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地質調査DX2026.07.29

設計指針で地盤定数の求め方は変わる|建築と土木の使い分け

地盤定数は、拠って立つ設計指針によって求め方が変わります。建築と土木の案件を両方受ける調査会社が、どこで混乱しやすいのかと、根拠の残し方を整理します。

地盤定数は、同じN値から出発しても、どの設計指針に沿って求めるかで扱いが変わります。想定している構造物も、見込む安全余裕も指針ごとに違うためです。したがって報告書では、値そのものと同じくらい、どの指針に拠ったのかを明示することが重要になります。

なぜ指針によって変わるのか

設計指針は、それぞれ特定の構造物を対象に整備されてきました。建物の基礎を対象とするものと、橋梁や道路の盛土を対象とするものとでは、地盤に求める性能も、破壊したときの影響も異なります。その違いが、採用する経験式や、値を安全側に見る度合いに表れます。

N値から地盤定数を推定する考え方そのものはN値から地盤定数を求める方法で解説しています。ここではその一段手前、どの拠りどころを選ぶかという話をします。

実務でよく参照される指針

  • 建築物の基礎を対象とした設計指針(建築系の案件で参照される)
  • 道路橋を対象とした示方書(橋梁の基礎の検討で参照される)
  • 道路の盛土や擁壁を対象とした要領(道路土工の分野で参照される)
  • 高速道路各社が定める設計要領(高速道路に関わる案件で参照される)
  • 各地方整備局などの発注者が示す要領(発注者ごとに指定される場合がある)

どれを使うかは、調査会社が選ぶというより、案件の種別と発注者によって決まります。特記仕様書で指定されることも多く、まずそこを確認するのが実務の入口になります。

建築と土木を両方受ける会社がつまずきやすいところ

案件ごとの切り替えが属人的になる

建築の案件が続いたあとに土木の案件が入ると、前の案件の慣れで進めてしまうことがあります。担当者の頭の中だけで切り替えている状態だと、レビューで初めて気づくことになります。

社内の慣行と指針が混ざる

会社ごとに、経験的に使ってきた値の取り方があります。それ自体は蓄積として意味がありますが、指針に沿った値なのか社内の慣行なのかが区別されないまま報告書に載ると、後から根拠をたどれなくなります。

根拠が報告書に残らない

採用した値だけが書かれていて、どの式でどう求めたのかが残っていないケースです。照査や次の設計段階で問い合わせが来たときに、担当者に聞くしかない状態になります。

根拠とセットで残す運用にする

対策の方向は単純で、値と一緒に、拠った指針と算出の経緯を残すことです。どの層のどの試験結果を使い、どの考え方で換算したのかが残っていれば、担当者が変わっても検証できます。支持層の判定など、設計に直結する判断ほどこの記録が効いてきます。支持層の考え方は支持層とはで解説しています。

指針の切り替えをシステムで扱う

サファリテックの地質調査AI「CAMEL」では、案件で使う設計指針を選んで地盤定数を算出できます。建築基礎の設計指針、道路橋示方書、道路土工、高速道路の設計要領に対応しており、地方整備局などの要領は順次広げています。算出したロジックと根拠を画面に表示するため、値の妥当性をその場で確認でき、必要なら修正できます。

内部摩擦角のように、土質によって扱いが分かれる値については内部摩擦角とはもあわせて参照してください。

Q.同じ地盤なら、指針が違っても地盤定数は同じになりますか?
A.同じにはなりません。指針ごとに想定する構造物や見込む安全余裕が異なり、採用する経験式も変わるためです。どの指針に拠ったかを報告書に明示する必要があります。
Q.どの指針を使うかは誰が決めますか?
A.案件の種別と発注者によって決まることがほとんどです。特記仕様書で指定される場合も多いため、着手前に確認しておくのが確実です。
Q.建築と土木の案件が混在する場合、どう管理すればよいですか?
A.採用した値だけでなく、拠った指針と算出の経緯を案件ごとに残す運用にしておくことです。担当者の記憶に頼らずに検証できる状態を作れます。

Supervised by

監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)

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