盤では、杭の周りの地盤が沈下していきます。杭の先端が硬い支持層に支えられて動かないと、沈下する地盤が杭を下へ引きずる形になり、周面の摩擦が支える方向ではなく荷重として働きます。摩擦杭は周辺の地盤とともに沈下するため相対的な変位が生じにくく、この力の影響は支持杭ほど大きくなりません。

圧密沈下が進んでいる地盤かどうかは、盛土や埋立の履歴と、粘性土層の分布から見ます。ここを読み違えると、杭の設計そのものが成り立たなくなります。

同じ建物で支持杭と摩擦杭を混ぜない

ひとつの建物の中で支持杭と摩擦杭を併用することは、一般には避けられます。支える仕組みが違えば沈下の進み方も変わり、不同沈下の原因になるためです。敷地内で支持層の深さが大きく変わる場合は、どちらかに統一できないかをまず検討し、統一できないのであれば基礎の計画そのものを見直すことになります。支持層が敷地内で傾いている、途中で途切れているといった状況は、1本のボーリングでは見えません。

杭形式を決めるために見る調査データ

杭形式の判断は、地質調査の結果を読むところから始まります。実務で突き合わせるのは次のあたりです。

  • N値の深度分布。硬い層がどの深さから始まり、どこまで続くか
  • 土質と層序。砂質土か粘性土か、柱状図で層の重なりを追う
  • 複数孔の対比。敷地内で支持層の深さと傾きがどう変わるか
  • 粘性土層の圧密特性。長期の沈下がどの程度見込まれるか
  • 地盤定数。拠る設計指針によって扱いが変わる

これらは調査計画の段階から関係します。支持層が深いと想定される敷地で、ボーリングの深度が足りずに支持層を確認できなければ、杭形式の判断そのものができません。調査の進み方は地質調査の流れにまとめています。

Q.支持杭と摩擦杭の違いは何ですか?
A.荷重を主にどこで受けるかが違います。支持杭は先端を支持層に到達させ、杭先端の支持力を主として支えます。摩擦杭は支持層まで到達させず、杭の周面と地盤の間に働く摩擦を主として支えます。
Q.摩擦杭はどのようなときに使いますか?
A.支持層が非常に深く、そこまで杭を届かせることが現実的でない地盤で採用されます。杭長を抑えられますが、支える力が周辺の地盤の性質に左右されるため、長期の沈下の検討が欠かせません。
Q.摩擦杭のデメリットは何ですか?
A.周辺の地盤が圧密沈下すると、構造物もそれに従って沈下しやすいことです。粘性土層が厚い地盤では、沈下の量と進み方を圧密試験で確認しておく必要があります。
Q.負の摩擦力は摩擦杭で起きるのですか?
A.主に支持杭で問題になります。周りの地盤が沈下しても先端が支持層に支えられて杭が動かないため、地盤が杭を下へ引きずる力が働きます。摩擦杭は地盤とともに沈下するため、相対的な変位は生じにくくなります。
Q.支持杭と摩擦杭を併用してもよいですか?
A.同じ建物では一般に避けます。支える仕組みが違うと沈下の進み方も変わり、不同沈下につながるためです。敷地内で支持層の深さが変わる場合は、基礎の計画から見直すことになります。

杭形式の判断は、複数のボーリング結果を突き合わせて支持層の深さと連続性を読むところから始まります。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図や土質試験のPDFからN値と土質を読み取り、複数孔を標高で揃えた層序対比や、地盤定数の算出までを支援します。層をどこで切るかの最終的な判断は技術者が行う前提です。

Supervised by

監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)

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