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建設AI2026.10.08

建設コンサルタントがAIエージェントに任せられる業務8つ|頼み方と仕上がりの確かめ方

建設コンサルタントの仕事でAIエージェントに任せられる8つの業務を、頼み方の例と、仕上がりを確かめるところまで図で整理しました。

小林 由快

監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

建設コンサルタントがAIエージェントに任せられるのは、資料を読んで、決まった形に書き出す作業です。具体的には、図面の数値のExcel化、報告書の概要版、工法の比較検討表、既往資料の読み込み、基準書の該当箇所探し、条件を変えた試算、誤字脱字の洗い出し、協議記録の下書きの8つが向いています。どれも、仕上がりを確かめて判断するのは技術者です。

建設コンサルタントがAIエージェントに任せられる業務8つの一覧。縦断図・横断図の数値をExcelへ(道路)、設計報告書の概要版(河川)、補修工法の比較検討表(橋梁)、既往報告書・特記仕様書の読み込み(上下水道)、示方書・設計要領の該当箇所探し(橋梁)、設計条件を変えた試算(河川)、成果品の誤字脱字・表記ゆれ(全分野)、協議記録と説明資料の下書き(道路)
分野の札は例です。どの分野でも同じ考え方で任せられます。

この記事は、建設コンサルタントの日水コンで土木設計と工事監理に携わってきた、サファリテック代表の小林由快が監修しています。AIエージェントとは何かは会話式AIとAIエージェントの違いで図解しています。

頼み方の基本は「どの資料を・どの形で・どこに」

AIエージェントへの頼み方は、読ませる資料の場所、書き出す形、保存する場所の3つを伝えるのが基本です。最初の1回はうまくいかない点を直しながら進め、うまくいった頼み方は指示書として残しておくと、次からは同じ品質で繰り返せます。以下の頼み方の例は、そのまま使える短い形にしています。

1. 縦断図・横断図の数値をExcelへ(道路)

いまの手間:他社のソフトで作られた縦断図や横断図は、自社のソフトでそのまま読めないことがあります。PDFや紙の図面を見ながら、測点ごとの地盤高や計画高を打ち直すことになり、測点が多いほど時間がかかります。

  • 頼み方の例:「『縦断図』フォルダのPDFを読み、測点・地盤高・計画高・勾配をこの順でExcelに書き出して、『出力』フォルダに保存して」
  • 出てくるもの:測点ごとの数値を、自社の様式の列の順で並べたExcel
  • 人が確かめるところ:図面と表の数値の突き合わせ。特に、文字がかすれている箇所と、変化点の前後
縦断図のPDFから、測点・地盤高・計画高・勾配を読み取って、自社の様式の列の順でExcelに書き出す流れの図
読み取りの精度は図面の状態で変わるため、全数を図面と見比べる前提で使います。

2. 設計報告書の概要版づくり(河川)

いまの手間:発注者向けの概要版は、本編から設計条件・比較案・結論と主要な図を拾い直して作ります。年度末には何本も重なり、本編の修正が入るたびに概要版も直すことになります。

  • 頼み方の例:「この報告書を読み、概要版のひな形に沿って、設計条件・比較案・結論を2ページに収まる量でまとめて」
  • 出てくるもの:ひな形の見出しに沿った概要版の下書き(WordやPowerPoint)
  • 人が確かめるところ:数値と結論が本編と一致しているか、発注者に伝えたい点が落ちていないか

3. 補修工法の比較検討表(橋梁)

いまの手間:床版や支承の補修工法を比べるとき、カタログや技術資料、過去の比較設計を探し、適用条件・施工性・概算費用の考え方を拾って表にまとめています。

  • 頼み方の例:「『工法資料』フォルダの資料から、この橋の条件(径間長・床版厚・交通規制の制約)に合う補修工法を挙げ、比較表のExcelにまとめて。根拠の資料名と頁も入れて」
  • 出てくるもの:候補の工法と比較項目を並べた表と、各項目の出典
  • 人が確かめるところ:候補の漏れと、条件に合わない工法が混じっていないか。工法の選定は技術者が行う

4. 既往報告書・特記仕様書の読み込み(上下水道)

いまの手間:業務の初めに、発注者から届いた既往の報告書や特記仕様書を1本ずつ読み、計画給水量や適用基準、管種・口径などの設計条件を書き出しています。資料が多いと、どこに何が書いてあったかを探し直すことも増えます。

  • 頼み方の例:「『既往資料』フォルダのPDFをすべて読み、設計条件・適用基準・管種と口径を一覧表にして。値ごとに、資料名と頁を書いて」
  • 出てくるもの:資料ごとの設計条件を並べた一覧表と、値の出典の頁
  • 人が確かめるところ:資料どうしで値が食い違う箇所と、最新の資料がどれか
既往の報告書や特記仕様書などの複数のPDFから、項目を決めて読み、設計条件を出典の頁つきで一覧表にまとめる流れの図
値だけでなく出典の頁を残させると、確かめる時間が短くなります。

