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地下水位とは|「高い・浅い」の意味、孔内水位との違い、設計に効く4つの場面を図で解説

地下水位は、地下水に満たされた部分(飽和帯)とその上の部分(不飽和帯)の境界面の位置です。ボーリング孔で毎日測る孔内水位とは別物で、設計では観測井や無水掘りで確かめた値を使います。単位体積重量・掘削・液状化・地盤沈下の4つの場面で設計に効きます。

地下水位は、孔ごとの孔内水位を柱状図から拾って断面にそろえる作業が必要です。柱状図の読み取りと断面図づくりは地質調査AI「CAMEL」で短くできます。

小林 由快

監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

地下水位とは、地盤の中で地下水に満たされている部分(飽和帯)と、その上の水で満たされていない部分(不飽和帯)との境界面の位置です。国土交通省の地質・土質調査成果電子納品要領の解説は、地下水面を「飽和帯と不飽和帯の境界面(不圧地下水の地下水位)」と定義し、ボーリングの孔内水位をつないで推定するとしています。

実務で押さえたいのは、ボーリング調査で毎日測る「孔内水位」と、設計で使う「地下水位」が同じものではないことです。柱状図の孔内水位をそのまま設計に使うと、単位体積重量や液状化の判定がずれます。以下、両者の違い、調査での測り方、図面での読み方、設計・施工に効く場面の順に見ていきます。

「地下水位が高い」「地下水位が浅い」とは?

どちらも同じ意味で、地表から地下水面までの深さが小さい状態を指します。たとえば地下水位 GL−1.0 m の土地は、GL−5.0 m の土地より「地下水位が高い(浅い)」と言います。地下水位が高いほど、地表に近い土まで水に満たされているので、後半で見る4つの場面のうち、単位体積重量の切り替え、掘削時の湧水、液状化、構造物にかかる浮力で検討が必要になりやすくなります。

地下水位と孔内水位はどう違う?

現場で「水位」と呼ばれるものは、ボーリング調査時の掘削水位や、観測孔・井戸の中の水面として確認されます。全地連『地質と調査』165号の基礎技術講座は、平野部で不圧地下水を対象とする調査ならこの水面を地下水位として扱っても大きな問題はないが、平野部の被圧帯水層や山岳地の地山では単純に扱えない場合が多い、と述べています。観測孔や井戸の深さ、スクリーンを設けた深度によって、さまざまな高さの水面が現れるためです。

同じ講座は、水位の代わりに「水頭」で考えることを勧めています。水頭は、地中のある位置の位置水頭と、そこに作用する圧力水頭を足したもので、同じ地点でも深度ごとに違う値になります。地下水は「水頭の高いところから低いところへ」流れ、被圧帯水層では地下水面より高い水頭が現れます。

地層断面に、泥水で削孔中のボーリング孔と、砂層(帯水層①)に開口した観測井を並べた模式図。ボーリング孔の泥水位は浅く、観測井が示す帯水層①の地下水位はそれより深く、下位の砂礫層(帯水層②)の水位はさらに別の高さに破線で示している。
図1 孔内水位(泥水位)・帯水層①の地下水位・帯水層②の水位はそれぞれ別の高さになる。断面と水位は説明用の模式図で、数値の根拠は本文の一次資料による。

図1のとおり、帯水層が2つ以上ある地盤では、それぞれの帯水層で水位(間隙水圧)が異なります。河川砂防技術基準 調査編は、地盤沈下の観測で「地下水の帯水層が2つ以上の独立した層からなる場合にはそれぞれの帯水層の地下水位(間隙水圧)が測定できるような観測井を設ける」としています。1本のボーリング孔の孔内水位は、孔が貫いた複数の帯水層と泥水の影響が混ざった値で、どの帯水層の水位かは特定できません。

調査では地下水位をどう測る?

