一軸圧縮試験とは、粘性土から採取した円柱状の供試体に、横からの拘束なしで上下方向の圧縮力を加え、壊れるまでの強さを調べる室内土質試験です。JIS A 1216:2020「土の一軸圧縮試験方法」に規定されています。粘性土の強さをつかむ最も基本的な試験で、結果の qu から粘着力を出し、基礎の支持力や盛土・斜面の安定の検討に使います。
「一軸圧縮試験」はコンクリートや岩石の試験を指すこともありますが、地質調査報告書や土質試験結果に出てくるのは粘性土の試験です。この記事も土の試験を扱い、コンクリート・岩石との違いは後半で触れます。
一軸圧縮試験で求められる値は?
求められるのは一軸圧縮強さ qu・破壊ひずみ εf・変形係数 E50 の3つで、実務でいちばん使うのは qu です。
| 得られる値 | 意味 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 一軸圧縮強さ qu | 供試体が壊れるときの最大圧縮応力(kN/m²) | 粘着力 c = qu/2 の推定、コンシステンシーの判定、支持力・安定の検討 |
| 破壊ひずみ εf | qu に達したときの軸ひずみ(%) | 試料の乱れの程度や、脆い土か粘り強い土かの目安 |
| 変形係数 E50 | 原点と qu/2 の点を結ぶ直線の傾き(kN/m²) | 沈下・変形の検討用の設計パラメータ |
全地連『地質と調査』159号 教養読本 土質試験による。E50 は設計用パラメータとして広く利用されています。
得られる値は図1と表のとおり3つで、実務でいちばん使うのは一軸圧縮強さ qu です。粘性土では、この qu から粘着力を c = qu/2 として求めます。
E50 は軸ひずみ 0.3〜2% 程度に対応する変形係数で、孔内水平載荷試験による変形係数(ひずみ 1〜6% 程度)とはひずみレベルが異なります。そのため建築基礎構造設計指針は、検討する変位のオーダーに合ったひずみレベルの値を使うよう求めています。
なぜ粘着力は qu の半分になる?
飽和した粘性土を排水させずに壊すと内部摩擦角をゼロ(φu = 0)とみなせ、せん断強さがモール円の半径、つまり qu/2 になるからです。
根拠は、非圧密非排水(UU)条件の三軸圧縮試験で得られるモール円の包絡線が水平になることです。粘性土は透水性が低いので、載荷直後は間隙水が抜けず、拘束圧を変えても圧密による強度増加が起きません。そのため図2のとおり、拘束圧が違う供試体でもモール円の直径(σ1 − σ3)は同じになり、内部摩擦角はゼロ(φu = 0)として扱えます。
このとき非排水せん断強さ cu はモール円の半径にあたるので、拘束圧ゼロの一軸圧縮試験でも cu = qu/2 として求められます。これを「φu = 0 法」と呼びます。
この考え方が当てはまるのは、盛土の施工直後のように、載荷してから圧密が進む前の状態です。粘土地盤上の盛土は、圧密が進むにつれて強さが増すので、施工直後がいちばん危険になります。これを短期安定問題と呼び、そこで使う強度定数が UU 条件や一軸圧縮試験から得られる cu です。時間をかけて掘削する長期安定問題では、有効応力で見た内部摩擦角を別の試験から求めます。
一軸圧縮試験が使えない試料は?
φu = 0 法を一軸圧縮試験に適用できるのは、一軸圧縮強さ qu が UU 三軸圧縮試験の圧縮強さ q とほぼ等しい(qu ≒ q)場合に限られます。次のような試料では成り立ちません。
- 砂質土など、拘束圧ゼロで自立しない試料。そもそも供試体が立たず、一軸圧縮試験が成立しない
- 自立する粘性土でも、内部にクラックを持つなどの理由で qu < q になる試料。UU 三軸圧縮試験で cu を求め直す必要がある
- 乱れた試料。乱れると本来の強さより低い qu が出る。採取から試験までの取り扱いが結果を左右する
したがって一軸圧縮試験には、乱れの少ない不撹乱試料が欠かせません。建築基礎構造設計指針も、粘性土の粘着力は原位置で採取した乱さないサンプリング試料を用いた一軸圧縮試験や三軸圧縮試験から求めることを基本としています。練り返した試料でも試験し、乱さない試料との強さの比(鋭敏比)で乱れに対する敏感さを見ることもあります。
N値から一軸圧縮強さを推定できる?
