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内部摩擦角とは|求め方(三軸圧縮試験・N値からの推定)と、せん断抵抗角との関係

内部摩擦角φとは、土のせん断強さのうち押さえつける力に比例して増える部分を角度で表した地盤定数で、主に砂質土の強さを表します。基本は三軸圧縮試験で求め、概略検討ではN値から推定します。飽和粘性土の短期の検討では φ = 0 として扱います。

内部摩擦角は、試験値とN値からの推定を指針に沿って使い分ける値です。この算出と根拠の整理は地質調査AI「CAMEL」で短くできます。

小林 由快

監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

内部摩擦角とは、土のせん断強さのうち、垂直応力(押さえつける力)に比例して増える部分の割合を角度で表した地盤定数です。記号はφ(ファイ)で、基準によっては「せん断抵抗角」とも呼ばれます。主に砂質土の強さを表し、支持力・土圧・斜面の安定の計算に欠かせません。

内部摩擦角は何を表す?(モール・クーロンの破壊規準)

内部摩擦角φは、土の粒子どうしの摩擦とかみ合わせによる強さを角度で表した値で、モール・クーロンの破壊規準では直線の傾きにあたります。

2つの物体の接触面では、垂直力Nと摩擦力Fの間に F = μN という比例関係が成り立ちます。クーロンは、土のような粒子の集合体の内部でも同じ関係が成り立つことを実験で確かめました。この材料内部で発現する摩擦を「内部摩擦」と呼び、その係数を角度で表したものが内部摩擦角です。土のせん断強さτは、粘着力cと内部摩擦角φを使って τ = c + σ·tanφ と書けます。σは破壊面に働く垂直応力です。

垂直応力とせん断強さの関係図。一般の土は切片cと傾きφの直線、砂質土はc=0で原点を通る直線、飽和粘性土の非排水条件は水平線で表される。
図1 モール・クーロンの破壊規準。切片が粘着力c、傾きが内部摩擦角φです。砂質土は c = 0 で強さが垂直応力に比例し、飽和した粘性土の非排水条件では φu = 0 で強さが一定になります。

図1のとおり、内部摩擦角は「直線の傾き」です。φが大きいほど、垂直応力が増えたときにせん断強さが大きく増えます。砂質土は粒子どうしのかみ合わせで抵抗する土で、押さえつける力が強いほど、また締まっているほど強く、粘着力はほとんどありません。そのため砂質土では一般に c = 0 と置き、強さをφだけで表します。粘性土の粘着力が「押さえつけなくても発揮される強さ」であるのと対になる考え方です。

内部摩擦角の求め方は?

基本は三軸圧縮試験で求め、砂質土では圧密排水(CD)条件の試験を使います。事前調査などの概略検討の段階では、N値から推定式で求めてもよいとされています。

基本は三軸圧縮試験

建築基礎構造設計指針(第3版)は、砂質土の内部摩擦角は圧密排水(CD)三軸圧縮試験から求めることを基本としています。CD条件とは、供試体を拘束圧で圧密したうえで、排水を許しながらゆっくりせん断する条件で、主に排水条件で変形する砂礫や砂質土を対象に行います。拘束圧を変えた複数の供試体の結果からモール円を描き、その包絡線の傾きとして内部摩擦角φdを読み取ります。試験の中身は三軸圧縮試験とはで解説しています。

概略検討ではN値から推定する(砂質土)

同じ指針は、事前調査段階などの概略検討ではN値による関係式から推定してもよいとしています。

一般には大崎の式 φ = √(20N) + 15(式2.7.1)が広く使われていますが、指針は当時の実験値にかなりのばらつきが含まれていると注意したうえで、有効上載圧で補正した換算N値を使う畑中らの式 φd = √(20N₁) + 20(3.5 ≦ N₁ ≦ 20、N₁ > 20 は 40°、式2.7.2)を併記しています。道路橋示方書Ⅳ下部構造編では φ = 4.8 ln N₁ + 21(N > 5)が示され、ここでも換算N値 N₁ = 170N/(σv′ + 70) を使います。どの式を使うかは対象構造物の設計基準で決まり、式によって同じN値でも約10°の幅が出ます。

式の一覧と比較図は「N値から地盤定数を求める方法」にまとめています。

N値から見た砂質土の内部摩擦角の目安は?