ボーリングでは毎作業日の作業開始前に孔内水位を測り、設計で使う地下水位を精度よく知るには別に観測井を設けます。

毎日の作業開始前に測る孔内水位

地質・土質調査共通仕様書(案)令和8年度版は、機械ボーリングの目的に「地質構造や地下水位を確認する」ことを挙げ、掘進の項で「孔内水位は、毎作業日、作業開始前に観測し、観測日時を明らかにしておかなければならない」と定めています。湧水があれば量を記録し、必要があれば水位(被圧水頭)を測定することも同じ条文にあります。

全地連の柱状図要領も、第5編(標準貫入試験用)12 孔内水位で、毎日の作業開始時の孔内水位を孔口からの深度(m)で記入し、測定月日を併記するよう定めています。削孔中の孔内水位は地下水構造や透水性を推定する手がかりになるので、必ず毎日記録する、というのが要領の解説です。

泥水を使う孔では水位の意味が変わる

崩れやすい地層では、孔壁を保護するために泥水を使って削孔します。この場合、孔の中の水面は地下水位ではなく泥水の管理水位です。標準貫入試験の規格 JIS A 1219:2023 は、パイピング(孔底から土砂が噴き上がる現象)を防ぐため、「試験孔の水位、又は泥水位は、常時最も高い圧力をもつ地層の地下水位より高い位置に維持する」と定めています。

つまり試験中の孔内水位は、意図的に地下水位より高く保たれます。記録項目にも「試験時の孔内水位又は泥水位」とあり、規格自体が両者を区別して書かせています。

観測井と長期観測

設計で使う地下水位を精度よく知るには、ボーリング孔とは別に観測井を設けます。河川砂防技術基準 調査編 第2章第6節 地下水観測は、地下水位調査を一斉観測と長期観測に分けています。

  • 一斉観測:観測所をできるだけ密に配置し、可搬式の水位測定器で短期間に一斉に測って、動水勾配や地下水流動を知る。
  • 長期観測:「原則的に1年以上の観測を専用の観測井で自記水位計により行うのが一般的」。結果は地下水位変動曲線などに整理し、建設工事の影響調査や地盤沈下調査に使う。

ボーリング孔で地下水位を確かめる方法もあります。共通仕様書の現場透水試験(第513条)は、揚水または注水時の流量と水位を測り、原位置の透水係数とともに「平衡水位(地下水位)」を求めることを目的としています。汲み上げたり注いだりした水が元に戻ったときの水位を、その区間の地下水位とみなす考え方です。

液状化を見るときは無水掘りで水位を確かめる

泥水で削孔した孔では地下水位がつかみにくいため、地下水位そのものが判定に効く場面では掘り方を変えます。河川砂防技術基準 調査編 第15章は、地震時の地盤変形解析について「基礎地盤の液状化層が浅い位置にある場合や堤体自体の液状化が疑われる場合には、ボーリング調査において地下水位が確認できるまで無水掘りを行うなど、地下水位をできるだけ正確に把握する必要がある」としています。

柱状図と断面図では地下水位をどう読む?

柱状図の見方で述べたとおり、柱状図の孔内水位欄には、作業日ごとの孔内水位が孔口からの深度で書かれ、測定月日が併記されます。全地連要領では、異なる測定日でほぼ同じ水位だった場合は最初の測定日の日付と水位だけを記入し、残りは別紙に記録します。

地すべりボーリング(要領 第6編)ではさらに細かく、削孔作業開始前と作業後の孔内水位、全作業完了後の安定水位を記入します。作業後より翌日の作業開始前の孔内水位が高ければ、裸孔区間に地下水帯が分布していると推定できる、というのが要領の解説です。孔内水位の日々の動きは、それ自体が地下水構造の情報です。

地質断面図では、電子納品要領の解説(第4編 地質断面図編)が、地下水面をボーリングの孔内水位をつないで推定し、地層境界線と区別できるよう記号を付けて黒以外の実線で描く、と定めています。推定した調査時の年月日や時間を併記し、被圧地下水頭を描く場合は不圧地下水位と混同しないようその旨と対象の地層を明記します。断面図の1本の線は「調査時点の推定」だと押さえて読むのが安全です。複数孔の対比は層序対比とはで扱っています。

地下水位は設計・施工のどこに効く?

