地質調査の現場では、掘削・サンプリングから報告書作成まで、多くの工程が今なお紙とExcelの手作業に依存しています。本記事では、ボーリング調査のDXを工程別に分解し、どこにボトルネックがあり、AIで何がどう変わるのかを、現場目線で整理します。本記事は全体像を扱い、個別工程は関連記事で詳述します。
工程別に見るボーリング調査DX
掘削・サンプリング/標準貫入試験(N値)
現場記録が紙ベースだと、事務所での転記が二度手間になり、判読ミスや転記漏れが後工程の柱状図作成でつまずく原因になります。特にN値は地盤の締まり具合を示す基礎データで、後続の地盤定数算出や支持層判定の起点となるため、転記ミスが設計判断に直結します。紙・PDFの柱状図からN値を自動抽出できれば、深度との対応づけを含めて転記工数を圧縮でき、抽出後に技術者が検図する運用で精度と省力化を両立できます。
室内土質試験/柱状図作成
試験成績書PDFの様式は試験機関ごとにまちまちで、統一フォーマットへの整理に手間がかかります(室内土質試験の結果整理)。また柱状図の作図自体より、散在するデータを集めて整合させる前工程に時間を要します。既存の柱状図PDFをデータ化しておけば、地層構成やN値を検索・再利用できる資産に変わり、将来的なCIM/BIM連携の土台にもなります。
N値・地盤定数の整理/報告書作成
N値をもとにした地盤定数(内部摩擦角・粘着力・変形係数など)の算出や、報告書のとりまとめは、情報が各所に散らばるため想定以上に時間がかかり、繁忙期の残業要因になりがちです。CAMELは柱状図・土質試験PDFの読み取りからN値抽出、地盤定数の定型算出、報告書(Excel・Word)作成までを一連で自動化します。たとえばN値整理から単位体積重量の算出までは、従来の半日〜1日から15〜30分程度に短縮できます。報告書作成では、自社検証に基づく試算で1案件あたりの工数を約30%(約50時間→約35時間)削減できる想定です。
何から始めるか(小さく始める順序)
- 最も手作業が重く転記ミスの温床になっている、紙・PDF柱状図の読み取りから始める
- 読み取りが回り始めたら、N値抽出と地盤定数の定型算出で検算負荷を減らす
- データが構造化されたら、報告書ドラフトの自動生成まで一気通貫でつなげる
いきなりシステム刷新を狙わず、重い手作業ひとつから着手することで、投資対効果を確認しながら適用範囲を広げられます。自動化が進んでも、地層区分の判断や換算式・基準の選定、抽出結果の検図、考察と設計への橋渡しは技術者の領域です。AIは作業を引き受け、人は判断に集中する。これがボーリング調査DXの現実的な着地点です。
- Q.ボーリング調査のDXは何から始めればいいですか?
- A.まず紙・PDFの柱状図の読み取りと転記など、手作業で重い工程の自動化から始めると効果を実感しやすいです。
- Q.N値の自動抽出はどの程度正確ですか?
- A.原本の状態や様式によって変わります。読み取り精度は概ね90%程度で、実データで精度を確認し、技術者の検図と組み合わせて使うのが実務的です。
- Q.小規模でも導入できますか?
- A.大規模な投資やシステム刷新は不要で、少人数からでも始められます。
Supervised by
監修:株式会社サファリテック 代表取締役 小林由快(北海道大学工学部卒。建設コンサルタント(日水コン)で土木設計・工事監理に従事した実務経験に基づき、内容を確認しています)
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CAMEL(地質調査サポートエージェント)
柱状図や土質試験のPDFを読み取り、N値の抽出から地盤定数の算出、報告書のドラフトと図表の作成までを支援するAIです。
- 柱状図・土質試験PDFの読み取り(精度は概ね90%・技術者の確認が前提)
- N値の換算と、地盤定数(γt・c・φ・E)の算出根拠つき出力
- 報告書 第1〜5章のドラフトと、N値分布図・断面図・柱状図綴りの作図
自社での検証では、報告書作成が約50時間から約35時間になりました。
実際の柱状図で試したい、費用感を知りたいといったご相談も承っています。
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