N値4未満の非常にゆるい砂から50超の非常に密な砂まで5つに区分され、N値が大きいほど内部摩擦角も大きくなります。区分ごとの角度は図2の概略の目安で、実際の値は式と有効上載圧で変わります。

N値0から60を非常にゆるい・ゆるい・中位の・密な・非常に密なの5区分に分けた帯と、区分の境界を大崎の式で換算した内部摩擦角の目安。
図2 砂質土のN値による締まり具合の区分(Terzaghi and Peck)と、その境界を大崎の式で換算した内部摩擦角の目安。あくまで概略の対応で、実際の値は式と有効上載圧で変わります。

砂質土のN値は、相対密度と結び付けて「非常にゆるい(N < 4)」「ゆるい(4〜10)」「中位の(10〜30)」「密な(30〜50)」「非常に密な(50超)」に区分されます(関東地質調査業協会の資料に Terzaghi and Peck の区分として掲載)。締まった砂ほど粒子のかみ合わせが強く、内部摩擦角も大きくなり、区分の境界を大崎の式で換算すると図2のとおりおよそ24°、29°、39°、47°です。ただし換算式はどれも経験式で、深さ(有効上載圧)でも値が動くため、この数字を設計値としてそのまま使うことはできません。

粘性土の内部摩擦角はどう扱う?

飽和した粘性土を、圧密させず排水も許さない条件(UU条件)でせん断すると、拘束圧を変えても強さは増えません。モール円の包絡線が水平になり、内部摩擦角はゼロ(φu = 0)として扱います。このとき強さは非排水せん断強さ cu だけで表され、一軸圧縮試験から cu = qu/2 として求めるのが一般的です。盛土の施工直後のような短期の安定問題は、この φu = 0 の考え方で検討します。

一方、掘削のように時間をかけて間隙水圧が消散する長期の安定問題では、有効応力で見た内部摩擦角φ′が必要になります。φ′は間隙水圧を測る圧密非排水(CU-bar)三軸圧縮試験から求められ、排水せん断で得られる内部摩擦角φdと等価です。粘性土にも内部摩擦角はありますが、短期か長期か、全応力か有効応力かという検討条件によって、ゼロとして扱うか実測値を使うかが変わります。粘性土のN値は硬軟の目安で、内部摩擦角には結び付けません。

内部摩擦角はどこで使われる?

基礎の支持力、擁壁・土留めの土圧、斜面・盛土の安定、液状化の判定など、地盤の強さを使う設計計算の多くで使われます。

  • 直接基礎・杭基礎の支持力:支持力係数は内部摩擦角の関数で、φが数度違うだけで支持力が大きく変わる
  • 擁壁・土留めの土圧:主働土圧係数・受働土圧係数はφで決まる
  • 斜面・盛土の安定:すべり面上のせん断強さを τ = c + σ·tanφ で評価する
  • 液状化の判定:換算N値や粒度と組み合わせて用いる指針がある

どの計算でも、内部摩擦角の数度の違いが結果を大きく動かします。そのため、どの試験・どの式・どの版の指針で決めた値かを報告書に残す必要があり、層ごとに試験値とN値からの推定値を見比べて根拠を書く手間が積み上がります。

サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図から読み取ったN値をもとに、案件で採用する設計指針を選んで内部摩擦角を含む地盤定数を算出し、どの式にどの値を入れたかという根拠を併記します。室内土質試験の結果の確定・解析にも対応します。式の選択と値の妥当性は技術者が判断し、転記と計算の定型作業をCAMELが引き受ける分担です。機能の一覧はサービス資料にまとめています。

Q.内部摩擦角とは何ですか?
A.土のせん断強さのうち、垂直応力に比例して増える部分を角度で表した地盤定数です。せん断強さの式 τ = c + σ·tanφ の傾きにあたり、記号はφで表します。主に砂質土の強さを表します。
Q.内部摩擦角が大きいとどうなりますか?
A.垂直応力が増えたときにせん断強さが大きく増えるので、支持力や斜面の安定に有利になります。締まった砂ほど大きく、N値による締まり具合の区分とおおむね対応します。
Q.内部摩擦角はどうやって求めますか?
A.基本は圧密排水(CD)三軸圧縮試験です。概略検討ではN値から大崎の式や畑中らの式、道路橋示方書の式で推定します。式は複数あり、同じN値でも約10°の幅が出るため、対象構造物の設計基準で指定された式に合わせます。
Q.粘性土に内部摩擦角はありますか?
A.あります。ただし飽和粘性土の非排水条件(短期の安定問題)では φu = 0 として扱い、強さは非排水せん断強さ cu で表します。長期の安定問題では有効応力で見た内部摩擦角φ′を、間隙水圧を測る三軸圧縮試験から求めます。

参考文献

  1. 1.日本建築学会『建築基礎構造設計指針』第3版(2019年11月)2.7節 地盤定数 p.30。式(2.7.1)〜(2.7.3)
  2. 2.日本道路協会『道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編』令和7年版(2025年) 参考資料1 式(参1.1)・(参1.2)
  3. 3.全国地質調査業協会連合会『地質と調査』2022年第1号(通巻159号)教養読本 土質試験 2-2 力学試験
  4. 4.関東地質調査業協会『我が国における標準貫入試験の利用実態と留意点』(2021年)表4-2-2
  5. 5.関東地質調査業協会 技術委員会「N値に関する物性値換算の問題と適応性の限界について」全地連「技術フォーラム2020」
小林 由快

この記事の監修

小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。

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