単位体積重量と有効応力、掘削と湧水、液状化、地盤沈下と浮力の4つの場面に効きます。

地下水位が効く4つの場面を4枚のカードで並べた図。有効応力・単位体積重量(地下水位以下は9 kN/m³を引く)、掘削・湧水、液状化(地下水位以下の緩い砂が対象)、地盤沈下・浮力(帯水層の水圧低下で粘性土が圧密)。
図2 地下水位が設計・施工に効く4つの場面。いずれも調査時点の孔内水位ではなく、季節変動や施工後の平均を考えた設計地下水位で検討する。

1. 単位体積重量と有効応力

地下水位以下の土は、水に浮いた分だけ軽く扱います。河川砂防技術基準 設計編の土の単位体積重量の表(表7-5)は、「地下水位以下にある土の単位体積重量は、それぞれの表中の値から9を差し引いた値としてよい」としています。理由は、飽和単位体積重量が表の湿潤単位体積重量より 1 kN/m³ 程度重く、そこから水の重量 10 kN/m³(9.8 kN/m³ の丸め)を差し引くためです。

地下水位が1 m違えば、その1 m分の土の重さが 9 kN/m² 変わります。これがN値の補正に使う有効上載圧や、地盤定数の算定結果に直接効きます。

2. 掘削と湧水

地下水位より深く掘れば、掘削面から水が入ってきます。共通仕様書が掘進中に「湧水・逸水量、スライムの状況等に注意し、変化の状況を記録」させ、湧水の量と必要に応じて被圧水頭を測らせるのは、この情報が施工計画に直結するからです。どの深さの帯水層から、どれだけの圧力で水が出るかが分かれば、排水や止水の要否を検討できます。地質調査報告書の地下水位の記載箇所は、施工者が最初に見る項目の一つです。

3. 液状化

液状化は、地下水位以下の緩い砂質土で起きます。河川砂防技術基準 調査編 第15章は、液状化地盤が存在しやすい箇所として「旧河道、旧水域の盛土地、埋立地、地下水位の浅い沖積低地及び台地」、「均質な粒径でゆるい砂質地盤であり地下水位が浅く飽和している個所」を挙げ、本調査で「沖積層のゆるい砂質土層」に該当すれば液状化地盤調査へ進むとしています。

地下水位より上の砂は飽和していないので、同じN値・同じ土質でも、水位の位置で判定の対象になるかどうかが変わります。

4. 地盤沈下と浮力

河川砂防技術基準 調査編は、地下水揚水等を主因とする広域な地盤沈下の原因として「帯水層の水圧ポテンシャルの低下」を挙げています。帯水層の水圧が下がると、その上下の粘性土から水が絞り出されて圧密沈下が進みます。逆に、地下水位以下に造る構造物には下から水圧が働きます。設計編は堰や床止めの作用として揚圧力を挙げており、地下水位が高いほど構造物を押し上げる力は大きくなります。

調査時の水位をそのまま設計地下水位にしてよい?

そのままは使えません。柱状図の孔内水位は調査したその日の値で、地下水位は降雨や季節、近くの河川水位、揚水で変わります。だからこそ河川砂防技術基準は長期観測を「原則1年以上」とし、設計編は表7-5の注記で「地下水位は施工後における水位の平均値を考慮する」としています。観測期間、季節、施工による変化を踏まえて設計値を決めるのが手順です。

報告書を読む側は、地下水位について次の3点を確かめると、その数値がどこまで信頼できるかを判断できます。

  • 孔内水位か、観測井の水位か。
  • 泥水を使った孔か、無水掘りか。
  • 測定日と、季節変動についての記載があるか。

この3点が書かれていない地下水位は、「その日の孔の中の水面」以上の意味を持ちません。

孔内水位は、深度・土質・N値と並んで柱状図から拾い出す項目で、孔数が多いほど転記と集計の手間が積み上がります。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図PDF・電子柱状図(XML)からN値・土質・層序を読み取り、複数孔の層序対比と簡易断面図、設計指針を選んだ地盤定数の根拠つき算出、報告書 第1〜5章のドラフト作成までを支援します。設計地下水位をどこに置くかは技術者が判断し、転記と整理はCAMELに任せられます。詳しくはサービス資料をご覧ください。