経験式はありますが、式によって推定値が大きく違うため、粘性土の一軸圧縮強さは室内試験の結果と合わせて評価するのが基本です。
粘性土のN値と qu の間には経験式がいくつも提案されていて、Terzaghi and Peck の区分では、たとえばN値4〜8の「普通の」粘土で qu が 49〜98 kN/m² 程度に対応します。ただし式によって推定値は最大で6.7倍も違い、建築基礎構造設計指針は、N値が小さいところでは信頼性が低いため、粘性土の qu をN値から推定する経験式は用いるべきではないとしています。
粘性土はN値だけでは判断しにくい土なので、室内試験の結果と合わせて評価するのが基本です。コンシステンシーの区分とN値・qu の対応表は別記事にまとめています。
コンクリートや岩石の一軸圧縮試験とは何が違う?
供試体の側面を拘束せずに軸方向だけで圧縮して壊す、という形は土・コンクリート・岩石に共通ですが、対象も規格も使い道も別です。コンクリートの圧縮強度試験は JIS A 1108 に基づき、円柱供試体の圧縮強度で材料の品質を管理します。岩石の一軸圧縮試験は地盤工学会基準(JGS 2521)に基づき、コアから採った供試体で岩盤の強度を評価します。道路橋示方書は、亀裂の少ない軟岩ではコアの一軸圧縮強度の1/2を粘着力としてよいとしており、岩でも qu/2 の考え方が使われる場面があります。
土の一軸圧縮試験は JIS A 1216 に基づき、乱れの少ない粘性土の供試体で行います。強さの桁も違い、粘性土の qu が数十〜数百 kN/m² なのに対し、コンクリートや岩石は数十 N/mm²(数万 kN/m²)の世界です。地質調査報告書に出てくる一軸圧縮試験は土のものだと押さえておけば混乱しません。
結果は報告書にどうまとめる?
一軸圧縮試験の結果は、試料ごとの qu・εf・E50 を含水比や湿潤密度などの物理試験値と並べた一覧表と、応力〜ひずみ曲線の図として報告書に載せます。深度方向に qu を並べると、粘性土層の強さの分布や、乱れた試料の見分け(周囲より極端に低い値)にも使えます。手順は室内土質試験の結果整理で解説しています。
試料が増えるほど、成績表から一覧表への転記と見直しは重くなります。サファリテックの地質調査AI「CAMEL」は、柱状図だけでなく室内土質試験の成績表も読み取って一覧表に整理し、原典と突き合わせて疑わしい値は要確認として表示します。土質試験結果一覧表はExcelで出力できます。値の妥当性の判断は技術者が担い、転記と整形をCAMELが引き受けます。詳しくはサービス資料をご覧ください。
- Q.一軸圧縮試験とは何ですか?
- A.粘性土の円柱供試体に拘束なしで圧縮力を加え、壊れるまでの強さ(一軸圧縮強さ qu)を調べる室内土質試験です。JIS A 1216:2020 に規定されています。qu のほか、破壊ひずみと変形係数 E50 も得られます。
- Q.粘着力はなぜ qu の半分になるのですか?
- A.飽和粘性土の非排水条件では、拘束圧を変えても強さが増えないためモール円の包絡線が水平(φu = 0)になり、非排水せん断強さ cu はモール円の半径にあたるからです。一軸圧縮の円は直径が qu なので cu = qu/2 になります。
- Q.コンクリートや岩石の一軸圧縮試験と同じものですか?
- A.試験の形(拘束なしで軸方向に圧縮する)は同じですが、対象と規格が違います。土は JIS A 1216 で粘性土の強さを、コンクリートは JIS A 1108 で材料の圧縮強度を、岩石は JGS 2521 で岩盤の強度を調べます。地質調査報告書に出てくるのは土の試験です。
- Q.砂でも一軸圧縮試験はできますか?
- A.できません。砂は拘束圧ゼロでは供試体として自立しないため試験が成立しません。砂質土の強さは三軸圧縮試験や、N値から内部摩擦角を推定する方法で評価します。
- Q.N値から一軸圧縮強さを推定してもよいですか?
- A.概略の目安に留めるべきです。推定式は複数あり値が最大6.7倍違ううえ、建築基礎構造設計指針はN値が小さいところで信頼性が低いため用いるべきではないとしています。粘着力は乱れの少ない試料の室内試験で求めるのが基本です。
参考文献
- 1.日本産業標準調査会(JISC)『JIS A 1216:2020 土の一軸圧縮試験方法』
- 2.全国地質調査業協会連合会『地質と調査』2022年第1号(通巻159号)教養読本 土質試験 2-2 力学試験(一軸圧縮試験、三軸圧縮試験のUU条件)
- 3.日本建築学会『建築基礎構造設計指針』第3版(2019年11月)2.7節 地盤定数 p.30、p.32
- 4.関東地質調査業協会 技術委員会「N値に関する物性値換算の問題と適応性の限界について」全地連「技術フォーラム2020」
- 5.関東地質調査業協会『我が国における標準貫入試験の利用実態と留意点』(2021年)表4-2-2

この記事の監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役
北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。
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