土質区分とは、地盤を構成する土を、礫・砂・シルト・粘土などの種類に分類することです。土の種類によってせん断強さの出方や水の通しやすさ、沈下のしかたが変わるため、地盤を評価するうえで土質区分は出発点になります。同じN値でも砂質土と粘性土で読み方が変わり、地盤定数の推定式も土質ごとに分かれます。
粒径でどう分ける?(0.075 mm と 2 mm が境界)
0.075 mmより小さい粒子を細粒分、0.075〜2 mmを砂分、2 mm以上を礫分に分けます。
土は粒の大きさで、細かい順に粘土・シルト・砂・礫に分けられ、境目は図1のとおり 0.075 mm(75 μm)と 2 mm です。粒度試験(JIS A 1204)では、75 μm 以上を規定のふるいで、75 μm 未満をストークスの法則を利用した沈降分析で分け、両方を合わせて粒径加積曲線を描きます。この 75 μm が「細粒分」と「粗粒分」の境界で、河川砂防技術基準の土砂の粒径区分(0.075 mm・2.000 mm)とも共通です。
粒の大きい礫や砂は水を通しやすく、粒子どうしのかみ合わせで強さが決まります。粒の細かいシルトや粘土は水を通しにくく、粘りで強さが決まります。実際の地盤はこれらが混ざっているので、「砂質土」「粘性土」という大きな区分に、混ざり具合を表す言葉を組み合わせて土質名を付けます。
土質名はどう決まる? 地盤材料の工学的分類(JGS 0051)
地盤工学会基準 JGS 0051「地盤材料の工学的分類方法」は、粒度試験と液性限界・塑性限界試験の結果から土質名を体系的に決める方法です。まず地盤材料を、石分(75 mm 以上)の割合で岩石質材料・石分まじり土質材料・土質材料に分け、土質材料をさらに粗粒土(粗粒分が 50% を超える)、細粒土(細粒分が 50% 以上)、高有機質土、人工材料に大分類します。
粗粒土は、礫分と砂分のどちらが多いかで礫質土 [G] と砂質土 [S] に分かれ、そのうえで細粒分・砂分・礫分の含有率によって小分類の名称と記号が決まります。含有率はいずれも土質材料に対する質量百分率です。
| 含有率 | 呼び方 | 例(礫質土の場合) |
|---|---|---|
| 5% 未満 | 名称に入れない | 礫(G) |
| 5% 以上 15% 未満 | 「○○まじり」 | 砂まじり礫(G-S)、細粒分まじり礫(G-F) |
| 15% 以上 | 「○○質」 | 砂質礫(GS)、細粒分質礫(GF) |
JGS 0051 の粗粒土の分類体系による。砂質土 [S] も同じ組み立てで、砂(S)・礫まじり砂(S-G)・礫質砂(SG)・細粒分まじり砂(S-F)・細粒分質砂(SF)のように名付けます。
要点は「まじり」と「質」の使い分けで、表のとおり 5% 以上 15% 未満なら「まじり」、15% 以上なら「質」です。「細粒分質砂(SF)」は「細粒分まじり砂(S-F)」より粘土・シルトが多い砂で、同じ「砂」でも修飾語が違えば透水性や液状化のしやすさの評価が変わります。
一方、細粒土(シルト・粘土)は粒径では分けません。細粒分が 50% 以上の土は、液性限界・塑性限界試験の結果を塑性図に載せ、液性限界 50% を境に「低液性限界」と「高液性限界」に分け、A線との位置関係でシルト(M)と粘土(C)を区別します。液性限界が 50% 未満の粘土は CL、50% 以上は CH、シルトなら ML・MH という記号になります。塑性図の見方は「コンシステンシーとは」で図とともに解説しています。
有機質土(O)、火山灰質粘性土(V)、泥炭(Pt)・黒泥(Mk)などの高有機質土は、有機物の含有や地質的背景で別に区分します。
柱状図の「現場土質名」と「工学的分類」はどう違う?
