業務で使う生成AIは、資料を学習に使わせない形で使えるか、会社の環境に何が入っているか、会話で足りるか作業まで任せたいか、の3つで選びます。文書・計算書・図面を読んで決まった形に書き出すことが多い建設コンサルタントの業務なら、1本目はClaudeを勧めます。全社でMicrosoft 365やGoogle Workspaceを使っているなら、その中のCopilotやGeminiから試すのも順当です。
この記事は、建設コンサルタントの日水コンで土木設計と工事監理に携わってきた、サファリテック代表の小林由快が監修しています。
主な4つの生成AI
業務でよく名前が挙がるのは、次の4つです。どれも無料で試せ、個人の有料プランは月3,000円前後からです(例:Claude Proは月20ドル、Google AI Proは月2,900円。2026年10月8日に各社の公式ページで確認)。料金とプランの名前は頻繁に変わるため、契約の前に公式ページで確かめてください。
| サービス | 提供元 | 向いている会社 | エージェントとしての使い方 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | OpenAI | まず誰でも使える会話のAIがほしい | Codex などの道具が有料プランに含まれる |
| Gemini | Google Workspace を全社で使っている | Gemini CLI などの道具が用意されている | |
| Copilot | Microsoft | Microsoft 365 を全社で使っている | Office・Teams の中で動くエージェントがある |
| Claude | Anthropic | 資料を読んで書き出す作業を任せたい | Claude Code が有料プランに含まれる |
2026年10月8日時点の各社公開情報より。機能と料金は変わることがあります。
以前は「会話の画面で答えるAI」どうしの比較でしたが、いまはどの社もファイルを読み書きするエージェントの道具を出しています。違いは、その道具が個人のプランで手軽に使えるか、会社の環境とどうつながるかに移っています。会話式AIとエージェントの違いは会話式AIとAIエージェントの違いで図解しています。
資料を学習に使わせない形で使えるか
最初に確かめるのは、入れた資料がAIの学習に使われるかどうかです。4社とも、個人向けと法人向けで扱いが分かれています。
| サービス | 個人向けで学習を止める設定 | 法人向けの扱い |
|---|---|---|
| ChatGPT | 設定の「データ コントロール」にある「すべての人のためにモデルを改善する」をオフ | Business・Enterprise は初期設定で学習に使わない |
| Gemini | Gemini アプリの「アクティビティ」の保存(Keep Activity)をオフ | Workspace では管理者の設定を確認する |
| Copilot | 個人のCopilotは「プライバシー」の「モデルのトレーニング」をオフ | 職場・学校のアカウントで使う Microsoft 365 Copilot は基盤モデルの学習に使わない |
| Claude | 「プライバシー設定」のモデルの学習の設定をオフ | Team・Enterprise・API は対象外(学習に使わない) |
2026年10月8日時点の各社のヘルプ・告知より。画面の表記は版によって異なることがあります。
発注者から預かった資料を入れてよいかは、学習の扱いだけでなく、保存の範囲や契約の形でも決まります。確認すべき5つの点は業務データを入れてよい生成AIの選び方にまとめています。直轄業務で使う場合は、生成AI利活用計画書にサービス名と入力情報の扱いを書くことになります。
建設コンサルタントの1本目にClaudeを勧める理由
建設コンサルタントの仕事は、基準書や計算書、図面といった長い資料を読み、決まった体裁の表や報告書に書き出す作業が中心です。Claudeは個人の有料プランにAIエージェントのClaude Codeが含まれていて、フォルダの資料を読んでExcelやWordに書き出す使い方を、追加の契約なしで始められます。
サファリテックも、自社の開発と業務、研修のすべてでClaudeを使っています。使い慣れた環境で教えられることも、Claudeを勧める理由の一つです。ただし、全社でMicrosoft 365やGoogle Workspaceを契約していて、その中で完結させたい会社には、CopilotやGeminiから試すことを勧めます。考え方と頼み方の多くは、どのサービスでも共通です。実際に任せられる作業は建設コンサルタントがAIエージェントに任せられる業務8つで紹介しています。
よくある質問
- Q.無料版のまま業務に使ってもよいですか?
- A.試すだけなら無料版で構いませんが、業務の資料を入れるなら、学習に使わせない設定を必ず確かめてください。AIエージェントとして使う道具は、多くが有料プランに含まれています。
- Q.複数の生成AIを併用したほうがよいですか?
- A.最初は1つに絞るほうが、頼み方が身につきやすくなります。慣れてから、得意な作業ごとに使い分けを考えれば十分です。
- Q.社員が個人のアカウントで使ってもよいですか?
- A.おすすめしません。個人のアカウントは学習の設定を会社で管理できず、退職時の引き継ぎもできません。人数が少なくても、会社として契約し、設定を決めてから使うほうが安全です。
- Q.どのプランを契約すればよいですか?
- A.まずは個人の有料プランを、実際に使う人の分だけ契約して試すのが無駄の少ない始め方です。使う人が増えたら、管理の機能がある法人向けプランへの切り替えを考えます。サファリテックの研修では、研修日の前日から契約していただくようお願いしています。
- 1.Anthropic「Plans & Pricing」https://claude.com/pricing(2026年10月8日確認:Pro 月20ドル・年払いで月17ドル相当、Claude Code を含む)
- 2.Anthropic「Updates to Consumer Terms and Privacy Policy」https://www.anthropic.com/news/updates-to-our-consumer-terms(Free・Pro・Max は設定により学習に利用、Team・Enterprise・API は対象外)
- 3.Google「Google AI プラン」https://gemini.google/subscriptions/(2026年10月8日確認:Google AI Pro 月2,900円)
- 4.OpenAI Help Center「How do I disable model training?」https://help.openai.com/en/articles/8983130(個人向けは「Improve the model for everyone」で停止、Business・Enterprise は初期設定で学習に使わない)
- 5.Microsoft Learn「Microsoft 365 Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」https://learn.microsoft.com/ja-jp/copilot/microsoft-365/microsoft-365-copilot-privacy(プロンプトと応答は基盤モデルの学習に使われない)

この記事の監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役
北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。
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