成果品や報告書をDocuWorksで管理している会社は少なくありません。ところがDocuWorksの文書は独自の形式なので、生成AIにそのまま渡しても中身を読めないことがあります。読ませる方法は2つです。DocuWorksの機能でPDFに変換してから渡すか、Claude CodeのようなAIエージェントに、DocuWorksの文書を読むための変換ツールを作らせるかです。
なぜ、AIはDocuWorksの文書をそのまま読めないのか
DocuWorksは、富士フイルムビジネスイノベーションの文書管理ソフトです。文書は拡張子が.xdw、複数の文書を束ねたバインダーは.xbdという独自の形式で保存されます。中身を開くには、DocuWorks本体か、閲覧専用の無料ソフトであるDocuWorks Viewer Lightが要ります。
生成AIは、PDFやWord、Excelを読むための道具はたいてい持っています。一方で、DocuWorksの形式を読む道具は標準では持っていません。研修の場でも、DocuWorksの文書をそのまま読ませたところ、AIからは「直接は読めません。PDFに変換すれば読めます」という答えが返ってきました。
DocuWorksは、文字や図の書き込み、ページの差し替え、章ごとのページ番号の付け直しがしやすいため、報告書や成果品の管理に使われてきました。過去の成果品を参考にAIで資料を作りたいとき、まず突き当たるのがこの形式の壁です。
方法1:DocuWorksの機能でPDFに変換して読ませる
いちばん手早いのは、DocuWorksでPDFにしてからAIに渡す方法です。DocuWorks 10では、DocuWorks Deskで文書を選び、お仕事バーの「PDFに変換(DocuWorks PDF)」を押すとPDFができます。DocuWorks Viewerの印刷から、プリンターに「DocuWorks PDF」を選んで作ることもできます。
変換するときは、リンクアノテーションなど一部の機能はPDFに引き継がれない点に気をつけてください。また、DocuWorks PDFには「画像PDF」で出す設定もあります。画像PDFはページを絵として書き出すので、AIに読ませる目的なら、ふだんの設定のまま出す方が文字として読みやすくなります。
この方法は、読ませたい文書が数本だけのときや、AIを使うPCにDocuWorksが入っていないときに向いています。反対に、何十本もの成果品を読ませたいときは、読ませるたびに変換する手間がかかり、同じ文書がPDFとDocuWorksの2つに増えていきます。
方法2:AIエージェントに変換ツールを作らせる
DocuWorks本体が入ったWindowsのPCで、AIエージェントにxdwlibを使った変換ツールを作らせると、文書から文字とページの画像を取り出して読めます。
Claude CodeのようなAIエージェントは、パソコンの中で小さな道具を作って動かせます(会話式AIとAIエージェントの違い)。DocuWorksには、ほかのプログラムから文書を操作するためのDocuWorks API(XDWAPI)があり、これをPythonから使うためのxdwlibという部品が公開されています。
xdwlibを使うと、ページの文字の取り出し、アノテーション(付箋や書き込み)の文字の取り出し、ページを画像やPDFに書き出すことができます。AIエージェントはこの部品で、DocuWorksの文書から文字とページの画像を取り出し、それを読んで作業を進めます。一度ツールを作れば、フォルダの文書をまとめて読ませられます。
条件は、DocuWorks本体が入ったWindowsのPCで動かすことです。xdwlibの説明書きには、動く条件としてDocuWorks 7以降とPython 3.7以降が挙げられています。富士フイルムビジネスイノベーションは、XDWAPIで作ったプログラムはボリュームライセンス版かライセンス認証版のDocuWorksを入れた環境で使うよう案内しています。サブスクリプション版は定期的な再ログインが要り、続けて処理している途中で止まることがあるため勧められていません。
研修の場で、DocuWorksを読めるようにした流れ
AIエージェント(Claude Code)の研修で、受講者の方から「成果品の多くがDocuWorksなので、PDFに変換せずに読ませたい」というご要望がありました。その場で試した流れが次の図です。
頼むときに、作り方まで指示する必要はありません。「DocuWorks形式の文書を読めるようにしたい」と伝えると、AIが方法を提案し、Pythonで道具を作ってよいか、xdwlibを入れてよいかを順に聞いてきます。許可すると、作業フォルダの中に変換ツールを作り、そのまま文書を読みにいきます。この研修では、頼んでから読めるようになるまで数分でした。
