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地質調査DX2026.09.24

液状化判定に必要な地質調査|対象土層の4条件と、FL法に要る試験・試料の採り方

液状化判定に必要なのは、N値、1mごとの粒度試験、液性限界・塑性限界、地下水位、湿潤密度、地層の年代です。判定対象になる土層の4条件、FL法に要る値と試験、試料採取の深さと頻度、調査の順番を、道路橋示方書と河川砂防技術基準に沿って整理します。

液状化判定(FL法)に必要な地質調査は、標準貫入試験のN値、深さ1mごとの粒度試験(細粒分含有率・50%粒径・10%粒径)、液性限界・塑性限界試験、地下水位の観測、湿潤密度試験(有効上載圧の計算に使う)、そして地層が完新世かどうかの確認です。道路橋示方書は、地下水位が地表から10m以内で深さ20m以内にある飽和土層のうち、細粒分含有率が35%以下(超えても塑性指数15以下なら対象)、50%粒径10mm以下かつ10%粒径1mm以下、完新世に形成された土層を判定の対象とし、液状化に対する抵抗率FL=R/Lが1.0以下なら液状化が生じると判定します。この記事では、判定の対象になる土層の条件、FL法に要る値とそれを求める試験、試料採取の深さと頻度、調査の順番を、道路橋示方書と河川砂防技術基準に沿って整理します。

液状化の判定はどう進むか:FL=R/L

道路橋示方書Ⅰ共通編(令和7年)の5.3.6は、橋に影響を与える液状化の判定を定めています。判定の対象になる土層について、液状化に対する抵抗率 FL を、動的せん断強度比 R を地震時せん断応力比 L で割って求め、FL が1.0以下の土層は液状化が生じると判定します(5.3.6 (2))。R は土層の液状化しにくさで、標準貫入試験のN値を有効上載圧で補正した値に、細粒分含有率と粒径による補正をかけて求めます。L は地震で土層に働く繰返しのせん断力の大きさで、深さと地震動の区分、有効上載圧から求めます。

つまり、判定に入れる値は地質調査から来るものと設計側で決まるものに分かれます。N値・細粒分含有率・粒径・地下水位・単位体積重量は調査で求め、地震動の区分や地域別の補正係数は設計条件です。調査側の仕事は、判定に要る値を、判定に足りる深さと間隔で、ばらつきが分かる形で揃えることです。河川堤防では、河川砂防技術基準 設計編が、FL が1.0未満の土層がある場合に液状化破壊に対する安全性の照査を求めています(第1章第3節)。

判定の対象になる土層の4条件と、それを確かめる調査

道路橋示方書は、次の4つすべてに当てはまる土層を判定の対象としています(5.3.6 (1))。逆に言えば、どれか1つでも外れる土層は判定しません。条件ごとに、どの調査で確かめるかを添えます。

液状化の判定対象になる土層の4条件(地下水位10m以内かつ深さ20m以内の飽和土層、細粒分含有率35%以下または塑性指数15以下、50%粒径10mm以下かつ10%粒径1mm以下、完新世)を上から順に並べ、それぞれの右に確かめる調査(地下水位観測、粒度試験と液性塑性限界試験、粒度試験、地形・年代の確認)を示し、最後にFL=R/Lの判定と、それに要るN値・湿潤密度・地震動の区分を示した流れ図。
図1 液状化の判定対象になる土層の4条件と、条件ごとに要る調査。条件の出典は道路橋示方書Ⅰ共通編 5.3.6 (1)、対応づけは当社。
  • 地下水位が地表から10m以内にあり、かつ地表から20m以内の深さにある飽和土層:ボーリング孔での地下水位の観測と、柱状図の深度で確かめる
  • 細粒分含有率 FC が35%以下の土層。FC が35%を超えても塑性指数 Ip が15以下なら対象:粒度試験と液性限界・塑性限界試験で確かめる
  • 50%粒径 D50 が10mm以下で、かつ10%粒径 D10 が1mm以下の土層:粒度試験の粒径加積曲線から読む
  • 完新世に形成された土層:地形(旧河道・埋立地など)と既往の地質資料で確かめる

