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打合せ記録簿の書き方|設計業務の協議内容を、図面・計算書に反映漏れなく落とす手順

打合せ記録簿は、決まったことを書いて終わりにせず、直す成果物ごとの修正指示の一覧に変え、反映したかを照合するところまでを一続きにすると反映漏れが減ります。書く項目と3つの手順、生成AIへの頼み方を整理しました。

記録簿の下書き、修正指示の一覧づくり、反映の照合は、貴社の様式と実際の記録を題材に、建設コンサルタントAIでAIへの頼み方から一緒に作れます。

小林 由快

監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

結論から言うと、打合せ記録簿で反映漏れを防ぐには、決まったことを書いて終わりにせず、「どの成果物のどこを直すか」の修正指示の一覧に変え、直したかを照合するところまでを一続きの手順にすることです。記録簿の下書き、一覧づくり、直す前と後の照合はAIに任せられます。決まった内容の確認と直し方の判断は、技術者に残ります。

打合せのたびに記録簿を書き、内容を図面や計算書に反映して、夕方に先輩のチェックを受ける。それでも数量計算書や報告書だけ古いまま残ってしまう。この記事は、そんな建設コンサルタントの若手技術者と、記録簿を確認する管理技術者の方に向けたものです。業務の流れ全体は建設コンサルタントの仕事の流れ、AIを社内でどう進めるかは建設コンサルタントのAI推進のページにまとめています。

打合せ記録簿とは

打合せ記録簿は、設計業務で管理技術者と発注者の調査職員が打ち合わせた内容を、受注者がその都度書面に記録し、双方で確認するための書類です。土木設計業務等共通仕様書(案)の第1111条で決められています。電子メールで確認した内容も、必要に応じて記録簿にします。打合せは業務の着手時と、設計図書で定める業務の区切りで行い、想定の回数は特記仕様書か数量総括表で決まります。

打合せ回数1回の人日(主任技師・技師A・技師B)人日に含まれるもの
業務着手時1回0.5・0.5・0.5議事録の作成、片道1時間程度までの移動、電話・メールでの確認
中間打合せ各節による(記載がなければ5回が標準)0.5・0.5・0.5同上
成果物納入時1回0.5・0.5・0.5同上

出典:国土交通省 土木設計業務等標準歩掛「1-1 打合せ等」(対面の場合)。様式は発注者ごとに定められていることが多いので、記録簿は指定の様式に合わせます。

標準の7回で数えると、1回1.5人日×7回で約10.5人日が打合せと議事録づくりに見込まれている計算になります。記録簿は、どの業務でも必ず発生する文書作業だということです。

打合せ記録簿に書く項目

記録簿に書くのは、いつ誰と何を話し、何が決まり、何が宿題として残ったかです。後から読んだ人が、成果物のどこを直せばよいか分かる書き方にしておくと、次の手順が楽になります。

項目書くこと抜けると困ること
日時・場所・方法対面かWEB会議か、電話・メールかどの時点の決定かが分からない
出席者発注者側と受注者側の氏名・役職誰が了承したかが分からない
議題業務計画・設計条件・比較案・中間成果などどの検討の話かが分からない
決まったこと数値・案・基準を、言い切りの形で直す内容があいまいになる
宿題誰が・いつまでに・何をするか「検討しておきます」が消える
疑義・確認事項仕様書にない点で協議が要るもの次回に持ち越したことを忘れる
配った資料資料名と版どの版の図面で話したかが分からない

反映漏れはどこで起きるか

反映漏れが起きやすいのは、記録簿を書き終えた後、決まったことを成果物の直しに置き換える段階です。採用サイトに載っている若手技術者の1日を見ると、午前に客先との打合せ、午後に社内打合せ、その後に打合せ内容を資料や設計図に反映し、夕方に先輩のフィードバックを受ける、という流れが繰り返し出てきます。直す作業は1日の後半に集まりがちです。

  • 決まったこと1つが、設計図・設計計算書・数量計算書・報告書の複数にまたがる。図面と計算書だけ直して、数量や報告書が古いまま残る
  • 口頭の「検討しておきます」が宿題として書かれず、次の打合せまで誰も手を付けない
  • メールで決まったことが記録簿に入らず、成果物にも反映されない
  • 前の回の決定が後の回で変わり、どちらが最新か分からなくなる

とくに1つ目は、決まったことが大きいほど直す箇所が増え、人の記憶だけでは追い切れなくなります。設計条件そのものが変わった場合の洗い出し方は、設計条件が変わったときに直す箇所の洗い出しで詳しく扱っています。

反映漏れを防ぐ3つの手順

手順は、①記録簿の下書き、②修正指示の一覧、③反映の照合の3つです。どの手順も、手を動かす部分はAIに任せ、決める部分と確かめる部分を人が持ちます。

打合せのメモ・録音・メールから、①記録簿の下書き、②修正指示の一覧、③反映の照合の順に進む流れ図。各手順でAIに任せる作業と人が確かめる所を並べ、未反映の行は②に戻す
図1 記録簿から反映の照合までの3つの手順。未反映の行が残れば一覧に戻し、次の打合せの前に閉じる

