建設業のAI活用が進まない理由は、「何から始めるか決まらない」「汎用のAIが専門業務に合わない」「現場が踏み出せない」の3つです。どれも、一度に全部を変えようとせず、定型作業を1つ選んで小さく試すことで越えられます。
この記事は、建設コンサルタントの日水コンで土木設計と工事監理に携わってきた、サファリテック代表の小林由快が監修しています。
建設業でAI活用が進まないのはなぜか?(3つの理由)
1つ目は、自社の課題とAIが結びつかず、何から始めるかが決まらないことです。2つ目は、汎用のAIツールでは専門用語や業務の手順を捉えきれず、期待した成果が出ないことです。3つ目は、導入や運用の手間が見えず、現場が踏み出せないことです。
最初の一歩には、どの工程を選ぶか?
最初に選ぶのは、時間がかかり、しかも特定の人にしかできない作業です。負担が大きく、効果も実感しやすいからです。ほかの作業の向き不向きは図のとおりです。
地質調査を例に、どの工程から手を付けるかを具体的に整理したのが地質調査DXの始め方です。建設コンサルタントの業務なら生成AIで照査・積算はどこまでできるかで、既製品で足りる工程と作り込みが要る工程を分けています。
小さく試して、どう広げるか?
作業を1つに絞って試し、所要時間で効果を確かめてから対象を広げます。
毎回同じ手順で繰り返している作業を書き出し、その中から1つだけ選んで試します。前後の所要時間を比べて効果が出ていれば、対象を広げます。効果が見えないまま範囲を広げると、どこが効いたのか分からなくなります。
最初の1つを自社の書類で試したい場合は、建設業のAI研修が使えます。施工計画書・工事書類・日報など、現場でいま抱えている書類をそのまま題材に、動くものを1つ完成させる研修です。
業界に特化した道具を選ぶ
建設・土木は専門性が高く、汎用のAIでは業務の文脈を捉えきれないことがあります。地質調査の報告書作成(CAMEL)、公募案件の情報収集(Giraffe)、協力会社の管理(Buffalo)のように、業界の業務に合わせた道具を選ぶと、導入後の成果につながりやすくなります。
公共業務では発注者のルールを先に確認する
公共業務の成果品づくりにAIを使う場合は、発注者のルールを先に確かめます。国土交通省は令和8年7月29日付の通知(国技建管第3号・国技建調第2号)で、直轄土木の建設コンサルタント業務等について、特記仕様書に生成AIの取扱いを記載する運用を定めました。何をどう書くのかは生成AI利活用計画書とはにまとめています。
よくある質問
- Q.建設業でAIは何から始めればいいですか?
- A.毎回同じ手順で繰り返している作業のうち、時間がかかり、特定の人にしかできない工程を1つ選び、小さく試すのが現実的です。
- Q.汎用のAIツールではだめですか?
- A.時間はかかるが誰でもできる作業なら、汎用のAIで十分に減らせます。専門用語や業務の手順が絡む作業は、業界の業務に合わせた道具のほうが成果につながりやすい傾向があります。
- Q.小規模な会社でも始められますか?
- A.始められます。全社を変えるのではなく、一工程の省力化から始め、効果を確かめてから対象を広げるのが無理のない進め方です。

この記事の監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役
北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。
