柱状図(ボーリング柱状図)は、ボーリング調査の結果を深度方向にまとめた地盤の記録です。土質・硬さ・地下水の状況が一枚にまとまっており、基礎や盛土の設計、地質調査報告書の数値の根拠として読まれます。
国内の土質ボーリング柱状図は、全地連(全国地質調査業協会連合会)の『ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説』の様式が標準で、東京都の「東京の地盤(GIS版)」で公開されている柱状図もこの書式です。以下、この標準様式に沿って欄ごとの読み方を見ていきます。
柱状図はどんな欄でできている?(標題欄と本体)
柱状図は、上部の標題欄と、深度方向に並ぶ本体からできています。標題欄には、調査名、事業名または工事名、調査目的及び調査対象、ボーリング名、調査位置、緯度・経度、発注機関、調査期間、調査業者名と関係者(主任技師・現場代理人・コア鑑定者・ボーリング責任者・地質調査技士)、孔口標高、総削孔長、角度、方位、地盤勾配、使用機種が書かれます。本体を読む前に、孔口標高とその標高基準(T.P. など)、総削孔長、鉛直ボーリングかどうか(角度)を確かめておくと、深度と標高の読み替えで迷いません。
本体の欄は、全地連要領では基本的事項(標尺・標高・深度)、土質性状(現場土質名・工学的分類・色調)、工学的性状(相対密度・相対稠度)、特筆すべき事項(記事)、地下水(孔内水位)、原位置試験・室内試験(標準貫入試験、試験1〜3)、削孔状況に分けられています。図1の番号の順に見ていきます。
標尺・標高・深度:縦軸の読み方
縦軸は孔口を起点に目盛られていて、1本の孔を追うときは深度、複数の孔を並べて層をつなぐときは標高で読みます。
- 標尺:孔口を起点に 1 m ごとの目盛。柱状図上の縮尺は 1/100 が原則。追掘した場合も孔口が起点
- 深度:孔口からの距離。現場土質名の境界ごとに 1/100 m(1 cm)単位で記入される
- 標高:各層境界の高さを標高で表したもの。孔口標高を基準に 1/100 m 単位。標題欄に標高基準が併記される
深度は「その孔の孔口から何 m か」、標高は「海抜で何 m か」です。複数の柱状図を並べて断面図を作るときは、孔口標高が孔ごとに違うので、標高で層をつなぎます。1本の孔で試験結果を追うときは、深度で読むほうが早く済みます。
現場土質名(模様)・現場土質名・工学的分類はどう違う?
「現場土質名(模様)」はハッチングで土質を表し、必要に応じて文字記号(G・S・M・C・Lm など)を添えます。模様は現場ごとに自由に設定してよいため、柱状図末尾や別紙の凡例で必ず確かめます。
「現場土質名」は肉眼観察で判定した土質名、「地盤材料の工学的分類」は粒度試験や液性限界・塑性限界試験を行った層について JGS 0051 に従って記入する分類名です。試験をしていない層は工学的分類の欄が空欄で、記入漏れではありません。土質名の付け方と「まじり」「質」の違いは「土質区分・土質記号とは」で整理しています。
読むときは、まず土質名(模様)を上から追い、盛土・粘性土・砂層・砂礫層といった地層の並びをつかみます。層の境界深度は深度欄にあるので、層厚もここで読み取れます。盛土・埋土・表土は模様で表され、その構成物の現場土質名(模様)が併記されます。互層は欄を縦割りにして両方の模様が描かれます。
色調・相対密度・相対稠度で何がわかる?
色調は、明るい自然光の中で湿潤状態のまま観察した色です。黒・褐色・赤・橙色・黄色・緑・青・紫・灰色・白が基本色で、2色の組み合わせは主色の前に従色を冠して「青緑」のように書き、「暗」「濃」「淡」「帯」「雑色」「斑色」も使います。色は地層の対比や、酸化還元状態(地下水位付近で色が変わることが多い)の手がかりになります。
| 記号 | 相対密度 | N値 |
|---|---|---|
| rd1 | 非常に緩い | 0〜4 |
| rd2 | 緩い | 4〜10 |
| rd3 | 中ぐらい | 10〜30 |
| rd4 | 密な | 30〜50 |
| rd5 | 非常に密な | 50以上 |
全地連要領(2015)表5-6「砂地盤の相対密度の表現法」。標準貫入試験を行った場合、砂地盤の相対密度はN値から求めて記号で記入します。
相対密度は砂地盤の締まり具合で、標準貫入試験を行った場合は表のとおりN値から5段階(rd1〜rd5)に区分します。相対稠度は粘性土の硬軟で、N値ではなく現場で判定します。
全地連要領は相対稠度の参考として、ASTM の区分に加筆した5段階(rc1 Very soft:親指が 25 mm 以上入る、rc2 Soft:約 25 mm、rc3 Firm:約 6 mm、rc4 Hard:親指は入らないが爪跡は付く、rc5 Very hard:親指が入らない)を示しています。細粒土の稠度は乾燥や含水比の変化で大きく変わるため、採取後速やかに現場で判定するよう求められています。粘性土の硬さを読むときは、N値とあわせてこの記号も見ます。
記事欄には何が書かれる?
