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地質調査DX2026.07.17

ボーリング調査のデータ化|柱状図・N値をAIで活用する全体像

ボーリング調査の結果をデータ化する作業は、地質調査DXの入口です。何をデータ化するのか、どこが手作業のボトルネックか、AIで自動化できる工程と人が判断すべき工程、そしてデータ化後の活用までを全体像から整理します。

ボーリング調査で得られる地盤情報は、地質調査業務の根幹です。しかし、その大半はいまだ紙の柱状図やPDFの中に眠ったままで、活かしきれていないのが現場の実情ではないでしょうか。本記事では、ボーリングデータをAIでデータ化する取り組みの全体像を、現場の作業手順に沿って整理します。

本記事はボーリングデータ活用の全体像を扱います。柱状図単体の電子化やN値の地盤定数換算は、それぞれ関連記事で詳しく解説しています。

何をデータ化するのか

柱状図に記された情報

ボーリング柱状図には、深度ごとの土質区分、色調、N値、標本採取の記録、地下水位など、多くの情報が層状に記載されています。これらは調査の一次情報であり、データ化の中心的な対象です。深度と各項目の対応を崩さずに拾い上げることが、後工程の精度を左右します。

N値・試験結果と位置情報

標準貫入試験から得られるN値や、室内土質試験の結果(粒度・含水比・一軸圧縮強度など)も対象です。加えて、調査地点の座標・標高・調査日・ボーリング番号といったメタデータが揃って初めて、地図上での検索や近隣との比較が可能になります。

手作業のボトルネック

  • 深度方向のデータ量が多く、複数孔になると転記だけで相当な時間がかかる
  • 数値の読み違い・行のずれ・単位の取り違えといった転記ミスが一定割合で発生する
  • 誰がどのルールで整理したかが個人に依存し、後から検証しづらい属人化が起きる
  • 紙・スキャンPDFのままの過去資料は、検索も比較もできず再利用できない

自動化できる工程と、人が判断する工程

AIによるデータ化は「すべてを機械任せにする」ものではありません。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図や土質試験のPDFを読み取り、N値を抽出し、地盤定数を定型的なルールで算出して、報告書(Excel・Word)の形にまとめるまでを自動化します。読み取り精度は概ね90%程度で、原典PDFと枠を重ねた照合・補正や異常値の自動検出により、確認しながら使えるのが特長です。

一方で、地層区分の解釈や、複数の試験結果を突き合わせた妥当性の判断は技術者の領域です。孔をまたいで同じ層をつなぐ層序対比も、ここに含まれます。AIは技術者の判断を置き換えるのではなく、転記・換算・組版といった定型作業を肩代わりし、判断に集中できるようにする位置づけです。導入時は、まず数件で読み取り精度を確認し、様式ごとの癖を把握してから対象を広げるのが確実です。

データ化した後にできること

  • 近隣ボーリングとの比較で、地層の連続性や地盤の傾向を面的に把握できる
  • 位置情報と紐づくため、地図上から「この一帯の過去調査」を検索できる
  • 社内の地質データ資産として蓄積され、次の案件でそのまま参照・再利用できる

電子納品を見据えたデータ化

公共工事では電子納品が求められ、決められた様式のXMLなどでの提出が必要です。柱状図から深度・土質・N値を構造化データとして取り出しておけば、後段でXML化する際の入力元データが整った状態になり、電子納品を見据えたデータ化の前処理になります。

ボーリング調査のAIデータ化は、定型作業をAIが肩代わりし、技術者が解釈や妥当性の判断に集中できるようにする取り組みです。まずは手元の数件で精度を確かめ、確認しながら対象を広げていくのが、現実的で確実な進め方です。

Q.手書きの古い柱状図もデータ化できますか?
A.手書き・スキャン・PDFの柱状図に対応します。原本の状態によって読み取り精度が変わるため、まず数件で精度を確認してから対象を広げるのが確実です。
Q.どの工程が自動化でき、どこは人の判断が要りますか?
A.柱状図やN値の読み取り・転記、地盤定数の定型的な計算はAIで自動化できます。地層区分の解釈や最終的な妥当性の確認は技術者が判断します。
Q.データ化した後はどう活用できますか?
A.近隣ボーリングとの比較、地図上での検索、社内での蓄積・再利用がしやすくなり、次の案件の効率化にもつながります。

Supervised by

監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)

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CAMEL(地質調査サポートエージェント)

柱状図や土質試験のPDFを読み取り、N値の抽出から地盤定数の算出、報告書のドラフトと図表の作成までを支援するAIです。

  • 柱状図・土質試験PDFの読み取り(精度は概ね90%・技術者の確認が前提)
  • N値の換算と、地盤定数(γt・c・φ・E)の算出根拠つき出力
  • 報告書 第1〜5章のドラフトと、N値分布図・断面図・柱状図綴りの作図

自社での検証では、報告書作成が約50時間から約35時間になりました。

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