途中で出てくる「入れてよいか」の確認は、プログラミングに慣れていないと判断に迷うところです。研修でも「分からないものがどんどん入るのが怖い」という声がありました。迷ったら、許可する前にAIへ「これは何の部品で、どこから入れるのか」と聞いてください。答えを読んで納得してから許可すれば十分です。
使うときに気をつけること
本体のあるPCで動かし、部品を入れる前に聞かせ、元の文書には手を出させず、スキャンした文書と隠した情報の扱いを先に決めておきます。
- 変換ツールは、DocuWorks本体が入ったPCで動かします。閲覧専用のDocuWorks Viewer Lightだけで動くかは確かめていないので、本体のあるPCを前提にしてください。
- 部品やソフトを入れる前には必ず聞くよう、AIへの指示書(CLAUDE.md)に書いておきます。黙って入れさせないための一文です。
- 成果品のフォルダは「読むだけ」の設定にし、変換した文字や画像は作業フォルダに出させます。xdwlibは文書の書き換えもできる部品なので、元の文書に手を出させない設定が大事です。
- スキャンして作った文書は、ページに文字の情報を持たないことがあります。その場合はページを画像にして読ませます。xdwlibの説明書きには、DocuWorks 9.1以降は本体の文字認識(OCR)を使えないとあります。
- 付箋やアノテーションで隠した部分も、下の本文は文書の中に残っています。富士フイルムビジネスイノベーションも、PDFに変換すると隠した情報が見えてしまう場合があると案内しています。隠したい情報が入った文書は、AIに渡す前に扱いを決めてください。
どのフォルダを読ませてよいか、お客様の資料を入れてよいかの考え方は、業務データを入れてよい生成AIの選び方で整理しています。
作ったツールの使い方を、CLAUDE.mdに書いておく
変換ツールができたら、使い方をAIへの指示書に残します。Claude Codeでは、CLAUDE.mdというファイルに書いたルールを、AIが作業の最初に読みます。書いておかないと、次の作業でAIがまた一から読み方を探し始めることがあります。
- DocuWorksの文書(.xdw・.xbd)は、作業フォルダの変換ツールで文字と画像を取り出してから読む
- 変換した結果は作業フォルダに保存し、元の文書は書き換えない
- 文字が取れないページは、画像にして読む。読めない値は「要確認」と書く
- 部品やソフトを新しく入れる前は、何を・どこから入れるのかを伝えて許可を取る
ルールは、AIに「いまの作業の決まりをCLAUDE.mdに足して」と頼めば書き足してくれます。同じ注意を2回したら、指示書に一文足すくらいの感覚で育てていきます。
よくある質問
- Q.ChatGPTなどの会話式AIに、DocuWorksの文書をそのまま渡せば読めますか?
- A.DocuWorksは独自の形式なので、会話式AIに渡すならPDFに変換してからにするのが確実です。数本だけならこの方法で足ります。
- Q.DocuWorksを持っていない人から届いた文書でも読めますか?
- A.PDFへの変換も変換ツールも、DocuWorks本体が入ったPCが要ります。本体が無い場合は、送り主にPDFで送ってもらうのが早道です。
- Q.バインダー(.xbd)でも読めますか?
- A.xdwlibはバインダーも扱えます。変換ツールを作らせるときに「バインダーの中の文書もすべて読めるようにしたい」と伝えてください。
- Q.図面のDocuWorksも読めますか?
- A.ページを画像にして読ませれば、図面の文字や数値も読み取れます。ただし細かい数値は読み違いが起きるので、読めない値は「要確認」と書かせ、元の図面と見比べて確かめてください。
- 1.富士フイルムビジネスイノベーション「DocuWorks 10 サポート情報:PDFに変換する方法」(DW10112)
- 2.富士フイルムビジネスイノベーション「DocuWorks 10 サポート情報:DocuWorksファイルをPDFへ変換した際、アノテーションで隠した情報が確認できてしまう」(DW10105)
- 3.富士フイルムビジネスイノベーション「DocuWorks 10 サポート情報:DocuWorks サブスクリプションでDocuWorks API(XDWAPI)で作成したプログラムをご利用いただく場合の注意点」(DW10060)
- 4.HAYASHI Hideki「xdwlib README」(PyPI・GitHub hayasix/xdwlib、バージョン3.10.11)

この記事の監修
小林 由快株式会社サファリテック 代表取締役
北海道大学工学部卒。建設コンサルタントの株式会社日水コンで、土木設計と工事監理に従事。リクルートからの業務委託で新規事業開発も経験。現在はサファリテックの代表取締役として、建設・土木向けAIプロダクトの開発を率いている。
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