5. 示方書・設計要領の該当箇所探し(橋梁)

いまの手間:道路橋示方書や各機関の設計要領を開き、関係する条文や表を目で探しています。改定で条文の番号が変わっていると、探す時間がさらに増えます。

  • 頼み方の例:「『基準書』フォルダの資料から、この部材の照査に関係する条文と表を探し、条文番号と頁を一覧にして」
  • 出てくるもの:関係しそうな条文・表の一覧と、その場所
  • 人が確かめるところ:その条文を適用してよいか。適用の判断は技術者が行う。基準書をAIに読ませてよいかは、発行元の利用条件も確かめる

6. 設計条件を変えた試算(河川)

いまの手間:計画流量や粗度係数を1つ変えるたびに、表計算を組み直して結果を見比べています。ケースが増えるほど、どの結果がどの条件かを取り違えやすくなります。

  • 頼み方の例:「この水理計算のExcelをもとに、計画流量3ケースと粗度係数2ケースの組み合わせで結果を出し、ケースごとの水位と余裕高を1枚の表に並べて。計算式は変えないで」
  • 出てくるもの:ケースごとの条件と結果を並べた比較表
  • 人が確かめるところ:計算式が元のまま使われているか、条件の入れ違いがないか
変えたい条件(計画流量3ケース、粗度係数2ケース)を伝えると、ケースごとの流量・粗度・水位・余裕高を1枚の表に並べ、確認が要るケースに印を付ける流れの図
計算そのものは表計算の式に任せ、AIにはケースの組み立てと整理を任せます。

7. 成果品の誤字脱字・表記ゆれ(全分野)

いまの手間:納品前に、報告書と図面の表題・単位・用語の揺れを、頭から読み返して探しています。数百ページの報告書では、見落としを無くすのは難しくなります。

  • 頼み方の例:「この報告書を読み、誤字脱字、単位の書き方の揺れ、図表番号と本文の食い違いを一覧にして。本文は直さないで」
  • 出てくるもの:頁と該当箇所つきの指摘の一覧
  • 人が確かめるところ:指摘のうち、どれを直すか。直すかどうかは技術者が決める

8. 協議記録と説明資料の下書き(道路)

いまの手間:発注者協議のメモや録音を聞き直し、協議記録簿と次回の説明資料を書き起こしています。協議が続く時期には、記録づくりだけで時間が埋まります。

  • 頼み方の例:「この協議のメモと文字起こしを読み、決定事項・指示事項・宿題に分けて、協議記録簿のひな形に書き込んで」
  • 出てくるもの:決定事項・指示事項・宿題に分けた協議記録の下書き
  • 人が確かめるところ:決まったことと検討中のことの区別、発言の言い回し。出席した人が確かめる
協議のメモや文字起こしから、決定事項・指示事項・宿題に分けた協議記録の下書きを作る流れの図
分け方を決めておくと、毎回同じ形の記録になります。

どこから始めるか

最初の1つは、毎回同じ手順で、仕上がりを元の資料と見比べて確かめやすい作業が向いています。8つの中では、1の図面の数値のExcel化と、4の既往資料の読み込みが始めやすい作業です。使う生成AIの選び方は業務で使う生成AIの選び方で整理しています。

よくある質問

Q.AIエージェントの読み取りは、どのくらい正確ですか?
A.資料の状態で大きく変わります。文字が鮮明なPDFや電子データは正確に読めることが多い一方、かすれた紙の図面や手書きの書き込みは読み違いが出ます。どの業務でも、仕上がりを元の資料と見比べる前提で使ってください。
Q.計算をAIに任せてもよいですか?
A.計算そのものは、表計算の式や設計ソフトに任せてください。AIには、ケースの組み立て、結果の並べ替え、説明の下書きを任せる形が安全です。
Q.発注者から預かった資料を読ませてもよいですか?
A.学習に使わせない設定や契約になっているか、保存の範囲はどうかを確かめてから使います。確認点は、別のコラム「業務データを入れてよい生成AIの選び方」にまとめています。
Q.毎回同じ照査を大量にこなしたい場合は?
A.手順とルールが決まっていて量が多い作業は、AIエージェントに毎回頼むより、専用の仕組みとして作り込むほうが確実です。その場合は受託開発でお引き受けしています。
小林 由快

この記事の監修

小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。

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建設コンサルタント出身の代表が、貴社のAI活用を3つの頼み方で支えます。自分たちでAIエージェントを使いこなす単発の研修と月額のAI顧問、照査や計算を仕組みにする受託開発です。

  • 図面の読み取り、報告書の概要版、比較検討表など、貴社の業務を題材に進める
  • AIチャットで探した後の、写す・まとめる・保存する作業までAIエージェントに任せる
  • 照査・計算・積算は、小さく試してから仕組みに作り込む

少人数の事務所でも、研修やAI顧問から始められます。ご相談は無料です。