記事欄には、ほかの欄に書ききれない観察事項が深度つきで書かれます。全地連要領が挙げるのは、地質年代的区分(完新統・更新統など)、成因的区分(表土・崖錐堆積物・段丘堆積物・盛土・埋土・廃棄物・津波堆積物など)、土質の特徴(粒度組成・礫の形態・円摩度・淘汰度・堆積構造・酸化還元状態・腐植質・臭気・貝殻・含水状態・固結度・粘性度など)、掘進と標準貫入試験の特記事項(自沈・空洞・礫障害など)、採取試料の観察記録です。
N値が急に変わる深度に「礫当たり」とあれば、その値は地盤全体の締まり具合を表していない可能性があります。数値の読み違いを防ぐ情報はここに集まっているので、N値を見た後は必ず記事欄に戻ります。
孔内水位は地下水位と同じ?
同じではありません。孔内水位の欄には、毎日の作業開始時に測った孔内の水位が、孔口からの深度と測定月日つきで書かれます。全地連要領は、地下水構造や透水性を推定する重要な指標として毎日の記録を求めていますが、値はあくまで「その日の朝の孔の中の水面」です。
削孔に泥水を使っていれば水位は泥水の管理水位を反映し、透水性の低い粘性土では周囲の地下水位に落ち着くまで時間がかかります。設計で使う地下水位は、観測井や水位計による観測、または複数日の記録の傾向から判断します。詳しくは「地下水位とは」で解説しています。
標準貫入試験の欄:深度・打撃回数・N値・折れ線の読み方
この欄には、試験深度、100 mm ごとの打撃回数、打撃回数/貫入量、N値の数値と折れ線グラフが並びます。全地連要領は、JIS A 1219 に準拠して試験し、試験区間のN値、100 mm ごとの打撃回数、50 回(または 100 回まで)で打ち切った場合の貫入量、必要に応じて打撃ごとの貫入量、自沈時のサンプラーの貫入量を整理するよう定めています。試験深度は通常 1 m ごとで、深度欄の値は本打ち区間の開始深度(例:1.15 m)です。
折れ線の横軸は 0〜50 で、50 回を超える(打ち切り)値は「→」などで表されます。東京の地盤(GIS版)も最大値は 50 回で、超えるものを「→」で表示しています。「50/22」は 50 回打って 220 mm しか貫入しなかったという意味で、N値は 50 以上として扱います。自沈は打撃で測れないほど軟らかいという意味で、N値ゼロではありません。
折れ線で見るのは、値そのものより「硬さの変わり目」です。河川砂防技術基準 調査編は、河川構造物の調査で、粘性土・有機質土でN値 4 以下の地盤を軟弱地盤の検討対象とし、支持層の一般的な目安として砂層・砂礫層でN値おおむね 30 以上、粘性土層でおおむね 20 以上の層が 3〜5 m 以上連続していることを挙げています。
図2のように、上部のN値 4 以下の帯と深部のN値 30 以上が続く帯を土質名と重ねると、圧密沈下を検討すべき層と、基礎を支持させる候補の層が読み取れます。ただし、どの層を支持層とするかは構造物の規模や荷重条件で変わります。判断の考え方は「支持層とは」、杭の形式との関係は「支持杭と摩擦杭の違い」で解説しています。
試験欄と削孔月日からは何を読む?
試験欄からはどの深度の試料でどの試験が行われたかを、削孔月日からは日ごとの削孔区間を読みます。
試験(1)〜(3)の欄には、孔を使った原位置試験(現場透水試験・孔内水平載荷試験・地下水検層・物理検層など)と、採取試料の室内試験(含水比・粒度・液塑性限界などの物理試験、一軸圧縮・三軸圧縮・圧密などの力学試験)について、試験区間深度または試料採取深度、試料番号、採取方法、試験名、試験番号が書かれ、記載可能なら結果も入ります。試験(1)には調査目的から見て最重要のものが優先して記入されます。
ここを見ると、どの深度の試料で地盤定数が直接求められているかがわかり、N値からの換算値と突き合わせる相手を特定できます。削孔月日は日ごとの削孔区間を示すので、孔内水位の測定日と照らして読みます。
柱状図はどの順番で読めばいい?
