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土木DX2026.09.30

生成AI利活用計画書の提出前チェック|発注者確認チェックリスト40項目と、差し戻されやすい4か所

計画書は発注者側の40項目のチェックリストで確認されます。どの項目で戻されやすいか、提出前に何を通しておくかを図で整理しました。

小林 由快

監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

生成AI利活用計画書は、受け取った発注者が「生成AI利活用計画書 発注者確認チェックリスト」の40項目で確認します。提出前に同じ観点で自分で通しておくと、差し戻しが減ります。差し戻されやすいのは、契約書との一致、学習排除の根拠、レビュー体制、再委託先の4か所です。

発注者確認チェックリスト40項目の内訳。リスク対策7・利用予定範囲5・入力情報の取扱い5で17項目
40項目のうち4割が、リスク対策・利用予定範囲・入力情報の取扱いに集まっています。

計画書そのものの書き方(9項目の中身)は生成AI利活用計画書とはで整理しています。この記事は、書き上げた計画書が発注者側でどう見られるかと、提出前の通し方に絞ります。

発注者確認チェックリストとは

関東地方整備局が令和8年8月4日付の通知(国関整技管第56号)の参考資料として公開している、発注者向けの確認表です。調査職員が受け取った計画書に誤記や抜けがないかを確認する視点を、計画書の項目ごとに整理したものです。区分は計画書の9項目に、基本事項(提出日・添付)と成果物に関する確認(特記仕様書との整合)を加えた11区分、計40項目です。

受注者向けの資料ではありませんが、公開されているので提出前に自分で通せます。発注者が何を見るかが分かっていれば、書く側の迷いも減ります。

差し戻されやすい4か所

生成AI利活用計画書で差し戻されやすい4か所。契約書と一致しているか、学習排除の根拠を示せるか、レビュー体制が実際に機能するか、再委託先の分まで書いたか
番号はチェックリストの項目番号です。

1. 契約書と一致しているか(0-1・1-1・2-2)

業務名は契約書の表記と一字一句そろえます。受注者名は会社名だけでなく部門名と管理技術者氏名まで書き、提出日を入れます。内容以前の話ですが、確認の最初に見られる項目なので、ここで戻ると全体の印象が悪くなります。

2. 学習排除の根拠を示せるか(6-3・6-4)

「入力データを学習に使わせない設定にしている」と書くだけでは足りません。チェックリストは、その根拠がサービスの設定や約款で具体的に示されているかまで見ます。法人向けプランの約款のどこに書いてあるか、設定画面のどの項目を切っているかを、そのまま引けるように控えておきます。使うサービスが決まっていないと書けない項目なので、業務データを入れてよい生成AIの選び方を先に済ませます。

3. レビュー体制が実際に機能するか(7-5・7-6)

誤情報への対応として「生成結果は管理技術者が確認する」と書くのは自然ですが、チェックリストには「形式的でなく、実際に機能する体制として記載されているか」という項目があります。誰が、どの工程で、何と突き合わせて確かめるかまで書きます。原典資料との突合、照査記録への残し方、AIに委ねない範囲を添えると、体制として読めます。

4. 再委託先の分まで書いたか(3-3・4-5・5-4・6-5・7-7・9-1・9-2)

40項目のうち7項目が再委託先に関わります。利用目的・利用範囲・サービス名・入力情報・リスク対策のそれぞれに「再委託先がある場合、再委託先ごとに記載されているか」という項目があり、「その他」でも再委託先での利用の有無と反映を見ます。ボーリング作業や図面作成を外注している場合、自社だけで完結する前提で書くとここで戻ります。再委託先に生成AIを使うかどうかを先に確認しておきます。

成果物に関する4項目は、特記仕様書との整合を見る

10-1から10-4は計画書の9項目の外にあり、特記仕様書に書かれた成果物の扱いと整合しているかを確認します。生成AIで作った成果物にその旨を明示する方針、画像に注釈を付ける旨、第三者の権利への配慮、AI学習への配慮(構造化された見出し、図表のキャプション)の4つです。注釈の付け方は生成AI成果物への注釈の付け方、様式の整え方はAI学習に配慮した報告書とはで扱っています。