2つ目の条件は見落としやすい点です。細粒分が多い土は液状化しにくいとされてきましたが、塑性が低いシルト質の土では細粒分が多くても液状化した例があるため、FC が35%を超える土層でも Ip が15以下なら判定の対象に入ります。粒度試験だけで対象外と決めず、コンシステンシーの試験まで行って判断します。

調査項目と試験:河川砂防技術基準が示す液状化地盤調査

河川砂防技術基準 調査編は、河川堤防の土質地質調査の中で液状化地盤調査を定めています(第15章第2節 2.1.4 (3))。予備調査と第1次の本調査で液状化が想定される地盤の存在と概況が分かった後、第2次の本調査として、ボーリング調査と標準貫入試験、サウンディング試験、採取した試料の土質試験を行い、液状化が想定される層の土質、厚さ、液状化抵抗を明らかにする、という組み立てです。判定に使う値と、それを求める試験を表にまとめます。

判定に使う値求める調査・試験深さ方向の頻度・注意
N値標準貫入試験通常どおり深さ1mごと。判定に使うN値は有効上載圧で補正する
細粒分含有率 FC・D50・D10土の粒度試験(JIS A 1204)液状化が想定される層では試料採取・粒度試験とも1.0mごと
塑性指数 Ip液性限界・塑性限界試験(JIS A 1205)FC が35%を超える層で対象かどうかを分ける
有効上載圧(R・L の計算)土の湿潤密度試験(JIS A 1225)、地下水位層ごとの単位体積重量と地下水位から深さごとに計算
地下水位ボーリング孔内水位の観測、既往資料季節変動があれば高い側で見る
液状化強度 R(高度な検討)土の繰返し非排水三軸試験動的解析などで必要な場合のみ。乱れの少ない試料が要る

出典:河川砂防技術基準 調査編 第15章第2節 2.1.4 (3) 液状化地盤調査(試験項目と1.0mごとの頻度)、道路橋示方書Ⅰ共通編 5.3.6(判定に使う値)。表の組み立ては当社。

ボーリングの深さは、第1次の本調査の結果に基づき、液状化による被害が想定される層が判定できる深さまでとされています。第1次の段階では、液状化が想定される地盤の判定のための深さは基盤面(工学的な地震基盤で、S波速度300m/s以上、または粘性土でN値25以上、砂質土でN値50以上の地層)を確認できる深さまでを目安とし、軟弱な土層が厚い場合など地盤種別の判定のために25m程度を目安とする、とあります。道路橋示方書の判定対象が地表から20mまでなのに対し、地盤種別を決めるにはもう少し深くまで要る、という関係です。

なぜ試料採取と粒度試験を1mごとに行うのか

河川砂防技術基準は、液状化が想定される土層では細粒分含有率 FC を把握するため、試料採取の深さは1.0mごとに1試料とし、粒度試験も深さ方向に1.0mに1か所の間隔を目安に行うとしています。理由は、簡易式による液状化の判定の結果が、N値とともに細粒分含有率によっても大きく変わることと、粒度試験結果のばらつきが大きいことです。通常の土質調査では土質試験用の試料は2mに1個以上、または土層の変化が著しい場合に土層ごとに1個以上ですが、液状化を見る層だけは密度を上げます。

試料は標準貫入試験で採取したものを粒度試験などの物理試験に使います。動的解析など高度な検討のために繰返し非排水三軸試験を行う場合は、チューブサンプリングで乱さない試料を採ることが難しいことが多いため、凍結サンプリングなど試料の乱れの影響を受けにくい方法を検討するよう求めています。乱れの少ない試料が要るのは、この高度な検討のときだけです。簡易法の判定はN値と粒度で足ります。

調査の順番と、液状化が疑われる場所

河川砂防技術基準の組み立ては、予備調査と現地踏査、本調査(第1次)、本調査(第2次)の順です。第1次で堤防付近に縦断方向の調査を行い、軟弱地盤・液状化地盤・透水性地盤の存在を把握し、該当すれば第2次で詳細を調べます。予備調査と現地踏査の段階で、次のような場所は液状化地盤が存在することが多いとして注意を促しています。