Q.地下水位とは何ですか?
A.地盤の中で地下水に満たされている飽和帯と、その上の不飽和帯との境界面の位置です。電子納品要領の解説は、地下水面を「飽和帯と不飽和帯の境界面(不圧地下水の地下水位)」と定義し、ボーリングの孔内水位をつないで推定するとしています。
Q.孔内水位と地下水位は何が違いますか?
A.孔内水位はボーリング孔の中の水面で、毎作業日の作業開始前に測ります。泥水を使った孔では泥水位であり、JIS A 1219 は試験中の孔内水位を地下水位より高く保つよう定めています。地下水位は設計で使う値で、観測井や無水掘りで確かめます。帯水層が2つ以上あれば、帯水層ごとに水位は異なります。
Q.地下水位はどうやって確認しますか?
A.ボーリング調査では毎日の作業開始前に孔内水位を測り、柱状図に測定月日と併せて記録します。設計に使う地下水位は、専用の観測井で原則1年以上の長期観測を行うか、液状化の検討など水位が判定に効く場合は地下水位が確認できるまで無水掘りをして確かめます。
Q.地下水位は設計にどう影響しますか?
A.地下水位以下の土の単位体積重量は、河川砂防技術基準 設計編では表の値から 9 kN/m³ を引きます。これが有効上載圧や地盤定数の算定に効きます。ほかに、掘削時の湧水、地下水位以下の緩い砂の液状化、帯水層の水圧低下による地盤沈下、構造物に働く揚圧力に関わります。
Q.調査時の孔内水位をそのまま設計に使ってよいですか?
A.そのままは使いません。地下水位は季節や降雨、揚水で変わるため、設計編は「施工後における水位の平均値を考慮する」としています。孔内水位か観測井の水位か、泥水孔か無水掘りか、測定日と季節変動の記載があるかを確認したうえで、設計地下水位を決めます。

参考文献

  1. 1.国土交通省『地質・土質調査成果電子納品要領 解説』(令和8年2月(2026年2月))第4編 地質断面図編 3-3-8 地下水位、p.4-9
  2. 2.全国地質調査業協会連合会『地質と調査』2025年第1号(通巻165号・2025年4月)基礎技術講座「続・水文調査に関する基礎技術」3.2 地下水面と水位、p.50-51
  3. 3.日本産業標準調査会『JIS A 1219:2023 標準貫入試験方法』5.2 試験孔の掘削、試験結果の記録項目
  4. 4.国土交通省『地質・土質調査共通仕様書(案)』令和8年度版(2026年)第201条 目的、第203条 調査等 4. 掘進(4)(6)(9)(p.23-24)、第513条 現場透水試験 目的(p.32)
  5. 5.全国地質調査業協会連合会『ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説』(2015年6月)第5編 12 孔内水位(p.66)、第6編 20 孔内水位(p.81-82)
  6. 6.国土交通省『河川砂防技術基準 調査編』第2章第6節 地下水観測(2022年6月版)6.4.1 地下水位調査、p.96-97
  7. 7.国土交通省『河川砂防技術基準 調査編』第15章第2節 河川堤防の土質地質調査(2014年4月版)2.1.2 予備調査(p.464-466)、5) 地盤沈下の観測(p.471-472)、被災時の調査 d) 地震時地盤変形解析(p.485)
  8. 8.国土交通省『河川砂防技術基準 設計編』第1章第7節 堰(2022年6月版)表7-5 土の単位体積重量と注記、p.148-149;第1章第8節 樋門(2021年4月版)p.201
小林 由快

この記事の監修

小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。

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