提出前に自分で通す順番

  • 契約書を横に置き、業務名・受注者名・提出日をそろえる(0-1・1-1・2-1・2-2)
  • 使うサービスの約款と設定画面を開き、学習排除の根拠を控える(6-3・6-4)
  • レビューを誰が・どの工程で・何と突き合わせるかを書き足す(7-5・7-6)
  • 再委託先に生成AIを使うか確認し、使うなら各項目に再委託先の欄を足す(7項目)
  • 発注者との協議が済んでいれば条件を、未協議なら協議の予定を書く(8-1〜8-4)
  • 特記仕様書の成果物の条項と、注釈・AI学習配慮の方針が合っているか見る(10-1〜10-4)

当社が配布している計画書の様式・記入例には、この観点で作った提出前セルフチェックを付けています。生成AI利活用計画書の様式・記入例からお使いください。正式な配布物ではないため、実際の提出は特記仕様書と調査職員との協議が優先します。

チェックリスト40項目の一覧

区分項目数確認の視点
0. 基本事項2提出日が記載されているか。業務計画書の添付資料として提出されているか
1. 業務名1契約書に記載された業務名と一致しているか
2. 受注者名2会社名・部門名・管理技術者氏名が記載されているか。契約書の受注者情報と一致しているか
3. 利用目的3目的・理由が具体的か。本業務の内容と整合しているか。再委託先ごとの利用目的があるか
4. 利用予定範囲5業務工程が明記されているか。対象データ、作業の概要が具体的か。発注者との協議を経た内容か。再委託先ごとの利用範囲があるか
5. 利用予定の生成AIサービス名4サービス名称と提供元があるか。複数のLLMを用いるサービスはその名称があるか。利用形態(クラウド/オンプレミス等)があるか。再委託先ごとのサービス名・利用形態があるか
6. 入力情報の取扱い5個人情報の取扱い方針(原則入力しない)があるか。入力する場合の理由・範囲・対策があるか。学習に利用されない措置があるか。その根拠(設定・約款等)が具体的か。再委託先ごとの取扱いがあるか
7. リスク対策7情報漏洩防止策があるか、具体的で実効性があるか。利用履歴の保存方法があるか、その根拠(社内規定・約款等)があるか。誤情報リスクへの対応策があるか、レビュー体制が実際に機能するか。再委託先ごとのリスク対策があるか
8. 発注者との協議内容4事前協議の実施有無が明記されているか。協議に基づく条件・制限が具体的か。協議内容と一致しているか。未協議の事項に協議予定が示されているか
9. その他3再委託先での生成AI利用の有無が記載されているか。利用する場合、各項目に反映されているか。継続的な見直し・報告の予定があるか
10. 成果物に関する確認4生成AIで作成した成果物にその旨を明示する方針があるか。画像等に注釈を付ける旨があるか。第三者の権利への配慮があるか。AI学習への配慮(構造化された見出し、図表のキャプション等)が考慮されているか

出典:関東地方整備局「生成AI利活用計画書 発注者確認チェックリスト」(令和8年8月4日 国関整技管第56号 参考1)の確認項目を、区分ごとに当社が要約。原文は各項目が1行ずつ40項目に分かれています。

Q.発注者確認チェックリストは受注者も使ってよいのですか?
A.発注者向けの資料ですが、関東地方整備局が公開しているので提出前の自己確認に使えます。発注者が見る観点で先に通しておくと、差し戻しが減ります。
Q.チェックリストで最も戻されやすいのはどこですか?
A.契約書との不一致、学習排除の根拠が具体的でないこと、レビュー体制が形式的なこと、再委託先の記載が無いことの4つです。特に再委託先は40項目のうち7項目に関わるので、外注がある業務では最初に確認します。
Q.他の地方整備局でも同じチェックリストですか?
A.本省の通知(令和8年7月29日 国技建管第3号・国技建調第2号)は全国の地方整備局等に出されていますが、確認の様式は各局の運用によります。この記事は関東地方整備局の公開資料をもとにしています。担当する業務の発注者が示す様式を優先してください。

参考文献

  1. 1.関東地方整備局「建設コンサルタント業務等における生成AI利活用等について」令和8年8月4日 国関整技管第56号(https://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000250.html)
  2. 2.同 参考1「生成AI利活用計画書 発注者確認チェックリスト」(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000955102.pdf)
  3. 3.同 別添2「生成AI利活用計画書(ひな形)」(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000955101.pdf)
  4. 4.国土交通省 大臣官房技術調査課「建設コンサルタント業務等における生成AI利活用等について(依頼)」令和8年7月29日 国技建管第3号・国技建調第2号
小林 由快

この記事の監修

小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。

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