地盤の支持層とは、建物や構造物の基礎を安全に支えられる、十分に硬く締まった地層のことです(選挙や世論調査でいう「支持層」とは別の言葉です)。基礎をどの深さまで届かせるか、直接基礎にするか杭にするかは、支持層をどこに見極めるかで決まります。
支持層のN値の目安はいくつ?
一律の数字はありません。同じN値の層でも、支持層として使えるかどうかは、拠る設計指針・基礎の形式・構造物の規模と重さで変わります。建築なら建築基礎構造設計指針、道路橋なら道路橋示方書のように、指針が違えば求められる条件も変わるため、まず案件がどの指針に拠っているかを確かめます。
| 指針 | 砂質土・砂れき層 | 粘性土 | 書かれている条件 |
|---|---|---|---|
| 日本建築学会『建築基礎設計のための地盤調査計画指針』(第3版・2009年) | N値 50(または 60)以上 | N値 20〜30 以上 | 「とすることが多い」とし、地盤条件・建物の要求性能・基礎形式を勘案して設計者が判断する |
| 日本道路協会『道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編』(平成24年) | N値 30 程度以上 | N値 20 以上(一軸圧縮強度 qu 0.4 N/mm² 程度以上) | 粘性土は支持力と沈下の十分な検討が必要。砂れき層は礫をたたいてN値が過大に出やすい |
(一社)日本建設業連合会・(一社)コンクリートパイル建設技術協会『杭の施工管理における支持層到達の確認方法(既製コンクリート杭 埋込み工法)』(2017年)3章に引用された各指針の記述による。道路橋示方書はその後改定されているため、案件では最新版を確認してください。
同じ砂層でも、建築ではN値 50 前後、道路橋では 30 程度が目安になり、数字が大きく違います。「支持層はN値いくつから」と聞かれたら、まず拠る指針を確かめるのはこのためです。どちらの指針も一律の線引きではなく、層の厚さや基礎形式を含めて技術者が判断する前提で書かれています。
土質による違いも押さえておきます。砂質土や砂れき層では、N値の大きさがそのまま締まり具合の手がかりになります。粘性土ではN値と強度の相関がばらつきやすく、N値だけで硬いと判断すると危険な場合があるため、室内土質試験の結果まで含めて確かめるのが基本です。
N値から地盤定数を求める考え方は「N値から地盤定数を求める方法」、指針ごとの扱いの違いは「設計指針別の地盤定数」で整理しています。
支持層はどう見極める?
深度ごとのN値を追い、値が十分に大きく安定して続く層を支持層の候補にします。見るのは一点の値ではなく、その層がどれだけの厚さで続くかです。硬い層が薄く挟まっているだけで、その下に軟らかい層があれば、支持層としては使えません。
判断には柱状図で土質とN値の変化を合わせて読みます。図のように、N値が大きく厚みをもって続く層が候補です。
支持層の深さはどのくらい?
地域や地形によって大きく異なります。台地では数メートルで硬い層に当たることがあり、河川の下流部や埋立地では数十メートル掘っても軟らかい層が続くことがあります。同じ市内でも、川の跡や谷を埋めた土地では隣の敷地と深さが違うため、一般的な数字は当てにできません。
深さで基礎の形式が変わります。浅ければ直接基礎で支えられ、深ければ杭でそこまで届かせるので、工事の費用と工程に直接響きます。杭を到達させられないほど深い場合は周面の摩擦で支える形式になり、この使い分けは「支持杭と摩擦杭の違い」で整理しています。
支持層はボーリング調査でどう確認する?
支持層は場所によって深さや連続性が変わるため、複数のボーリングで確認するのが基本です。近い地点でも深さが違うことがあり、孔をまたいで同じ層をつなぐ層序対比が判断の助けになります。
候補が硬い粘性土層なら、圧密試験で長期の沈下も確認します。最終的にどの層を支持層とするかは、地盤条件をふまえた技術者の判断です。調査全体の進み方は「地質調査の流れ」にまとめています。
判断の前には、孔ごとのN値と土質を表に起こし、層をそろえて見比べる下ごしらえが必要です。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図PDFからN値・土質・層序を読み取り、複数孔の層序対比と簡易断面図、層ごとの集計と代表N値までを作ります。技術者は見比べと判断に時間を使えます。機能の一覧はサービス資料にまとめています。
- Q.支持層とは何ですか?
- A.建物や構造物の基礎を安全に支えられる、十分に硬く締まった地層のことです。基礎をどの深さまで届かせるかは、支持層をどこに見極めるかで決まります。
- Q.支持層のN値の目安はいくつですか?
- A.一律の数字はありません。砂質土の場合、建築の地盤調査計画指針はN値50(または60)以上、道路橋示方書はN値30程度以上を目安としていて、拠る指針で変わります。基礎の形式や構造物の規模と重さでも求められる条件が変わるため、まず案件がどの指針に拠っているかを確かめるのが実務では確実です。
- Q.支持層はどうやって見極めますか?
- A.深度ごとのN値を追い、値が十分に大きく安定して続く層を候補とします。一点の値ではなく、その層がどれだけの厚さで続いているかを見ます。柱状図で土質とN値の変化を合わせて読んで判断します。
- Q.支持層の深さはどのくらいですか?
- A.地域や地形によって大きく異なります。台地では数メートルで硬い層に当たることがあり、河川の下流部や埋立地では数十メートル軟らかい層が続くこともあります。同じ市内でも敷地によって違うため、ボーリング調査で確かめる必要があります。
- Q.粘性土でもN値で支持層を判断できますか?
- A.粘性土ではN値と強度の相関がばらつきやすく、N値だけで硬い層と判断すると危険な場合があります。粘性土を候補とする場合は、室内土質試験の結果まで含めて確かめるのが基本です。
参考文献
- 1.日本建築学会『建築基礎設計のための地盤調査計画指針』第3版(2009年)p.25
- 2.日本道路協会『道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編』(平成24年3月)p.278
- 3.(一社)日本建設業連合会・(一社)コンクリートパイル建設技術協会『杭の施工管理における支持層到達の確認方法(既製コンクリート杭 埋込み工法)』(2017年2月)3章 支持層の定義と支持形式による分類

この記事の監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役
北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。
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柱状図や土質試験のPDFを読み取り、N値の抽出から地盤定数の算出、報告書のドラフトと図表の作成までを支援するAIです。
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