柱状図を見ると、土質を表す欄が2つあります。ひとつは「現場土質名」で、もうひとつは「地盤材料の工学的分類」です。全地連の『ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説』では、現場土質名は「未固結の種々の堆積物などについて、肉眼観察などによって判定された土質名」と定義され、粒度試験などの試験に基づかない場合は肉眼観察や指先での粒度の判定によるとされています。工学的分類の欄は、粒度試験や液性限界・塑性限界試験を行った層について、JGS 0051 に従って記入します。
現場土質名は現場で見て決めた名前、工学的分類は試験結果で決めた名前です。同要領は、肉眼判定では粒度やコンシステンシーによる区分の境界をはっきり判断することが困難だとしたうえで、一般に「○○質」と呼ばれるものは含有量が多く、「○○混じり」と呼ばれるものは含有量が少ないものを指す、と整理しています。現場土質名の「砂混じり」「粘土質」は、図2の 5%・15% の境界を厳密に当てはめた結果ではなく、観察による多い・少ないの表現だと理解しておくと、試験結果と食い違ったときに慌てません。
| 工学的分類(JGS 0051) | 現場土質名の例 |
|---|---|
| 礫(G)・砂まじり礫(G-S)・細粒分まじり礫(G-F) | 礫(粗礫・中礫・細礫)、砂まじり礫、玉石まじり礫 |
| 砂質礫(GS)・細粒分まじり砂質礫(GS-F) | 砂礫 |
| 細粒分質礫(GF)・細粒分質砂質礫(GFS) | 粘土まじり砂礫、有機質砂礫、火山灰質砂礫 |
| 砂(S)・礫まじり砂(S-G)・細粒分まじり砂(S-F) | 砂(粗砂・中砂・細砂)、礫まじり砂 |
| 細粒分質砂(SF)・礫まじり細粒分質砂(SF-G) | 粘土まじり砂、粘土質砂、有機質砂 |
| シルト(ML・MH) | 砂質シルト、礫(砂)まじりシルト |
| 粘土(CL・CH) | 砂質粘土、礫(砂)まじり粘土 |
| 火山灰質粘性土(VL・VH1・VH2) | ○○ローム、凝灰質粘土 |
| 泥炭(Pt)・黒泥(Mk) | 泥炭、黒泥 |
全地連要領(2015)表5-4「地盤材料の分類名と現場土質名の対応」(地盤工学会の資料から抜粋されたもの)を要約。
柱状図の土質記号(模様)はどう読む?
柱状図の「現場土質名(模様)」の欄は、土質を模様(ハッチング)で表します。全地連要領は主な現場土質名の模様と文字記号の例を示していて、礫 G、粗礫 CG、中礫 MG、細礫 FG、砂 S、シルト M、粘土 C、有機質土 O、火山灰質粘性土 V、泥炭 Pt、関東ローム Lm、まさ土 WG、しらす Si などの文字記号が使われます。模様は現場の地質状況に応じて自由に設定してもよいとされているため、必ず柱状図末尾や別紙の凡例で確認します。類似の模様を見誤らないよう、文字記号を併記することが推奨されています。
「混じり」「質」は補助記号で表します。砂混じりは(-S)、粘土混じりは(-C)、礫質は(G)、シルト質は(M)のように、主となる土質の記号に添えて書きます。盛土(BS)、埋土(FI)、表土(SF)、崩積土(Dt)のように成因や層相を表す記号もあり、盛土の欄にはその構成物である現場土質名(模様)を併記します。互層は欄を縦割りにして両方の模様を書きます。
模様や記号は JIS A 0206「地質図-工学地質図に用いる記号、色、模様、用語及び地層・岩体区分の表示とコード群」のコードと対応しています。電子納品の XML でも土質はこのコード(例:砂 531211000、粗砂 531211100、礫混じり砂 531212000)で管理されるので、柱状図の模様・文字記号・コードは同じ土質を3通りに書いたものだと考えると整理しやすくなります。
土質区分で地盤の評価はどう変わる?