① 記録簿の下書き

打合せのメモや、録音を文字に起こしたもの、メールのやりとりから、発注者の様式に沿った記録簿の下書きを作ります。発言を議題ごとに並べ直し、「決まったこと」「宿題」「疑義」に分けるところまでがAIの仕事です。決まったことの言い回しが合っているかは、出席した技術者が確かめ、調査職員と相互に確認します。

② 修正指示の一覧に変える

記録簿の「決まったこと」を、直す成果物ごとの行に分けます。擁壁の高さを変えると決まれば、設計図・設計計算書・数量計算書・報告書の4行になります。宿題も同じ一覧に、担当と期限をつけて入れます。どの成果物に効くかの洗い出しはAIに下書きさせ、直し方と担当の割り振りは管理技術者が決めます。

修正指示の一覧の見本。決まったこと1つ(擁壁の高さ1.5mから1.8m)が設計図・設計計算書・数量計算書・報告書の4行に分かれ、数量計算書と報告書が未反映になっている
図2 修正指示の一覧の見本。決まったこと1つが、直す成果物の数だけ行に分かれる(内容は例)

③ 反映したかを照合する

一覧の行ごとに、直す前と後の成果物を見比べ、反映済みか未反映かを付けます。Wordの報告書やExcelの数量計算書なら、AIに版の違いを拾わせて一覧と突き合わせられます。未反映の行が残れば理由を確かめて一覧に戻し、次の打合せの前に閉じます。先輩や管理技術者は、この一覧を見ながらチェックすると、全部の成果物を頭から読み直さずに済みます。

生成AIへの頼み方

Microsoft 365 CopilotやGoogle WorkspaceのGeminiなど、社内にすでに入っている生成AIで、3つの手順はどれも試せます。頼むときは、使う様式と、分けてほしい区分をはっきり書くのがこつです。

手順頼み方の例人が確かめる所
① 記録簿の下書き「添付の打合せメモを、この記録簿の様式に沿って整理してください。決まったこと・宿題(担当と期限)・疑義の3つに分け、決まったことは数値を含めて言い切りの形で書いてください。メモにないことは書かないでください」決まったことの数値と言い回し、出席者、宿題の担当
② 修正指示の一覧「この記録簿の決まったことそれぞれについて、直す必要がある成果物(設計図・設計計算書・数量計算書・報告書)と箇所を、1行1件の表にしてください。判断できないものは『要確認』としてください」漏れている成果物がないか、直し方と担当
③ 反映の照合「修正指示の一覧の各行について、添付の修正後の報告書(または数量計算書)に反映されているかを確かめ、反映済み・未反映・判断できないの3つで答えてください。根拠の箇所も示してください」未反映・判断できない行の中身

AIはメモにない内容をもっともらしく補うことがあるので、「メモにないことは書かない」「判断できないものは要確認とする」と最初に伝えておきます。図面そのものの読み取りは、図面の形式によって精度が大きく変わります。数値をExcelに拾う作業から試すなら、建設コンサルタントがAIエージェントに任せられる業務8つも参考になります。

AIに渡す前に決めておくこと

打合せ記録簿は発注者とのやりとりの記録なので、AIに渡してよいかを先に社内で決めておきます。業務データを入力しても学習に使われない契約・設定のサービスを使うこと、録音を使うなら出席者の了解を取ること、確定した記録簿の正本は人が管理することの3点が目安です。サービスの選び方は業務データを入れてよい生成AIの選び方にまとめています。国の直轄業務で成果のとりまとめに生成AIを使う場合の手続きは、生成AI利活用計画書の書き方で扱っています。

Q.打合せ記録簿は誰が作るのですか?
A.受注者です。土木設計業務等共通仕様書(案)の第1111条で、管理技術者と調査職員が打ち合わせた内容は、その都度受注者が書面(打合せ記録簿)に記録し、相互に確認すると決められています。
Q.設計業務の打合せは何回ありますか?
A.想定の回数は特記仕様書か数量総括表で決まります。標準歩掛では、業務着手時と成果物納入時に1回ずつ、中間打合せは各節に記載がなければ5回が標準で、合わせて7回です。
Q.記録簿の内容が図面や計算書に反映されない原因は何ですか?
A.決まったこと1つが複数の成果物にまたがるのに、直す箇所を一覧にしていないことが多い原因です。決まったことを直す成果物ごとの行に分け、直したかを照合すると漏れが見つかります。
Q.打合せ記録簿の作成に生成AIを使ってもよいですか?
A.社内で渡してよい資料のルールを決め、業務データを学習に使わない設定のサービスを使えば、下書きに使えます。決まった内容の確認と、調査職員との相互確認は人が行います。
  1. 1.国土交通省『土木設計業務等共通仕様書(案)』令和8年度版、第1111条 打合せ等
  2. 2.国土交通省『設計業務等標準積算基準書』令和5年度改正(新旧対照表)、第2章 土木設計業務等標準歩掛 第1節 1-1 打合せ等
小林 由快

この記事の監修

小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役

北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。

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建設コンサルタント出身の代表が、貴社のAI活用を2つの頼み方で支えます。自分たちでAIエージェントを使いこなせるまで付き合う伴走型のAI研修と、照査や計算を仕組みにする受託開発です。

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