標題欄、土質名(模様)、N値、孔内水位、記事欄、試験欄の順に読みます。
- ① 標題欄で孔口標高・総削孔長・角度を確認する
- ② 土質名(模様)を上から追い、層の並びと層厚をつかむ
- ③ N値の折れ線で硬さの変わり目を見つけ、土質名と重ねて軟弱層・支持層の候補を読む
- ④ 孔内水位と測定日を確認し、地下水位の目安をつかむ
- ⑤ 記事欄で礫当たり・自沈・空洞などの特記事項を確認し、N値の読みを補正する
- ⑥ 試験欄で、室内試験や原位置試験が行われた深度を確認する
読み方の例:図1の柱状図を順に読む
図1の架空の柱状図を、上の順番で読むと次のようになります。数字は説明用で、実際の判断は複数の孔と設計条件をふまえて行います。
| 読む順 | 図1で読めること |
|---|---|
| ② 層の並び | 盛土(0〜1.50 m)、シルト質粘土(1.50〜5.00 m)、細砂(5.00〜8.50 m)、砂礫(8.50〜12.00 m・孔底まで)の4層 |
| ③ 軟弱層 | シルト質粘土は N値 1〜2 で、非常に軟らかい〜軟らかい粘性土。盛土や構造物の荷重がかかるなら圧密沈下の検討が要る層 |
| ③ 支持層の候補 | 砂礫は N値 38・45・50 と大きく、支持層の候補。ただし孔底(12.00 m)で終わっていて下の層が見えないので、厚さと連続性は他の孔や深い調査で確かめる |
| ④ 地下水位 | 孔内水位は GL−2.40 m でシルト質粘土の中。その下の細砂(N値 8〜22)は地下水位以下にあるので、液状化の判定の対象になるかを確かめる |
| ⑤ 記事欄 | 砂礫のN値は礫をたたいて大きく出ることがあるので、記事欄に礫当たりの記録がないかを見て、N値の読みを補う |
N値による粘性土の硬軟は Terzaghi and Peck の区分、支持層の目安は「支持層とは」の指針ごとの比較による。
1本を読むだけなら上の順で足りますが、報告書では複数孔の土質・N値を表に書き写し、層をつないで集計する手間がかかります。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図PDF・電子柱状図(XML)からN値・土質・層序を読み取り、複数孔の層序対比と簡易断面図、N値の層ごとの集計、柱状図綴りやN値分布図の作図までを支援します。読み取りの仕組みは「ボーリング調査のAIデータ化とは」、機能の一覧はサービス資料で確認できます。
- Q.柱状図とは何ですか?
- A.ボーリング調査の結果を深度方向にまとめた地盤の記録です。全地連要領の標準様式では、標尺・標高・深度、現場土質名(模様)、工学的分類、色調、相対密度・相対稠度、記事、孔内水位、標準貫入試験の結果、試験、削孔月日が書かれています。
- Q.柱状図のどこを見れば支持層がわかりますか?
- A.N値の折れ線で値が急に大きくなる深度を、土質名と合わせて見ます。河川砂防技術基準では、砂・砂礫でN値がおおむね 30 以上、粘性土で 20 以上の層が 3〜5 m 以上連続していることを支持層の一般的な目安としています。実際の判断は構造物の規模と荷重条件によります。
- Q.孔内水位は地下水位と同じですか?
- A.同じではありません。孔内水位は毎日の作業開始時に測った孔の中の水面で、泥水の使用や地盤の透水性の影響を受けます。設計で使う地下水位は観測井や複数日の記録から判断します。
- Q.工学的分類の欄が空欄なのはなぜですか?
- A.工学的分類は粒度試験や液性限界・塑性限界試験を行った層についてだけ、JGS 0051 に従って記入されるためです。試験をしていない層は空欄で、現場土質名だけが書かれます。
- Q.N値欄の「50/22」はどう読みますか?
- A.50 回打撃して 220 mm しか貫入しなかったという意味で、N値は 50 以上という扱いです。折れ線グラフでは 50 を超える値として「→」などで表されます。
参考文献
- 1.全国地質調査業協会連合会『ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説』(2015年6月)第2編 標題欄、第5編 土質ボーリング柱状図(標準貫入試験用)1〜17(図5-1、表5-6、表5-7)
- 2.東京都建設局『東京の地盤(GIS版)柱状図の見方』(東京都 土木技術支援・人材育成センター)
- 3.国土交通省『河川砂防技術基準 調査編』(2014年4月版)第15章 第2節 河川堤防の土質地質調査、第3節 河川構造物の土質・地質調査
- 4.日本産業標準調査会『JIS A 1219:2023 標準貫入試験方法』5 試験方法、6 試験結果、7 報告
- 5.地盤工学会『JGS 0051 地盤材料の工学的分類方法』

この記事の監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役
北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。
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