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土木DX2026.07.27

AI学習に配慮した報告書とは|国交省が求める構造的な成果品の作り方

特記仕様書に盛り込まれる4項目のうち、実務でいちばん手が止まるのが「AI学習に配慮した報告書」です。何を求められているのかと、社内のひな形をどこから直せばよいかを整理しました。

AI学習に配慮した報告書とは、成果品を後からAIが読み取れる形で作る、という考え方です。見出しの階層や数値の並びが機械的に判別できる構造になっていれば、蓄積した成果品をAIで検索したり要約したりできます。国土交通省は、直轄業務の特記仕様書に盛り込む生成AI関連の4項目のひとつとして、マークダウン記法などで構造的に記載し、AIが読み取りやすい報告書とするよう努めることを挙げています。

ただし、何をどこまでやれば要件を満たすのかという具体的な基準は示されていません。本記事の後半で挙げる対応は、当社が実務上どこから手をつけるのが現実的かを整理したものです。実際の運用は、当該業務の特記仕様書と調査職員との協議によります。制度全体の整理は生成AI利活用計画書とはをご覧ください。

なぜ成果品の様式まで求められるのか

ねらいは大きく2つあると考えられます。ひとつは完了検査時の履行確認の効率化です。成果品の構造が揃っていれば、記載漏れや整合の確認を機械的に進めやすくなります。もうひとつは、蓄積した成果品を後から使えるようにすることです。

報告書は、これまで人が読む前提だけで作られてきました。数値が本文の文章に埋め込まれ、図は画像として貼られ、見出しは書式で大きくしただけ、という作り方が普通です。人が読む分には困りませんが、後からAIに読ませようとすると、どこが見出しでどれが数値なのかを判別できません。過去の成果品が数百件あっても、検索も比較もできない資産のまま眠ることになります。

実務でどこから直すか

以下は、当社が実務上あたりをつけている順です。効果の大きさと手間の軽さで並べています。

1. 見出しに通し番号をつけ、書式だけで見出しに見せない

文字を大きくして太字にしただけの見出しは、機械には本文と区別がつきません。章・節・項に通し番号を振り、Wordであれば見出しスタイルを当てます。これだけで文書の骨格が読み取れるようになります。手間が最も軽く、効果が最も大きいのがここです。

2. 数値は本文に埋め込まず、表にする

「N値は上部で概ね5程度、下部で15前後」と文章で書くと、機械には抜き出せません。表にして、項目名・数値・単位・出典を列に分けます。本文では表を参照する形にすれば、読みやすさも落ちません。

3. 図は画像だけにせず、元データを併せて残す

グラフや断面図を画像として貼るだけだと、そこにある情報は取り出せません。作図の元になった表データを、電子成果品のなかに併せて格納します。これは電子納品の考え方とも重なる部分で、ボーリングデータの電子納品で扱っている論点と地続きです。

4. 用語と表記を統一する

同じものを「粘性土」「シルト質粘土」「粘土層」と書き分けていると、機械は別物として扱います。担当者ごとの表記ゆれは、人が読む分には吸収できますが、後から集計しようとすると効いてきます。用語集を1枚作って社内で共有するだけでも変わります。

5. ファイル名とフォルダ構成を章立てと対応させる

電子納品要領に従いつつ、報告書の章構成とファイルの並びが対応していれば、どのファイルが何に相当するかを推測できます。連番だけのファイル名は避けます。

「マークダウンで書け」という意味ではない

マークダウン記法という言葉が出てくるため、Wordをやめてテキストで納品するのか、と受け取られることがあります。そうではありません。マークダウンは、見出しや箇条書きや表を記号だけで表せる書き方の代表例として挙げられているもので、求められているのは記法そのものではなく、構造が読み取れる状態です。

Wordで見出しスタイルを正しく当て、表を表として作っていれば、その文書はすでに構造を持っています。納品形式を変える話ではなく、これまで書式で見た目だけ整えていた部分を、意味のある構造に置き換える話だと考えるのが実態に近いはずです。

計画書に書いて終わりにはならない

この項目は、生成AI利活用計画書に対応方針を1行書けば済むものではありません。実体は社内のひな形と作法の見直しです。担当者が個別に頑張っても、次の案件で元に戻ります。報告書のWordテンプレート、用語集、電子成果品のフォルダ構成という単位で直して、はじめて定着します。

地質調査の報告書であれば、はじめから構造化されたデータとして作る道もあります。当社のCAMELは、柱状図や土質試験のPDFを読み取ってN値や地盤定数を整理し、報告書をExcelとWordで出力します。数値が表として保持されるため、後から取り出せる形になります。詳しくは地質調査報告書の作成をご覧ください。

Q.AI学習に配慮した報告書とは、具体的にどこまでやればよいのですか?
A.具体的な基準は示されていません。報道されている範囲では、マークダウン記法などで構造的に記載し、AIが読み取りやすい様式とするよう努める、という努力目標の形です。まずは見出しの階層を正しく付け、数値を表として整理するところから着手し、詳細は調査職員と協議するのが現実的です。
Q.納品形式をWordからマークダウンに変える必要がありますか?
A.その必要はないと考えられます。マークダウンは構造を持った書き方の例として挙げられているもので、Wordでも見出しスタイルを正しく当て、表を表として作っていれば構造は保たれます。納品形式は電子納品要領および特記仕様書に従ってください。
Q.過去の成果品もさかのぼって直す必要がありますか?
A.求められているのは今後作成する成果品の様式です。過去分の遡及は通常求められません。ただし社内で過去の成果品を活用したい場合は、よく参照するものから順に構造化しておくと、後から効いてきます。

社内のひな形をどこから直すか、実際の報告書を題材に手を動かして決めたい場合は、法人向けのAI活用研修でも扱えます。様式の整理とあわせて、生成AI利活用計画書の様式・記入例も無料で配布しています。

Supervised by

監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)

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CAMEL(地質調査サポートエージェント)

柱状図や土質試験のPDFを読み取り、N値の抽出から地盤定数の算出、報告書のドラフトと図表の作成までを支援するAIです。

  • 柱状図・土質試験PDFの読み取り(精度は概ね90%・技術者の確認が前提)
  • N値の換算と、地盤定数(γt・c・φ・E)の算出根拠つき出力
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自社での検証では、報告書作成が約50時間から約35時間になりました。

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