土質区分によって、N値の読み方、地盤定数の求め方、沈下・液状化・透水性の検討内容が変わります。
- N値の意味:砂質土ではN値を締まり具合(相対密度)の目安に、粘性土では硬軟の目安として扱う。同じN値でも土質によって読み方が変わる
- 地盤定数の求め方:砂質土は内部摩擦角φ、粘性土は粘着力cを主に扱い、N値からの換算式も土質で分かれる。詳しくは「N値から地盤定数を求める方法」
- 沈下:粘性土は圧密沈下が長期に続く。砂質土は即時沈下が主。「圧密沈下とは」
- 液状化:緩い砂質土で細粒分が少ないほど起こりやすい。細粒分含有率が判定に効く
- 透水性:礫・砂は水を通しやすく、掘削時の湧水や止水の検討に関わる
土質区分は、柱状図の数値をどう解釈するかを決める前提です。層ごとの土質名を読み違えると、代表N値の設定や地盤定数の選び方がすべてずれます。一方で、孔ごとに土質名を拾い、試験結果と見比べて層をそろえる作業は、孔数が増えるほど重くなります。
サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図PDFからN値・土質・層序を読み取り、土質区分と層境界の案(層序判定)を示したうえで、設計指針を選んで地盤定数を根拠つきで算出します。層境界を決めるのは技術者で、土質の判断と試験結果との突き合わせに時間を使えます。機能の一覧はサービス資料にまとめています。
- Q.土質区分とは何ですか?
- A.地盤を構成する土を、礫・砂・シルト・粘土などの種類に分類することです。粒径 0.075 mm と 2 mm を境に細粒分・砂分・礫分に分け、含有率や液性限界で土質名を決めます。
- Q.「砂まじり礫」と「砂質礫」は何が違いますか?
- A.JGS 0051 では、砂分が 5% 以上 15% 未満なら「砂まじり礫(G-S)」、15% 以上なら「砂質礫(GS)」です。「質」のほうが混入量が多い名称です。現場土質名では肉眼観察による多い・少ないの表現として使われます。
- Q.柱状図の現場土質名と工学的分類はなぜ違うことがあるのですか?
- A.現場土質名は肉眼観察で付けた名前、工学的分類は粒度試験や液性限界・塑性限界試験の結果で JGS 0051 に従って付けた名前だからです。試験をした層だけ工学的分類の欄が埋まります。
- Q.シルトと粘土はどう区別しますか?
- A.粒径ではなく、液性限界・塑性限界試験の結果を塑性図に載せて区別します。A線より上なら粘土(C)、下ならシルト(M)で、液性限界 50% を境に低液性限界(L)と高液性限界(H)に分けます。
- Q.柱状図の土質記号は何を表していますか?
- A.各深度にどの土質が分布しているかを模様と文字記号(G・S・M・C など)で表しています。模様は現場ごとに設定できるので、柱状図の凡例で確認します。
参考文献
- 1.全国地質調査業協会連合会『ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説』(2015年6月)第1編 6 用語の定義(現場土質名)、第5編 5 現場土質名(模様)表5-1〜5-3、6 現場土質名 表5-4、7 地盤材料の工学的分類 表5-5
- 2.地盤工学会『JGS 0051 地盤材料の工学的分類方法』(『地盤材料試験の方法と解説』所収)
- 3.全国地質調査業協会連合会『地質と調査』2022年第1号(通巻159号)教養読本「土質試験」2-1 物理試験(3)粒度試験、(4)液性限界・塑性限界試験
- 4.国土交通省『河川砂防技術基準 調査編』(2014年4月版)第16章 第2節(粒径区分 0.075 mm・2.000 mm)
- 5.日本産業標準調査会『JIS A 0206:2013 地質図-工学地質図に用いる記号、色、模様、用語及び地層・岩体区分の表示とコード群』附属書(土のコード)
- 6.日本産業標準調査会『JIS A 1204:2020 土の粒度試験方法』

この記事の監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役
北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。
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