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土木DX2026.08.06

業務データを入れてよい生成AIの選び方|建設コンサルが確認する5つの点

業務データを生成AIに入れてよいかの判断は、サービス選びの段階で決まります。学習利用・保存・契約形態・再委託・発注者への説明という5つの観点を整理しました。

業務で扱うデータを生成AIに入力してよいかは、サービスの規約と契約形態で決まります。判断の軸になるのは、入力したデータが学習に使われないか、どこにどれだけ保存されるか、そして発注者に説明できる形で確認が取れているかです。国土交通省の直轄業務では、生成AI利活用計画書に利用するサービス名まで記載することになるため、どのサービスを使うかの判断は計画書の記載にそのまま繋がります。

本記事は業界紙などで報じられた内容と、一般に公開されている規約の考え方をもとに整理したものです。各サービスの規約は改定されるため、実際の判断では契約するプランの最新の規約を必ず確認してください。どのサービスを使ってよいかは、当該業務の特記仕様書の記載と調査職員との協議によります。制度全体の整理は生成AI利活用計画書とはをご覧ください。

確認する5つの点

入力したデータが学習に使われないか

無料で提供されているサービスでは、入力内容がモデルの改善に使われる設定が初期状態で有効になっていることがあります。法人向けのプランやAPI経由の利用では学習に使わないと明記されている場合が多いものの、同じ事業者でもプランによって扱いが違います。会社として使うプランの規約を個別に読む必要があります。

データがどこにどれだけ保存されるか

入力内容が保存される期間、保存先の国、削除できるかどうかを確認します。不正利用の監視のために一定期間保持すると定めているサービスもあります。保存されること自体が直ちに問題になるわけではなく、期間と用途を説明できるかどうかが実務上の分かれ目です。

契約が個人か法人か

担当者が個人のアカウントで使っている状態は、退職時にデータの所在が追えなくなります。規約上の責任の所在も曖昧になります。業務で使うのであれば法人契約に寄せ、誰がどのアカウントを使っているかを会社として把握できる状態にしておきます。

再委託にあたらないか

外部のサービスにデータを渡す行為が契約上の再委託に該当しないか、という論点があります。判断は個別の契約書の規定によるため、疑わしい場合は発注者に確認するのが確実です。後から問題になるより、着手時の協議で確認しておくほうが手戻りがありません。

発注者に説明できる粒度か

計画書には利用目的、用途、サービス名、利用範囲を記載します。逆に言えば、この4点を書けないサービスは業務では使いにくいということです。社内で誰かが個人的に見つけてきたツールを使っている状態では、この4点が埋まりません。

入力を避けたほうがよいデータ

何を入れてよいかに一律の線引きはなく、契約の内容と業務の性質で決まります。そのうえで、次のようなデータは扱いに注意が要ります。

  • 個人情報を含むもの(用地関係の資料、関係者の連絡先など)
  • 発注者が未公表としている情報
  • 他社が著作権を持つ図面や文献
  • 契約上、機密の指定がある数値・図面

判断に迷うデータは、入力する前に確認するほうが確実です。入れてしまってから取り消すことはできません。

サービスを決めたあとにやること

  • 誰がどの業務で使ってよいかの範囲を決め、社内に周知する
  • アカウントを会社として管理する(個人契約から切り替える)
  • 成果品に生成AIを使った旨をどう残すかを決めておく
  • 業務ごとに、実際に何に使ったかの記録を残す

成果品への記載については生成AI成果物への注釈の付け方で線引きと文例を整理しています。社内のルールづくりは建設業の生成AI社内規程のつくり方をご覧ください。

汎用の生成AIとは別に、業務特化のシステムを使う選択肢

地質調査の分野では、柱状図や試験結果を汎用の生成AIにそのまま入力するのではなく、業務に特化したシステムを使う選択肢もあります。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、データを会社単位で分離して保持し、他社から参照されない形で運用します。ユーザーと権限の管理、利用状況の把握もできるため、誰が何に使ったかを会社として説明できる状態を保てます。

Q.無料版の生成AIを業務で使ってはいけませんか?
A.一律に禁止されているわけではありません。ただし入力内容が学習に使われる設定になっていないか、契約形態が個人になっていないかを確認する必要があります。直轄業務では利用するサービス名を計画書に書くことになるため、発注者に説明できる形かどうかが実務上の判断基準になります。
Q.どのサービスを選べばよいですか?
A.本記事では特定のサービスを推奨していません。規約は改定されるため、名前で選ぶのではなく、この記事の5つの観点を自社で確認できるかどうかで判断してください。同じ事業者でもプランによって扱いが違う点に注意が必要です。
Q.社内にルールがない状態で使い始めても問題ありませんか?
A.業務で使うのであれば、先に使ってよい範囲を決めておくほうが安全です。担当者ごとに判断が分かれると、発注者に説明を求められたときに会社として答えられなくなります。まずは対象業務と使ってよいデータの範囲を決めるところから始めるのが現実的です。

Supervised by

監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)

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