層序対比とは、複数のボーリング孔で確認された地層を見比べ、同じ地層とみなせるものをつないでいく作業のことです。孔ごとに得られる柱状図は、あくまでその1点の記録にすぎません。設計に使えるのは、調査地点全体としてどう地層が広がっているかという情報です。その橋渡しをするのが対比です。
なぜ孔ごとではなく、地点として層を決めるのか
1つの調査地点で複数孔を掘ると、同じ地層でも孔によって出現する深度が違います。地層は水平に積もっているとは限らず、傾いていたり、厚みが変わっていたりするためです。孔ごとに層を決めたままでは、どの層に基礎を載せるのかという判断ができません。
そこで、孔をまたいで同じ層をつなぎ、地点としての層序を確定させます。この結果が、断面図や代表N値、地盤定数といった後工程すべての土台になります。柱状図そのものの読み方は柱状図の見方で解説しています。
何を根拠に「同じ層」とみなすのか
- 土質区分:砂質土か粘性土か、礫を含むかといった土の種類の一致
- N値の傾向:深度に対するN値の出方が、孔をまたいで似た変化をしているか
- 色調や含有物:貝殻、腐植物、火山灰など、その層に特徴的なものの有無
- 標高と連続性:孔間の距離に対して、層の傾きが自然に説明できるか
どれか1つで決めるというより、複数の手がかりを重ねて判断します。土質区分の考え方は土質区分・土質記号とは、N値の意味はN値とはを参照してください。
対比が難しくなる場面
- 層の厚みが孔ごとに大きく変わり、どこまでを同じ層と見るか判断が割れる
- ある孔では確認できた層が、隣の孔では消えている(尖滅している)
- 埋土や盛土が厚く、自然の地層との境目がはっきりしない
- 孔と孔の距離が離れており、その間の連続性を確かめる材料がない
こうした場面では、対比の仕方によって結論が変わります。だからこそ、どう判断したのかを報告書に残しておくことが重要になります。
対比の結果は何に使われるか
対比して確定した層ごとに、代表N値を整理し、地盤定数を求めます。基礎をどの層で支えるかという判断も、この層序の上で行われます。支持層の考え方は支持層とはで解説しています。図として表現したものが地質断面図で、その作成手順は地質断面図を効率的に作るにはにまとめています。
対比作業の負担を減らす
対比そのものは技術者の判断ですが、その手前の準備には手間がかかります。各孔の柱状図を標高で揃えて並べ、N値や土質を見比べられる状態にするまでが特に面倒です。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」には層序対比エディタがあり、複数孔を標高で揃えて表示し、同じ地層をクリックで対比できます。層境界は後からいつでも見直せるため、判断そのものは技術者の手に残ります。
- Q.層序対比とは何をする作業ですか?
- A.複数のボーリング孔で確認された地層を見比べ、同じ地層とみなせるものをつないでいく作業です。孔ごとの記録を、調査地点としてひとつの地盤像にまとめるために行います。
- Q.同じ層かどうかは何で判断しますか?
- A.土質区分、深度に対するN値の傾向、色調や含有物、標高から見た連続性などを重ねて判断します。1つの手がかりだけで決めることはあまりありません。
- Q.孔が1本だけの場合も対比は必要ですか?
- A.対比という作業自体は発生しません。ただし近隣の既往ボーリングがあれば、それと見比べることで層の広がりを推定できる場合があります。
Supervised by
監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)
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