  • 旧河道、旧水域の盛土地、埋立地、地下水位の浅い沖積低地や台地
  • 既往の土質調査資料から、均質な粒径でゆるい砂質地盤であり、地下水位が浅く飽和していると分かる場所
  • 既往の災害調査資料で、地震時に地盤の液状化が起こったと報告されている場所

液状化地盤と透水性地盤の調査は重なる部分が多いので、同時に実施することが望ましい、ともあります。第1次の本調査では、地層ごとに粒度・湿潤密度・土粒子の密度・含水比・液性限界・塑性限界の試験を行い、その結果から液状化地盤かどうかを判定し、該当すれば第2次へ進みます。第2次では、堤防法線に沿って100mに1か所程度のボーリング、堤防の両のり尻での試料採取、1mごとの粒度試験という密度になります。地質調査の流れ全体の中では、液状化の調査は「疑いのある場所で密度を上げる」追加調査という位置づけです。

報告書に残しておくこと

  • 判定の対象とした土層と、対象外とした土層の理由(4条件のどれで外れたか)
  • 深さごとのN値・細粒分含有率・D50・D10・塑性指数・湿潤密度の一覧(1mごと)
  • 地下水位の観測値と、判定に用いた水位(季節変動の扱い)
  • 有効上載圧の計算に用いた層ごとの単位体積重量
  • 拠った基準の名称と版(道路橋示方書の版、河川砂防技術基準の版)
  • 高度な検討を行った場合は、試料の採取方法(凍結サンプリングなど)と繰返し三軸試験の条件

液状化判定の前段の整理をAIで

液状化判定の手間の多くは、判定そのものより前段の整理にあります。柱状図のN値と地下水位、1mごとの粒度試験結果(細粒分含有率・D50・D10)、液性限界・塑性限界の値を、深さをそろえた一覧表にする作業です。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図と土質試験結果のPDFを読み取り、深さごとのN値・土質・地下水位と試験値をExcelに整理します。液状化判定(FL・PL)の計算はCAMELの対象外で、判定は技術者が拠る基準に従って行います。CAMELのサービス資料は、このページから1分ほどで請求できます。

Q.深さ20mより深い層は調べなくてよいのですか?
A.道路橋示方書の判定対象は地表から20m以内の土層です。ただし河川砂防技術基準は、液状化が想定される地盤の判定のための深さとして、基盤面を確認できる深さまでを目安とし、軟弱層が厚い場合は地盤種別の判定のために25m程度まで調べるとしています。判定対象の範囲と、地盤種別を決めるための調査深さは別です。
Q.細粒分含有率が35%を超える層は必ず対象外ですか?
A.いいえ。道路橋示方書では、細粒分含有率が35%を超えても塑性指数が15以下なら判定の対象です。粒度試験だけで対象外と決めず、液性限界・塑性限界試験まで行って判断します。
Q.繰返し三軸試験は必ず必要ですか?
A.簡易法(FL法)の判定はN値と粒度試験の結果で行うので、通常は不要です。動的解析など高度な検討で液状化強度を直接求める場合に、乱れの少ない試料で繰返し非排水三軸試験を行います。その場合、河川砂防技術基準は凍結サンプリングなど試料の乱れの影響を受けにくい採取方法の検討を求めています。

参考文献

  1. 1.国土交通省『道路橋示方書(令和7年改定)』Ⅰ共通編 5.3.6 橋に影響を与える液状化の判定 (1) 判定対象の土層の条件 p.55、(2) 液状化に対する抵抗率 FL 式(5.3.4) p.56(通達の規定本文)
  2. 2.国土交通省『河川砂防技術基準 調査編』第15章第2節 河川堤防の土質地質調査(平成26年4月版)2.1.2 予備調査及び現地踏査、2.1.3 本調査(第1次)、2.1.4 (3) 液状化地盤調査、表15-2-1
  3. 3.国土交通省『河川砂防技術基準 設計編』第1章第3節(令和8年1月時点統合版)液状化破壊に対する安全性の照査
  4. 4.日本産業標準調査会『JIS A 1204 土の粒度試験方法』『JIS A 1205 土の液性限界・塑性限界試験方法』『JIS A 1225 土の湿潤密度試験方法』『JIS A 1219:2023 標準貫入試験方法』

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監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)

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